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ウェアラブル端末の未来予測。現状の課題と将来性についても解説

更新: 2020.11.20

電子マネーを搭載したり、通話ができたりと、もはやスマートフォンを持ち歩く必要がないと思う人もいるほど、スマートウォッチは私たちの生活の一部となりつつあります。

またスマートウォッチだけでなく、様々なウェアラブル端末の研究開発も行われています。

ウェアラブル端末は将来どのように私たちの生活に関わってくるのでしょうか。この記事では、ウェアラブル端末の未来予測と、その将来性について解説します。

ウェアラブル端末市場は拡大している

Analisys Masonの予測

時計型、メガネ型など様々なウェアラブル端末の研究開発が行われています。

英国の調査会社Analisys Masonによると、ウェアラブル端末の世界市場規模は2020年には229億ドル(約2兆8千億円)に達すると言われています。

IDCの予測

IT専門調査会社IDCも同様に、ウェアラブル端末市場は今後拡大し続けると予測しています。

2022年の世界ウェアラブルデバイス出荷台数は2億台近くにまでなる

IDCの最新の予測によると、2018年は全世界で前年比8.2%増の1億2,489万台の出荷が見込まれています。

2017年は前年比10.3%だったため成長率だけを見ると鈍化傾向に 思います。しかし2019年から2022年にかけてはスマートウォッチだけでなく他のウェアラブルデバイスにも注目が集まると考えられるため、10%以上の成長をIDCは予測しており、2022年の出荷台数はは1億9,976万台にまでになると言われています。

2022年のウェアラブル端末は更に多くの機能を搭載する

IDCのウェアラブルデバイスチームのリサーチマネージャー、レイモン・リャマスは以下のように発言しています。

「2022年のスマートウォッチは、今日のスマートウォッチを一昔前の時代遅れなものに見せてしまうだろう」「ヘルスケアとフィットネス分野は出発点としては強力なものだが、独立した音声/データ通信機能が搭載されることで、ウェアラブルデバイスにIoT(Internet of Things)デバイスおよびそのシステムとの統合がもたらされる。例えばスマートウォッチ市場が今後数年間で着実な成長をしていくことについて、このデバイスが引き起こす生産性の向上と共に注目していく必要がある」(出典:IDC)

日本国内の市場も拡大すると予測

日本国内のウェアラブルデバイスの出荷台数の見込みも発表されており、国内市場の2018年末までの年間出荷台数は合計85.6万台、2022年は124.8万台にまで上ると見られています。

タイプ別で見ると、腕時計型が2022年は合計81.6万台と市場の約65%を占め、次いでリストバンド型端末が37.7万台 (市場の約30%)の出荷が予測され、全体としては9.9%の年間平均成長が見込まれています。

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ウェアラブル端末の未来予測

アメリカのWearableWorldが運営するビジネスメディアReadWriteは、ウェアラブル端末に関して以下ことができるようになると5つの予測を行っています。

健康状態をデータとして管理できる

日々の健康状態をデータとして管理することができるようになると予測されています。

この機能は現時点でも実現されています。例えばAppleWatchはヘルスケアアプリと連動させることによって、手軽に健康管理ができるようになっています。心拍数を計測したり歩数や移動距離、ジムでの運動量などを管理することができるのです。

更に2018年9月に新発表されたAPpleWatch Series4には、新たに「心電図計測機能」「転倒検知機能」が搭載されました。

これらの機能が進化すると、今後は血圧を計測したり、栄養バランスの偏りを把握することができるようになるかもしれません。

行動や生活様式のアドバイスを受けられるようになる

ウェアラブル端末にはGPSや各種センサーを搭載することができるものもあります。

これらが私たちの生活や運動量などを常に検知し、様々なアドバイスをくれるようになるかもしれません。

現在AppleWatchには、「1時間以上座りっぱなしだと通知を送る」という機能があります。座りすぎが健康にもたらす悪影響は様々な研究で認められており、デスクワーカーなどは気をつけなければなりません。AppleWatchが持ち主の動きを検知してそれに合わせた通知を送ってくれることで、長時間の座りっぱなしを防ぐことができるのです。

