サッカーのビデオ判定(VAR)などスポーツに使われるテクノロジーを解説

野球やサッカー、テニスなどスポーツの試合を見ていると、プレーしている選手以外にもたくさんの人が関わっていることがわかります。
監督やコーチ、試合の審判員、観客など。

そしてスポーツに関わっているのは人だけではありません。私たちが考えている以上に、スポーツの世界には最新のテクノロジーが導入されています。

この記事では、スポーツに導入されているテクノロジーの驚きの活用事例について紹介します。

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この記事のまとめ

スポーツにおけるテクノロジーの重要性が高まっている

プロスポーツの世界では、AI(人工知能)、機械学習、IoT(Internet of Things)が積極的に活用されています。
その目的としては

  • アスリートの技術力強化
  • チームのデータ解析
  • ライバル選手の対策・戦術を立てる
  • 誤審(ミスジャッジ)を予防する



などがあります。

特に誤審(ミスジャッジ)については、選手や観客まで取り巻く大騒動に発展しかねない問題です。

人間の力だけで判断できない部分を補う、審判をサポートするテクノロジーに注目が集まっています。

最近では、2018年のサッカーW杯でビデオ判定システムが初めて適用されることが発表され、話題となりました。

野球やサッカーなどテクノロジーの導入事例

すでに各種目にテクノロジーは活用されており、選手や審判のサポートをしています。
この記事では以下の4つの事例を解説します。

  • サッカー審判補助システム「ビデオ・アシスト・レフェリー(VAR)」
  • 野球解説AI(人工知能)「ZUNOさん」
  • テニス審判補助システム「ホークアイ(Hawk-Eye)」
  • ゴルフ練習サポート用具「Game Golf Live(ゲームゴルフライブ)」

スポーツ×テクノロジーによるエンターテイメント化

テクノロジーが役に立っているのは、スポーツをする選手本人や、選手を支える監督、審判だけではありません。テレビ画面でスポーツを観戦する私たちの役にも立っています。

例えば、ドローンを使った撮影がスポーツ観戦で用いられています。これによってテレビ画面を通して選手のプレーが間近で見られたり、大きなスタジアム全体を見られたりします。

さらに、最近はVR(仮想現実)を活用したスポーツ「Vスポーツ」も開発されています。Vスポーツは、場所を選ばず、対戦相手が目の前にいなくてもスポーツが楽しめるのです。

スポーツとテクノロジーの融合は、エンターテイメントとしてスポーツを楽しむ人々にもその価値を提供しています。

スポーツとテクノロジーの展望

あらゆるスポーツにテクノロジーが導入されつつあります。しかし、スポーツはまだ人間の力に依存している部分が大きく、テクノロジーだけで全てを補えるわけではありません。
選手へのアドバイスには監督やコーチの判断が必要ですし、試合すべてを審判できるロボットはの開発は、まだ未来の話です。

今後も引き続き研究は必要ですが、AI(人工知能)やロボットが選手や試合を支える未来が着実に近づいてきています。
テクノロジーの進歩によって、これまでのスポーツに対する価値観もガラリと変わることでしょう。

 

それではここから、スポーツとテクノロジーについて、詳細に解説します。

あらゆるスポーツでテクノロジーが導入される理由

どの競技を見ても、10年前と現在とでは、競技レベルが大幅に上がっています。あらゆるデータを解析して作られた練習メニューや道具の存在が大きく影響しているのです。
テクノロジーがスポーツをより高度なレベルまで押し上げています。こういったイノベーションに追いつこうと、あらゆる国でスポーツのテクノロジーは進歩し続けており、日本も例外ではありません。

競技のレベルが上がるほど、勝敗を決めるための審判にもシビアな判定が求められます。ただ、0.1秒、0.1cmの差が勝敗を生む競技を、人間の目だけで判定するのはとても難しいです。
審判員が正しい判定を下せるために、テクノロジーを使ったアシスト技術も開発されています。

