テクノロジー
OriHimeとは?医療、教育、テレワークなどで活用が期待される分身ロボット

OriHime(オリヒメ)という分身ロボットをご存知でしょうか。

遠隔操作によって動かすことができ、カメラ・マイク・スピーカーなどを通して離れた場所からOriHime(オリヒメ)の周囲にいる人とコミュニケーションが取ることを可能にするOriHime(オリヒメ)は、ビジネスや教育など様々なシーンで活用され始めています。

今回は、OriHime(オリヒメ)の特徴や活用事例、さらに最近発表されたばかりの新型「OriHime-D」について紹介します。

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OriHime(オリヒメ)とは

出典:株式会社オリィ研究所

OriHime(オリヒメ)とは、株式会社オリィ研究所が開発している遠隔コミュニケーションロボットです。

コミュニケーションロボットとしてはすでにペッパーなどが有名ですが、このOriHime(オリヒメ)はペッパーとは違い人工知能が搭載されていません。

これは、OriHime(オリヒメ)が「ロボットと人ではなく、人と人をつなぐロボット」というコンセプトで開発されたことが背景にあり、OriHime(オリヒメ)はあくまで遠隔操作によって動作するロボットであることが大きな特徴です。

遠隔操作をする人には、OriHime(オリヒメ)についているカメラやマイクを通してその場の映像を見ることや音や声を聞くことができます。また、スピーカーを通して自分の声を伝えることもできます。

この動画は、ALS(筋萎縮性側索硬化症:脳や末梢神経からの命令を筋肉に伝える神経細胞が侵される病気)の患者が視線の動きだけでOriHime(オリヒメ)を操作し、周囲に居る人に飲み物を配ることに成功した動画です。

オリィ研究所所長・吉藤健太朗氏のツイッターで投稿され、数日間で50万回再生され、2万以上リツイートされました。

このようにOriHime(オリヒメ)は遠隔操作によって首や腕を動かすことができ、この可動性によって離れた場所から様々なことを可能にします。OriHimeの活用事例についてはこの後詳しく紹介します。

OriHime(オリヒメ)の高さは21.5cm、幅は腕をたたんだ状態で約15cmで奥行きは約23cm、重量587gです。

OriHime(オリヒメ)の機能

遠隔で意思疎通ができる

OriHime(オリヒメ)にはカメラ・マイク・スピーカーが搭載されています。

インターネットを通してこれらを操作することで、内臓のマイクを通してその場所の音声を聞いたり、カメラを通して映像を見たり、スピーカーを介して自分の声を伝えたりすることができます。

リアルタイムでOriHime(オリヒメ)がいる場所の様子を見ることができ、またその場所にいる人たちと会話することができるため、まるで自分が本当にその場にいるような感覚で周囲の人たちとコミュニケーションを取ることができます。

また、OriHime(オリヒメ)は電源とパソコンを繋げるだけで利用可能です。難しい設定は必要ないため、お年寄りや子供など誰でも簡単に操作することができます。

感情を表現できる

 

出典:株式会社オリィ研究所

OriHime(オリヒメ)のもう一つの特徴として、感情表現ができる点があります。

遠隔操作によって首や手を動かすことができるだけでなく、感情表現のためのモーションが登録されているため、それらを選択することで「拍手」や「ツッコミ」などの動きをすることも可能です。

感情表現できるロボット、でありながら、OriHime(オリヒメ)の顔のデザインを見て無表情だと感じられた人もいるかもしれません。

これは、OriHime(オリヒメ)が「能面」を参考にデザインされているためです。

能面は一見して無表情に見えますが、その無機さであるために多様な表情を見る側に想起させる効果があると言われています。

喜怒哀楽の多様な感情表現に対応する能面のデザインは、まさにOriHime(オリヒメ)にぴったりと言えます。

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OriHime(オリヒメ)の使い方

続いて、OriHime(オリヒメ)の使い方を解説します。

初期設定

出典:株式会社オリィ研究所

本体に電源コードを挿し、電源を入れると、胸のランプが点滅します。

次に、web上でOriHime用IDと操作者用IDを発行します。このIDによって、操作するパソコンとOriHime(オリヒメ)本体を結びつけることが出来ます。

最後に本体をwifiにつなぎます。

胸のランプが点滅→点灯に変わると、設定が完了したサインです。

操作方法

出典:株式会社オリィ研究所

初期設定が完了すると、パソコンと電源に挿すだけで起動されます。

OriHime(オリヒメ)はiOSアプリから操作することが可能で、操作者用IDでアプリにログインすると、画面に「OriHimeが見ている光景」が映し出されるようになります。