この機能がさらに進化すると、私たちの行動を常時モニタリング・分析し、フィットネスや体調管理に関する様々なアドバイスを受けることができるようになるでしょう。

ジェスチャーでデバイスを操作できるようになる

現在、研究開発中の端末「Kai」はジェスチャーで様々なアプリケーションをコントロールできるウェアラブル端末です。手のひらを通すタイプのバンドの形をしたジェスチャーコントローラーで、12のジェスチャーでパソコンなどのデバイスを操作することができます。

指や手を端末に触れて操作するという動作をせずにパソコンを操作したり、メールを確認したり、ニュースを閲覧することが当たり前になるかもしれません。 

小売の販売形態を変える

ウェアラブルPOSが注目を集めています。POSとは、販売時点情報管理システムのことを指し、金銭のやりとりをした時点での販売情報を管理するシステムを搭載したレジをPOSレジと呼びます。

ウェアラブルPOSは、スマートウォッチの形状の端末にPOSレジを搭載したものです。体に装着することで、いつでも、どこでも決済が可能になります。

小売店であれば、棚に商品を出したりしながら会計作業ができるようになったり、飲食店では席から立たず、スマホ決済やビットコイン決済を行うことができるようになります。

行列の解消や、リアルタイムでの在庫管理など、店舗と客の双方にとって大きなメリットがあるでしょう。

研究開発が行われているウェアラブル端末

2017年に開催された「ウェアラブルEXPO」では、研究開発中の様々なデバイスが披露されました。このイベントは企業間での技術発表やビジネスパートナーのマッチングの場であるため、まだ一般ユーザーの手に届くは少ないですが、デモ製品からもウェアラブル端末が今後どのように発展するのかを垣間見ることができます。

ハイレゾ対応骨伝導Bluetoothヘッドホン「earsopen」

骨伝導Bluetoothヘッドホンは、耳に入れるタイプの一般的なイヤホンとは異なり、耳たぶに挟むようにして装着します。
これは骨伝導の仕組みを使って直接音を聴覚神経に伝えるというもの。耳を塞がずに音楽や音声を聴くことができます。健聴者だけでなく、難聴者でも音楽や会話を楽しむこともできるでしょう。

騒音の中でもしっかりと音が聞こえるので、音楽用だけでなく、聴覚補助用、コールセンターやインカム用としての活用も予定されています。

首輪型の小型ペット用ウェアラブルセンサー「しらせるアム」

ウェアラブル端末は人間だけでなくペット用のデバイスも開発されています。

首輪型の小型ペット用ウェアラブルセンサー「しらせるアム」は、加速度センサーと気圧センサーにより動物の姿勢、動きを解析する機能を搭載しているデバイスです。さらに動きの背景にある感情や心理状態を結びつけて判断することもできます。

「しらせるアム」は2016年夏に9800円で一部をテスト販売しており、現在は一般販売に向け改良中です。

あたたまるパーカー

ウェアラブル端末は腕時計型や眼鏡型だけでなく、衣類の形をしたものもあります。
セメダイン株式会社からは独自技術を活用した服自体が発熱する暖房ウェアの展示が行われていました。

これはモバイルバッテリーさえあれば、服自体が瞬時に暖かくなるというもの。いずれ実用化されれば、日常だけでなく、寒冷地での作業などにも活用できる日がくるでしょう。

関連記事:【ウェアラブル端末とは】選び方と比較、おすすめランキング【デバイスで睡眠や心拍数の健康管理】

ウェアラブル端末の未来を担う企業ブランド

Xiaomi(シャオミ)

中国の総合家電メーカーXiaomi(シャオミ)は、フィットネスバンドや腕時計型デバイスなどのウェアラブル端末の販売を行なっています。近年は加えて、スマートシューズなどの新たなデバイスも市場に投入しています。

Apple

スマートウォッチの代名詞的存在と言える「AppleWatch」は現在Series4までリリースされています。

Suica支払いに対応したり、携帯通信網(LTE)に対応し、Apple Watchで直接通信が行える「セルラーモデル」を発売したりと少しずつ私たちの生活に溶け込む仕様へと変化し続けています。