では、主な理由について詳しく見ていきましょう。

アスリート個人のパフォーマンス向上のため

スポーツにおけるテクノロジーの活用目的の1つは、アスリートのパフォーマンス向上です。
AI(人工知能)を使ったデータ解析はアスリートの技術強化として広く用いられています。

アスリートの動きやプレーのクセなどの大量の情報をAI(人工知能)が学習・解析することで、その選手にとって最適なプレーの方法や解決するべき課題を見つかります。
監督やコーチはその情報をもとに、選手の課題を見つけ、的確なアドバイスを提供できるのです。

これまでは、監督やコーチ自身の主観的なアドバイスが一般的でした。しかし、選手とコーチは別人です。感覚まで共有できるわけではありません。
時には、監督のアドバイスが選手の成長につながらない、あるいはプレーを悪化させてしまうケースもあるでしょう。

機械学習の技術やAI(人工知能)により、データを使った客観的かつ的確なアドバイスが可能となり、パフォーマンスの向上に大きく役立てるようになりました。
選手のスキルアップ・フォーマンスの向上に役立つという点で、テクノロジーが活用され、今後はその精度も高まるのではないかと期待が寄せられています。

チーム全体をデータ解析するため

サッカーや野球、バレーなどの集団スポーツは、個人のスキルだけでなくチームメンバー全員での連携が大切です。
チームで動いた時に、弱点となるポイントはないかを判断し、弱点をフォローするように練習を繰り返します。

練習の時には、監督やコーチが自分の目でチームの動きを確認しつつ指示を出します。しかし、チーム全体の動きすべてを把握し、判断するのは非常に難しいです。

人間の視野の広さには限界がありますので、重要な点を見落としてしまうかもしれません。

これまでの練習方法としては、カメラを使ってチーム全体を撮影し、重要なシーンを見直しながら練習するのが一般的でした。

ただ、複数名のアスリートが一緒になってプレーをすると、どのようなフォーメーションが効果的なのかを目で見ただけで判断するのも難しいです。

そこで、チームを360度カメラで撮影し、チーム全体をデータ解析可能なシステムが開発されました。このシステムにより選手全員の動きをデータ解析し、弱点を導き出せます。

個人のアスリートだけでなく、チーム全体練習のサポートのためも、テクノロジーが活用されているのです。

ライバル選手の対策・戦略を考えるため

選手のトレーニングを効率的に行うためには、大会などでライバルとなる選手の対策・試合の戦略を練るのが有効です。このためにもテクノロジーが活用されています。
アスリート本人やチームメンバーのみならず、ライバル選手のクセや行動の予測などを導き出すことさえ可能です。解析用のカメラを使えばこのようなことまでできます。

収集したライバル選手のデータをもとにできるトレーニングに、VR(仮想現実)が活用されるのです。

対象となるライバル選手のデータを分析し、VR空間にその選手がプレーしている様子を映し出します。そして仮想の相手と練習試合を行うのです。

テニスや卓球など、対人で行うスポーツならば相手プレーヤーと打ち合っているような感覚を体験できます。

VRを使った試合のシミュレーションでライバル選手の対策ができるのです。

ビデオ判定として使い誤審を予防するため

スポーツの試合では、審判が判定を間違えてしまう「誤審(ミスジャッジ)」。この誤審(ミスジャッジ)を防ぐためにもテクノロジーが活用されています。

高性能のカメラを使ってコマ送りで撮影したり、映像をCG化することで審判のサポートしたりするシステムが、多くの競技で導入され、審判員のサポートをしているのです。
テニスのようにビデオ判定が競技のルールに組み込まれているものもあります。

スポーツの判定にテクノロジーを活用することで、選手にとって公正に判定される試合環境を作れるようになりました。

ビデオ判定の進化

多くのスポーツで、審判員は主審の他にも副審や線審が配置されています。これは、主審一人では見えない部分を複数人でカバーするためです。

ビデオ判定が生まれる前までは、審判員による肉眼での判定がすべてでした。主審は副審や線審の判定も参考にしながら判定を下していたのです。

基本的に主審が出した判定は覆ることはありません。しかし、選手や観客の目から見ても明らかな誤審(ミスジャッジ)はあり、時に騒動となることも少なくありませんでした。そこで導入されたのが「ビデオ判定」のシステムだったのです。

スポーツに導入されているビデオ判定の技術レベルも上がり、現在は、より高い精度で判定を下せるようになりました。

ここからはビデオ判定が進化した理由について解説していきます。

ビデオ判定とは?