画面下の円をスワイプすると、OriHime(オリヒメ)の左右の腕がスワイプの軌道で動き、画面右のモーションボタンをタップすると、感情表現ができます。

「はい」や「拍手」などの、予め登録されたアクションを実行できる他、ジェスチャーモードを使用すると、画面の動きに合わせてOriHime(オリヒメ)の首が動くようになり、視線移動ができます。

OriHime(オリヒメ)の活用事例

人と人をつなくロボットOriHime(オリヒメ)は、すでに様々な分野で活用されています。

ここからは、その活用事例の一部を紹介します。

医療分野

出典:orihime eye

OriHime(オリヒメ)と、OriHime eyeという視線入力装置を使った意思伝達装置を使うことで、視線の動きで文字入力を行うことができます。

OriHime eyeとは、呼吸器をつけていたり、ALSなどの難病によって身体を動かすことができない方が自分の感情を表現したり、周囲の人たちをコミュニケーションを取るために用いている透明文字盤を電子化したものです。

従来の透明文字盤は、双方が透明文字盤の扱いに慣れている必要がある上に、介護者が発話者(患者)の目線を追って一文字ずつ言葉を読み取っていくためにコミュニケーションに時間がかかっていました。

OriHime(オリヒメ)はこの問題を解決し、発話者は介護者の助けを必要とせずに自分一人で言葉を発することができ、作成した文章はその場で読み上げるだけでなく、メールやメモなどに残すことができます。

他にも、OriHime eyeを操作してOriHime(オリヒメ)の首を動かして周囲を見渡したり、頷いたり手をたたくといった動きをすることも出来ます。

記事冒頭で紹介した動画では、このOriHime eyeとこの後紹介するOriHime(オリヒメ)の新型モデル「OriHime-D」を使ってALS患者の方が視線の動きだけで周囲に居る人に飲み物を配ることに成功しています。

手を動かすことが出来る人には、目線ではなくスイッチを使って言葉を作るOriHime switchもあります。

教育分野

分身ロボットとして活躍するOriHime(オリヒメ)は、教育の現場でも導入されています。

例えば身体的、精神的な理由で教室に通えない子どもが、OriHime(オリヒメ)を教室に置くことで、自宅や病室から授業に出席することができます。

勉強は確かに一人でもすることができますが、友達とのコミュニケーションは学校に行く楽しみの一つです。

このOriHime(オリヒメ)があれば、学校に通うことが出来ない子供も、クラスメイトや先生と会話し、授業に「参加」することが出来ます。

実際に「東京都立光明特別支援学校 そよ風分教室」では、入院生徒がベッドサイドから授業に出席するためにOriHime(オリヒメ)を活用しています。

ビジネス分野

OriHime(オリヒメ)はビジネスの分野でも活用されています。

育児や怪我など、様々な理由で職場に通うことができない人も、OriHime(オリヒメ)を活用し、離れた場所から会議に参加したり、オフィスの人とコミュニケーションをとることができます。

また、社員が海外出張中に日本での会議に参加するためのツールとして活用している企業もあります。

離れた場所からもOriHime(オリヒメ)の周囲の人たちとコミュニケーションを取ることができるため、今後は受付や案内などにも利用されていくことが期待されています。

また、ビジネスの現場に特化した機能が実装されたOriHimeBiz(オリヒメビズ)というモデルもあり、専用のアプリからスケジューリング、一時ミュート、一時離席といった機能を操作することができます。

OriHime(オリヒメ)のテレワーク(リモートワーク)での活用

OriHime(オリヒメ)のビジネス分野での活用例を紹介しましたが、育児や出張などだけでなく普段からOriHime(オリヒメ)を活用し離れた場所から仕事を行う「テレワーク(リモートワーク)」の手段としても注目されています。

