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テスト自動化が注目される理由とは?メリット・デメリットやおすすめのツールも紹介

更新: 2018.08.09

開発プロジェクトでテストの自動化を導入を予定しているけれど、自動化について詳しく知らないということはありませんか?もしくはソフトウェアの品質を高めるために、テストの自動化を導入したいと考えていませんか?この記事を読むことで、テスト自動化の概要やメリット・デメリットなど、導入に役立つ幅広い知識を得ることができます。また、導入のポイントやツールについても紹介していきますので、導入する際の参考にしてみてください。

この記事の目次

テスト自動化が注目される理由とは

システム開発環境の変化により、テストの自動化が注目されています。自動化が注目されるようになった背景にはいくつかの要因があります。

開発プロセスの変化

開発プロセスと言えば、以前はウォーターフォール型が主流でした。ウォーターフォール型は、要件定義から始まり、設計、プログラミング、テストと段階的にプロジェクトを進めていきます。

しかし、現在はアジャイル開発という短い期間で開発プロセスを繰り返す手法が普及してきています。アジャイル開発では何度もテストを実施する必要があるため、テストの自動化が注目されています。

短納期のプロジェクトが増えている

現在はビジネスのスピードが早まり、他社よりも早くビジネスを展開していくことが重要になってきています。そのため、ソフトウェア開発においても、3~6ヶ月程度の納期の短いプロジェクトが増えてきています。

納期が短いということは、テストにかけられる時間も短くなるので、テストの自動化による効率化が求められています。

テスト項目の増加による予算の低下

ソフトウェアやアプリ、デバイスなど、IT業界では次々に新しいものが生まれていますが、新たなモデルをリリースするにはテストが必要です。

新しい機能が追加され、テスト項目も増加しますが、テストに掛けられる予算は相対的に低下しています。予算が少ない中でより多くのテストを行うために、テストを自動化することが求められています。

求められる品質の高さ

納期が短くなり予算も減っているのに、品質は高いものが求められています。ソフトウェアやシステムの品質を高めるためにはテストは欠かせません。

時間もお金もない中で高品質のものを作るために、テストの自動化が注目されています。

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そもそもテストとは何か

ソフトウェアテストとは、設計書通りに正しく動作するか確認し、品質を評価することです。システム開発の一つの工程であり、システムを正しく動作させるための大切な作業です。

手動・自動で行うソフトウェアテスト

ソフトウェアテストは、プログラムによって自動で行う場合や人が手動で行う場合があります。手動で行うテストは人が行うのでミスが発生しますが、自動で行えばミスをなくすことができ、さらにテストの回数を増やすことで品質の向上が図れます。

ソフトウェアテストの種類

ソフトウェアテストにはさまざまな種類があります。大きく分けるとプロジェクトの工程・品質の観点・実行方法・テスト技法の4つに分類できます。テストの名称については企業によって異なる場合が多いです。

プロジェクトの工程

システム開発は、要件定義、システム設計、ソフトウェア設計、プログラミング設計と段階的に工程を進んでいきますが、各工程に対応したテストがあります。

モジュールテストはモジュール単位で行うテストのことです。プログラム設計で定義した仕様書に従って、各モジュールが要求事項を満たしているか確認します。

ソフトウェア結合テストは、モジュールを組み合わせて行うテストで、ソフトウェア設計に対応しています。

最後に、モジュールをすべて結合し、ハードウェア・ソフトウェアを含めたシステム全体のテストを行います。

品質の観点

上記は、プロジェクトの工程から見たテストですが、品質の観点からもテストを分類できます。

機能テストは、必要な機能がすべて含まれているかを検証します。性能テストは、レスポンスタイムやスループットなどの性能が要求を満たしているか検証します。

その他にも、システムに負荷をかける負荷テスト、ユーザーにとっての使いやすさを評価するユーザビリティテスト、外部の脅威に対する安全性を確認するセキュリティテストといったものがあります。

実行方法

システムもしくはソフトウェアを実際に動かして行うテストを動的テスト、それに対してシステムを動かさずに行うテストを静的テストと言います。実行方法による分類ではこの2つに分けられます。

テスト技法

テスト技法にはブラックボックステストとホワイトボックステストがあります。ブラックボックステストは、入力データに対する出力結果に着目し、内部構造はテストしません。

一方、ホワイトボックステストは、プログラムの内部構造をチェックします。

Webアプリケーションのテストについて解説

多くの方が仕事・プライベートのどちらでもなじみのあるWebアプリケーションを例にテストについて解説します。Webアプリケーションの特徴は以下の通りです。

  • ネットワークを介した情報のやりとり
  • さまざまなWebクライアントを利用した表示
  • 複数のWebページのリンクで構成されている
  • データベースとの連携

この特徴を踏まえた上で、Webアプリケーションのテストについて見ていきましょう。テストは下記の分類から、さらに細分化される場合もあります。

機能テスト

ユーザーのアクションに対して、Webアプリケーションが正常に動作するかを確認します。具体的には、ボタンを押すと指定したURLに画面が遷移するか、入力された情報が正しく表示されるかといったことを確認します。