例えば、ゴールの順位が僅差だったり、ボールがラインの内側に着地したか、外側に着地したかが曖昧な場面などに用いられるのがビデオ判定です。
試合の全体、あるいはある特定の瞬間をカメラで撮影し、ビデオに録画した映像を元に審判が判定を下します。

主審の肉眼では判定できないほど僅差だった場合にビデオ判定を行うことが多いです。選手が主審の判定に異議申し立てをした時にも、判定の成否を証明するものとしてビデオ判定を行います。

プロ選手が出場する大きな大会では、ビデオ判定に使われるカメラが会場に設置され、試合中モニターを監視する担当がいます。

モニターの担当は、ビデオ判定が必要となった際にカメラで撮影した映像を解析、CG処理などして審判や選手が確認できるように対応します。

撮影された映像は事実として判断され、反対の主張をしても主審のジャッジが覆ることは原則としてありません。

ビデオ判定の技術も向上

ビデオ判定自体はカメラとモニターさえあれば可能です。そのため、最近の取り入れられた制度というわけではなく、以前からありました。

しかし、カメラの技術が乏しかった時代は、スロー再生やコマ送りといった処理しかできませんでした。カメラで撮影しても主審が判定を下すのは難しく、ビデオ判定があまり意味をなさないケースも多かったです。

ただ、時代は進み、ビデオ判定の技術も向上しました。
数千分の一秒まで撮影できるハイスピードカメラや、瞬時に映像をCG処理して明確な判定を下せる技術が開発され、公式のプロスポーツの大会などに導入されています。

ビデオ判定技術向上の要因はIoT

ビデオ判定技術が向上した理由にはIoT(Internet of Things)技術が関係します。
IoTとは、直訳で「モノのインターネット」という意味です。モノ(IoTデバイス)とインターネットをつなぐことで、デバイスが取得したさまざまなデータを分析し、活用できるようになります。

ビデオ判定はIoTを判定に使うカメラに応用することで、あらゆるスポーツで主審は判定の正確性を高めることに成功しました。撮影した映像をパソコンに送り、解析できるようになったためです。
後ほど紹介しますが、IoTを使ったビデオ判定は野球やサッカー、テニスなどでも用いられています。

IoTについては、以下の記事も合わせてお読みください。

未経験からIoTエンジニアになる方法や必要な知識・スキルを解説

誤審(ミスジャッジ)は騒動に発展しかねない

新聞やニュースなど、メディアで時折騒がれる審判員の誤審(ミスジャッジ)。
審判員、特に主審のジャッジはあらゆるスポーツで、原則として訂正されることはありません。選手や監督は主審のジャッジに従ってプレーします。

もちろん主審始め、審判員も人間です。100%正確にジャッジできるわけではありません。時には間違った判定を下してしまいます。
その結果、選手や監督が自ら主審に抗議する状況に発展することもありました。

1つの誤審(ミスジャッジ)が火種となり、選手だけでなくファンも巻き込んだ大騒動になってしまうこともしばしば。

競技場の外では熱心なファン同士がケンカしてしまったという事件も後を絶ちません。

より高性能な機器を使ったビデオ判定は、審判員のミスジャッジをなくし、騒動を起こさないためにも必要な制度なのです。

誤審(ミスジャッジ)で涙を飲む選手もいる

「審判員の判定は訂正されることはない。」
その原則を守って、判定に従った結果、負けてしまった選手も確かにいます。

観客からすると、明らかな誤審でも抗議せずに従い、プレーを続ける選手の姿は素晴らしいものです。
しかし、選手本人としては「素晴らしい」という評価をもらうだけで納得できるはずもありません。大会で結果を残すために命をかけて練習してきたアスリートたち。それが1つの誤審がきっかけで負けてしまったのでは、心は悔しさで溢れてしまうでしょう。

