Webデザインの基本として、デザイナーに必要とされる「デザイン思考」。
「デジタルシンキング」とも呼ばれるこの思考は、デザインだけでなく他のビジネスの現場でも活用することができるものとして注目を集めています。
この記事では、デザイン思考の詳細や注目されている理由、思考方法について紹介します。
この記事の目次
デザイン思考(デザインシンキング)とは
デザイン思考とは、デザイナーがデザインを行う上で行っている思考方法のことです。
「デザイン」と聞くとセンスやアイデア、ひらめきなどが重要とイメージする方もいるかもしれません。しかし、デザインとはある問題を解決するため、戦略的に行う面が強いです。
デザイナーは、クライアントが求めるもの、伝えたいことをデザインを通して伝えることをミッションとしており、その際に必要なのがデザイン思考なのです。
デザイン思考のポイント
上述した通り、デザインは学ぶことが出来るものであり、デザイン思考も個人のセンスなどに関係なく理論として身につけることが出来ます。
まず、デザイン思考を行う上でのポイントを整理していきましょう。
ターゲットを決める
あるデザインには、必ず目的があります。
例えば「売れる商品パッケージを作りたい」という顧客の要望がある場合、まず決めなければいけないのが「誰に届くデザインにするか」というターゲットの設定です。
大人なのか子供なのか、女性なのか男性なのか、社会人か学生か。
このようにターゲットとなる人を明確に設定することで、よりそのターゲットに届くデザインが可能になります。
ターゲットがどんな物を欲しいか考える
次に、ターゲットが求めるものを考えます。
例えば社会人の男性をターゲットとしたスマートフォンケースを作成する場合、デザインは女性や学生が持つようなカラフルでポップなデザインよりも、黒やグレーなどで統一したスタイリッシュなデザインが好まれるでしょう。
ターゲットの特徴や現在の市場、潜在的なニーズなどを考慮しつつ、どのような物が求められているかを考えます。
どんな物をどのように持たせるか考える
ターゲットが欲しいものが明確になった後は、それらを具体的にどのような形で作り、どのように持たせるかを決めます。先程のスマートフォンケースの例に考えましょう。
シンプルなデザインが好まれるとしても、すでに市場に出回っているものと同じようなデザインのものを作ってしまうと、数ある類似製品に埋もれてしまいターゲットの手に届かない可能性があります。
目的を達成するため、どのようなものを作り、どのように持たせる(売り出す)かなどの検討が欠かせません。
ターゲットが気に入ってくれるか考える
これまでの過程を通して物を作った後は、実際にそれをターゲットが気に入ってくれるかを検証します。
予定していた売上を達成しているか、想定した通りの反応が得られたかなどを計測し、その結果を元にまたよりよいデザインを考えます。
デザイン思考が注目される理由
デザインを学んだことがある人にとっては、基本中の基本と言えるこのデザイン思考。
このデザイン思考が現在注目を集めているのはどのような理由があるのでしょうか。
そこには、近年の急速なIT化とサービス・商品の多様化があります。
インターネットやPC、スマートフォンの発展で、私達(ユーザー)は商品やサービスに関する様々な情報を能動的に取得できるようになりました。
それにより、ユーザーは市場にある様々な商品を比較し、より理想に近いものの取捨選択も簡単にできます。
商品やサービスを提供する企業や個人にとっては、知名度やブランド力のみで自社商品・サービスを選択してもらうことがより難しくなりました。
競争に勝ち抜くため、提供者は使いやすさや見た目など、ユーザー目線に立った商品・サービス開発の必要性が高まっってきています。
それを可能とする思考法としてデザイン思考が注目されるようになってきているのです。
デザイナー以外もデザイン思考は持つべき
デザイン思考によって生み出されるのは、デザインだけではありません。
ターゲットを決定し、ターゲットの求めるものを掘り下げて考え、戦略的にそれをターゲットに届けるための思考法は、「ユーザー目線で物事を考える」ことが求められる全てのビジネスパーソンに必要です。
デザイン思考のプロセスは、前例のない問題などに対して新たな解決策を見出す際に大きく役立ちます。
このように考えると、デザイン思考とはもはや「デザインを生み出すための思考プロセス」ではなく「ビジネスで存在する様々な問題を解決するための思考プロセス」ということが出来ます。
デザイン思考の効果
上述した通り、ビジネスにおいてもデザイン思考は活用することが出来ます。
具体的にどのような効果があるのかを解説します。
これまでにない発想を創出する
デザイン思考がもともと、デザインを作り出すという創造的な作業のための思考法である通り、デザイン思考によって期待される最大最大の効果は「イノベーションの創出」です。
ユーザー目線に立って物事を考えることで、これまでの慣例や前提、固定観念などを取り払った新しい発想が生まれる可能性があります。