開発をした株式会社オリィ研究所にも、育児や難病などの事情によりOriHime(オリヒメ)を使ってリモートワークを行っている社員がいる他、70社ほどの企業がテレワークの手段としてOriHime(オリヒメ)を活用しています。(2018年7月時点)

そもそもテレワークとは

テレワークとは「tele = 離れた所」と「work = 働く」をあわせた造語で、情報通信技術を使うことでオフィスに出勤せずに自宅など離れた場所から働くことです。

場所や時間にとらわれない、柔軟な働き方として注目されており、在宅勤務者は「テレワーカー」と呼ばれることもあります。

テレワークは働く場所によって、以下の3つに分類されます。

在宅勤務

在宅勤務とは、一人でできる作業は自宅で行い、上司や同僚とのコミュニケーションはメールやチャットなどで行います。

在宅勤務のメリットは、育児や介護、家事などの事情により会社に出勤することができない人が、自宅にいながら仕事をすることができるという点のほか、通勤時間をなくすことが出来る点、会社の人たちとのコミュニケーションが最低限に抑えられることで人間関係に悩むことが少なくなる点などが挙げられます。

IT系企業を中心に在宅勤務制度という新しい働き方として広まりつつあります。

モバイルワーク

モバイル(自由に動く、可動性の)という言葉の通り、顧客先や移動中にパソコンや携帯電話で連絡を取りながら作業することです。

メリットとして、営業職種の人たちが移動の時間を活用して資料作成やメールの確認などを行うことで時間の無駄を省くことができる、外出先から社内ネットワークにアクセスして情報の確認をできることで会社に戻って確認する手間を省くことができる、ということがあります。

サテライトオフィス勤務

サテライトオフィスとは、企業の本拠地から離れたところに設置されたオフィスのことです。

本社以外のオフィススペースでパソコンなどを利用し、本社とのコミュニケーションはメールやチャットを活用します。

本社とは別の地域にある支店(支社)・事業所・営業所といったオフィスの場合、そこで働く人は会社からの辞令によって勤務しますが、サテライトオフィスは「地方に住みたいけど会社は辞めたくない」といった個人の事情に合わせた「働く場所の選択肢の一つ」として用意されています。

メリットとして、在宅勤務と同様に通勤時間の短縮や家事や育児との両立、さらに都市部への人口集中の緩和や地方創生といった効果も期待されています。

OriHime(オリヒメ)をテレワークに使うメリット

OriHime(オリヒメ)をテレワークに使う一番のメリットは、妊娠・育児・介護などの家庭や個人の事情、身体障害、あるいはケガなどにより、通勤が困難な人が働く場を作ることができることにあります。

企業側にとっては、各社員の事情を理解し、柔軟な働き方に対応することによって優秀な社員を確保できるメリットがあります。

しかしながら、日々顔を合わせてコミュニケーションを取るオフィスとは違い、メールやチャットでのコミュニケーションのみのテレワークでは、情報伝達に時間がかかったり、コミュニケーションミスが発生する可能性もあります。

その点、OriHime(オリヒメ)を使うことで、会社にいる上司・同僚とリアルタイムに会話し、現場の様子を実際に見ることできることため、まるでその場に本人がいるかのように接することができ、そういったコミュニケーションミスを防ぐことができます。

デメリット

一方で、客先交渉など対面で行わなければならない業務もまだまだ多く、職種などによっては導入が進まないことも考えられます。

また、OriHime(オリヒメ)は物理的なロボットであるため、会議などの度に会議室にOriHime(オリヒメ)を移動させたり、周囲を見渡せる場所にOriHime(オリヒメ)を配置したりと、OriHime(オリヒメ)を受け入れる側の作業が増えることもあるでしょう。

うるさい場所や大人数での同時のコミュニケーションなどには適さない部分もあります。

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石田ゆり 石田ゆり
元システムエンジニア・コンサルタント。ERPパッケージソフトウェア会社にて設計から開発、品質保証、導入、保守までシステム開発の一通りの業務を経験し、その面白さと大変さを学ぶ。働く人々を支援するバックオフィス系システム・業務効率化ツール等に特に興味あり。趣味は旅行、ヨガ、読書など。
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