性能テスト

どれくらいのレスポンスでWebアプリケーションが動作するかを検証します。ページの応答が遅いとユーザーがストレスを感じるため、しっかりとテストすることが大切です。

負荷テスト

Webアプリケーションを使ったシステムが限られたスペックの中で、どの程度の負荷に耐えられるかを確認します。

ユーザビリティテスト

デザインやUI(ユーザー・インターフェイス)の使いやすさのテストを行います。デザインやUIを向上させることは、近年のWebアプリケーションにおいて重要性を増してきています。

セキュリティテスト

情報漏えいなどのリスクに対するテストを行い、セキュリティのトラブルの発生を未然に防ぎます。

テスト自動化とは

ソフトウェアテストの種類と具体例についてみてきました。続いてテストの自動化について説明していきます。

テストの自動化について解説

ソフトウェアテストには、「テストケースの設計」「テストの実施と結果の確認」「テスト進捗の管理」といった作業が含まれます。

これらの作業の全てまたは一部を自動化することをテストの自動化と言います。これまで手動で行なっていたソフトウェアテストを、テスト支援ツール等を用いて自動で行います。

「テスト実行」を指すことが多い

テスト自動化はテストに関わる活動の全般を指しますが、一般的にはテストのプロセスにおける「テスト実行」を指す場合が多いです。

テスト自動化でよく使われるプログラミング言語

プログラミング言語は無数にありますが、以下にテストの自動化においてよく使われる言語を紹介します。

Ruby

Rubyを使ったテスト自動化では、Turnipというツールが人気を集めています。Webアプリケーションでのエンドツーエンドのテストの自動化ができます。

JavaScript

オープンソースのSelenium WebDriverとJavaScriptを使うと、WebアプリケーションのUIテストを自動化することができます。

JavaScriptはフロントエンド開発において需要が伸びてきていますが、テストにもよく使用されます。

Java

Javaはテストフレームワークやツールが充実していることもあり、テスト自動化の言語としてよく利用されています。代表的なものはJUnitで、モジュールテストを自動化してくれるフレームワークです。

テスト自動化のメリット

テストを自動化することで、以下のような様々なメリットがもたらされます。

テストのコスト削減・効率化を実現できる

システム開発において最も費用がかかるのが人件費ですが、テストを自動化することによりコスト削減が可能になります。また、テスト工程の効率化も実現できます。

テストにおけるミスを防げる

人手でテストを行うとどうしてもミスが発生しますが、自動化することで人為的なミスの発生を防ぐことができます。

開発における問題の早期発見につながる

テスト自動化によってテストの範囲を広げることができ、プログラムのバグを見つけやすくなります。プロジェクトのスタートからテスト自動化を前提として、開発を行うことで問題の早期発見にもつながるでしょう。

プロジェクトの品質向上につながる

自動化によって空いた工数を他の作業やテストに充てることができます。それにより、プロジェクト全体の品質向上につながります。

テスト自動化のデメリット・注意点

テスト自動化はメリットだけではありません。以下のようなデメリットに注意しましょう。

「テスト自動化=品質向上」ではない

「テスト自動化=品質向上」ではないということをしっかりと理解しましょう。自動テストツールは仕事における道具の1つでしかありません。それをどのように効果的に利用するか、チームや企業として検討することが重要です。

すべてのテストが自動化に適しているわけではない

手動テストが最適なケースもあり、すべてのテストが自動化に適しているわけではありません。導入の際にはどのテストを自動化するのか検討する必要があります。

システムの継続した開発と修正が必要

自動テストシステムは開発して終了ではなく、状況に合わせて最適な開発と修正が必要です。

自動テストシステムはあくまでも設定した項目のチェックを行います。開発が進めば、修正箇所に対応したテストが必要となるでしょう。

アプリケーションやシステムの開発は自動化を想定して行う

テスト自動化を想定してアプリケーションやシステムの開発を行わないと、大幅な修正が必要になるケースもあります。テスト自動化に適したアプリケーションやシステムへの変更は、開発を行なった後では多大なコストや時間がかかってしまうでしょう。

そのため、プロジェクトのスタートからテスト自動化を想定して、開発を行う必要があります。

テスト自動化による新たなタスクが発生する

テストを自動化したとしても、テスト結果の確認は人が行わなければなりません。そのため、自動テストの結果の分析といった新たなタスクが発生するということを理解しましょう。

テスト自動化のはじめ方

テストの自動化を始めるにあたって、検討する必要がある項目を以下に説明していきます。

どのようなテスト対象に行うか

最初に、どのようなテスト対象を自動化するのか検討する必要があります。品質が保たれるテストコードがあるかなど、自動化した方が良いテストなのか見極めることが必要です。

何を確認するためのテストなのか

ある入力に対する出力を確認するといった機能に関するテストなのか、ある処理に対してどの程度のレスポンスタイムが必要なのかといったパフォーマンスに関するテストなのか、といったことを確認していきます。