さらにヘルスケア・医療の分野での活用も視野に入れた新機能を搭載するなど、老若男女問わず活用できるデバイスへとさらに進化していくでしょう。

Huawei(ファーウェイ)

中国の通信機器メーカーHuawei(ファーウェイ)は心拍計とGPS機能を兼備した活動量計「HUAWEI Band」などのウェアラブル端末をリリースしています。

また心拍数の測定が可能なスマートイヤフォン「Sport Pulse Earphones」なども開発しています。Huaweiの端末は高機能でありながら1万円ほどの安価な端末も多数存在しており、ユーザーに広く普及するためのきっかけ的存在となり得るかもしれません。

ウェアラブル端末の現状の課題

ウェアラブル端末が広く普及するためには、まだまだ多くの課題が存在します。ここでは、現状どのような課題が存在するのかについて解説します。

認知度が低い

AppleWatchなどは徐々に認知されつつありますが、まだまだウェアラブル端末は一般的に知られていないという現状です。2016年に行われた調査では、ウェアラブル端末の知名度は57.6%、まだまだ半数には知られていないという状況でした。

AppleWatch4のリリースなどの影響により、ある程度上昇しているとは考えられますが、認知度が低いという課題は未だ存在します。

心理的抵抗

プライバシーやセキュリティの不安

Googleが開発した眼鏡型ウェアラブル端末「Google Gass」が2015年に販売中止となりました。
GoogleGlassが流行しなかった原因のひとつと言われているのが盗撮問題です。

GoogleGlassは眼鏡型のデバイスです。ディスプレイ(レンズ)に情報を表示させたり、視界に映るものを撮影する機能を搭載していました。しかしこの撮影機能が盗撮やプライバシーの侵害を引き起こすのではないかと懸念の声が多く上がったのです。

またヘルスケア機能などは個人の体型や生体情報などをデータとして扱うため、情報流出などのリスクを感じる人は一定数いるでしょう。

ファッション性が低い

ウェアラブル端末の中には、装着した状態にファッション性のないものも多くあります。スマートウォッチのようなデザインのものであれば問題ありませんが、いかにも機械の様相をした端末は、身につけようという気にならないかもしれません。

服やアクセサリーのようなファッション性のあるデザインが必要です。

周囲からの視線

ウェアラブル端末はまだ一般的な市民権を得ているとは言い難く、装着している状態が周囲からやや不自然に見られることもあります。

例えば、「セカイカメラ」というARアプリが2009年にありました。スマートフォンにアプリをインストールし、カメラを街中でかざすと、街のあらゆる物や建物に様々な情報が映し出されるというものです。

このアプリは、当時は革新的な技術と話題になりました。しかし広く普及することなく開発が終了してしまいました。

アプリを使う動作が当時としては不自然であったことが普及しなかった原因のひとつと言われています。今では当たり前となっていますが、当時「街中でスマホをかざす」という動作は一般的ではありませんでした。街中でスマホをかざしている人に対し、不自然・怪しいと感じる人も多かったのです。

アプリやデバイスが普及すれば不自然ではなくなるが、不自然である限り普及しづらいというジレンマが発生してしまうのです。AppleWatchなどの端末も一部のアーリーアダプターが持っているというのが現状です。

関連記事:アーリーアダプターとは。イノベーター理論やサービスの成功・失敗例を解説

用途が不明瞭な点がある

スマートウォッチなどはスマートフォンの延長にすぎないという声もあるように、ウェアラブル端末は用途が不明瞭という課題があります。

普及にはウェアラブル端末ならではの機能などが搭載される必要があるでしょう。

さいごに

ウェアラブル端末はセキュリティや利便性の問題が多く残っています。しかし機能やデザイン性の向上によりいつの間にか日常に当たり前の存在になることも充分考えられます。

スマートウォッチが今のスマートフォンのような位置付けになれば、もはや「スマートフォンを取り出して画面を見る」という動作が不要になる場合もあります。私たちの生活はより便利に快適になるでしょう。

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