チーム内のコミュニケーションが活性化される
すでにある答えや前例を無視して考えるデザイン思考の場では、議論に参加する全ての人が平等に発言権を持ちます。
これまでの経験やスキルに関係なく全員が積極的に発言することができ、チーム内のコミュニケーションの活性化や結束感の強化が期待できます。
デザイン思考の流れ
デザイン思考のメリットや効果について知ると、今すぐにでも試してみたいと思った方もいらっしゃることでしょう。
ここからは、実際にどのようにしてデザイン思考を行うのか、その流れやポイントを解説します。
共感
ユーザー目線で物事を考える際、ターゲットのことを理解し共感することは重要です。
既存の商品や他社のサービスのどのような点で満足し、どのような点に不満を感じているのか、あるいはその商品やサービスを利用する人はどのような目的を持っているのかを考えます。
このプロセスにおいて、有効なのがユーザーインタビューやユーザーテストです。
「ユーザーはこう思っているのではないか」という仮定を立て、それが正しいかどうかを会話やアンケートなどを通して検証しましょう。
問題定義
ユーザー目線での現状分析を通して、ターゲットが求めていること、現状に対して不満に思っていることを知ることができます。
例えば、現在あるサービスや商品を使っているユーザーの中には、本当は別のことがしたいのに、市場にそれを見つけることが出来ないから代わりとしてそれを利用している、ということもあります。
問題定義とさらなる観察・考察を繰り返しながら、「ターゲットが本当に求めているもの」を見つけ出しましょう。
アイデア出し
ターゲットが持っている問題・悩みが明確になれば、それを解決するためのアイデアを考えます。
この時点では固定観念や前提、実現可能性などは考えず、自由な発想でアイデアを出すことが重要です。
ただ、そのアイデアが本当に問題の解決に繋がるものであるかどうかは常に考えるようにしましょう。
議論の論点がずれていると感じた時には、前段階である「共感」「問題定義」に一度立ち返ってみることも必要です。
試作(プロトタイピング)
出したアイデアを元に試作(プロトタイプ)を作成し、アイデアを具体化しましょう。
試作は、アイデアをより深く掘り下げるために有効であると同時に、プロジェクトに関わる全ての人が同じイメージを持つことにも役立ちます。
試作の段階で認識にズレがある場合には、互いの意見を聞き方向性を修正しましょう。。
テスト
完成したプロトタイプは、実際にターゲットに使ってみてもらう、一部のユーザーに限定公開してみるといった方法でその効果や反応を図るために活用します。
感想や意見を元にさらなる検証・改善を行い、そのプロセスを繰り返しながら完成を目指します。
改善点や検証すべき事項が多い場合には、もう一度これまでのフェーズを見直し、「何を優先的に行うべきか」を考えましょう。
例えば、とある商品にAという機能とBという機能を実装する必要があるとします。
テストをしたところ、全ユーザーの中でAの機能を利用するのは80%、Bの機能の利用するのは5%という結果になりました。
その結果から、「より多くのユーザーが求めるAの機能を優先的に実装するべき」と判断することができます。
デザイン思考の学習におすすめの本
デザイン思考についてより詳しく知りたい、デザイン思考をよりビジネスの現場で活用したいという方におすすめの本をいくつか紹介します。
デザイン思考が世界を変える
世界的デザインコンサルタント会社IEDOの社長兼CEOであるティム・ブラウン氏の著書です。
「デザイン思考を浸透させることで組織は持続的にイノベーションを起こすことができる」という考えから、デザインとイノベーションの必要性や組織復活の方法論、問題解決プロセスにおける秘訣を紹介しています。
21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由
論理的思考ベースの「ビジネスのより効率的な進め方」を教えるアプローチが取られていたMBAにおいて、なぜ今「デザイン思考」が注目され、なぜ必要とされているのか。デザイナーではない普通のビジネスパーソンが デザイン思考を実践するためのヒントが詰まった一冊です。
デザイン思考の教科書 欧州トップスクールが教えるイノベーションの技術
世界最高峰のイノベーター集団「デルフト工科大学」初の公式デザインガイドである本書。
デルフト工科大学にて使用されているプロダクトデザインのモデル・アプローチ方法・視点・デザインの手法が詳しく紹介されています。
さいごに
デザイン思考はうまく活用することで、これまでになかった新しい商品やサービスを生み出すことができる可能性もあります。
多くの企業が様々なサービスを展開する現代において必要な考え方と言える一方、実際に使いこなすためには練習が必要です。
より高い効果を得るためには組織全体にデザイン思考を浸透させることも重要となります。
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