具体的に何を確認するテストなのか明確にしなければ、十分な効果を得ることは難しいでしょう。

テスト実行の利用形態を検討する

継続的な実行が必要なのか、あるいは1日1回の実施で良いのかなど、テスト対象に合わせて適切な利用形態を検討する必要があります。

自動テストシステムの構築が必要

テスト実行には、上記のポイントを踏まえた自動テストシステムが必要となります。そのシステムには継続的に開発や修正が行える柔軟性のある構成が求められます。

ROIを考慮した導入を行う

投資利益率・投資収益率・投資回収率など、ROI(Return on Investment)を考慮した導入が必要です。つまり、テスト自動化を導入するにはどれだけの費用がかかり、導入するとどのくらいのコスト削減が見込めるのかといったことを検討します。

ROIとは投資利益率のことで、投資した資本に対して得られる利益のことを指します。ROIは「利益÷投資額×100%」の計算式で求めることができます。

より詳細な計算方法については、下記のWebサイトがとても参考になります。

テスト自動化の3つの目的とROIの必要性、定義:テスト自動化のROIを計算してみよう(1) – @IT

 

おすすめのテスト自動化ツールを紹介

最後におすすめのテスト自動化ツールを紹介していきます。Webアプリケーション、ソフトウェア、サーバーに分けて紹介します。

Webアプリケーション向け

まず、Webアプリケーション向けのツールを紹介していきます。

Selenium

Seleniumは自動でブラウザを操作し、Webサイトの動作のテストができます。複数のWebブラウザに対応しており、Webアプリケーションのテストを自動化することができます。

Selenium – Web Browser Automation 

Jenkins

JenkinsはJavaで書かれたオープンソースのツールで、ソフトウェアのビルド、検証、テスト等を自動化することができます。

Webサイトから管理・設定画面を閲覧することができ、簡単な設定でモジュールテストを実行することができます。

Jenkins  

Cypress

WebアプリケーションのUIの自動テストツールです。対応言語はJavaScriptのみですがインストールが簡単で、テストの実行スピードが速いという特徴を持っています。

JavaScript End to End Testing Framework | Cypress.io  

ソフトウェア・アプリケーション向け

続いてソフトウェア向けのツールを紹介していきます。

Appium

Appiumはスマートフォンアプリのテスト自動化を行います。Android・iOS共に対応しており、様々なプログラミング言語で記述することができます。

また、Seleniumとほぼ同じ書き方でテストスクリプトを書くことができるため、Seleniumを使い慣れた人は学習コストを抑えることができます。

Appium: モバイルアプリのテスト自動化はすごいことになった 

QCWing

マウスやキーボードの操作を記録して自動操作することで、テストの自動化を行うことができます。ウインドウ操作を自動化することで、複数のアプリケーションをテストすることも可能になっています。

ソフトウェアテスト自動化ツール – QCWing | 日本ノーベル株式会社

TestComplete

TestCompleteはキーボード、マウスの操作を記録してスクリプトを生成し、テストの実行を自動化します。

簡単にテストを作成することができ、エクセルなどの外部データを使用することも可能です。

Automated UI Testing Tools | TestComplete

Webサーバー向け

最後にWebサーバー向けのツールを紹介します。

Apache Jmeter

Apacheソフトウェア財団によって開発されている、Webサーバーのパフォーマンス測定ツールです。サーバーに対して大量のリクエストを送るなどして負荷をかけ、レスポンスタイムなどの指標を測定します。

Apache JMeter – Apache JMeter™   

テスト自動化には知識とスキルが求められる

以上、ソフトウェアテストの自動化、メリット・デメリット、ツールなどについて解説してきました。ソフトウェア開発におけるテストは重要な工程ですが、自動化には知識・スキル・経験が必要になります。プログラムの構造やテスト手法、ツールなどについて深く理解していることが求められるからです。

テスト自動化研究会(STAR: Software Test Automation Research Group Jp)は、テスト自動化エンジニアの推進を行なっており様々な情報を発信しています。テストの自動化について学習したい方は、以下のサイトを参考にしてみてはいかがでしょうか。

テスト自動化研究会

開発環境の変化や労働人口の減少といったさまざまな要因を背景に、これまでの働き方を見直す動きは高まっています。それにより、業務効率化や品質の向上を実現することに役立つテスト自動化は、今後もニーズが高まっていくでしょう。

この記事を読んで、テスト自動化に興味を持った方は、あなたの市場価値を高めるために利用方法やよく使われるプログラミング言語についていち早く学ぶことをおすすめします。

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この記事を書いた人

Yoshi Otobe
アメリカの大学でジャーナリズムを専攻。帰国後、医療、教育、ビジネス、ITなどの分野でライティング、編集、翻訳業務に携わる。現在はITとプログラミングについて勉強中。「基本情報技術者試験」「ITパスポート」「Webクリエイター能力認定試験」などの資格を所有。

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