試合の結果が勝ちでも負けでも、選手が納得して結果を受け入れられるために、どの競技でもビデオ判定を導入するべきだという意見を持つ人は多いです。

柔道の「世紀の大誤審」

マスコミや各種メディアで「世紀の大誤審」と称され、有名になった出来事があります。

2000年のシドニーオリンピック「柔道男子100kg超級」決勝。現在は柔道の解説者として活躍している篠原信一さんが誤審によって敗北したと取り上げられました。

試合では篠原さんの「内股すかし」が決まり、副審の1人は「一本」の判定。勝利を確信した篠原さんでしたが、主審はこれを「有効」とし、試合は続行。以降、篠原さんはポイントを重ねられず敗北。惜しくも銀メダルとなってしまいました。

篠原さんは当時、判定を素直に受け入れる姿勢を取りました。メディアはこの出来事を大きく取り上げ、今なお「誤審」の代表的な事例として広く知れ渡っています。

当時はまだビデオ判定の技術が高くなく、種目によっては取り入れられていないケースも多かったです。
審判が一度判定を間違えるだけで、選手の心を動揺してしまいます。すると試合の結果が大きく変わってしまうこともあるのです。

審判ができる限り正しい判定を下せるためにも、スポーツ界全体に積極的にテクノロジーを取り入れていく流れができています。

2018年サッカーワールドカップで初めてビデオ判定(VAR)を導入

2018年6月から、国別対抗で世界ナンバーワンのチームを決める「FIFAワールドカップロシア大会」が開催されます。
今回のワールドカップでは、「ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)」というビデオ判定制度が初めて適用されると正式に決定しました(VARについては後ほど詳しく解説します)。

VARはブンデスリーガ(ドイツ)やセリエA(イタリア)などの海外リーグではすでに導入されていたものの、ワールドカップでは導入されていませんでした。

VARの導入は以前から選手やファンからも意見が出ており、ついに実装されることになります。

FIFA(国際サッカー連盟)主催の大会ではすでに導入されており、初導入は2016年12月に日本で行われたFIFAクラブワールドカップでした。VAR判定によって初めてPKのチャンスを獲得したのは、日本だったのです。
準決勝で、鹿島アントラーズがアトレティコ・ナシオナル(コロンビア)戦で、VARの判定によるPKを獲得。FWの土居聖真選手が決めて初得点を記録しました。

サッカーは11対11という非常に大人数で行うスポーツです。スタジアムも広大で、選手たちはあらゆる場所に散らばってプレーします。
そのためサッカーは、主審の見ていないところで選手が反則行為を行ったり、主審がプレーを見逃してしまったりといった事態が起こりやすい一面もあるのです。

VARを使用することでジャッジが公平に行え、選手や監督が審判員に抗議して騒動になるのを防ぐこともできるでしょう。

2018年のワールドカップはテクノロジーの面でも話題となっています。

VARの導入に反対の意見もある

公平なジャッジができて、一見メリットしかないように思えるVARの導入。しかし、導入の決定に反対の意見を唱える人もいます。

主な理由として挙がっているのが、「試合を中断する時間が長くなる」ということです。ビデオ判定の時間を設けることで試合時間が長くなり、選手たちの負担も増えてしまいます。

ワールドカップはサッカーの大会では最大規模の大会です。関係者はできる限り公平かつ、選手も観客も納得できる形で試合を実施したいと思っているはず。
VARがその解決策になるかどうか、試験導入の意味もかねて2018年のワールドカップに導入されるのでしょう。

VARはサッカー日本代表にチャンスをもたらすのか?

VARの導入決定は、日本代表のプレーにどのように影響するのか、気になるところです。

日本国内でも応援している人が多いであろうサッカー日本代表。2018年のロシア大会も活躍が期待されています。

例えば、選手同士の接触によるファウルなど、主審の判定が難しい場面でVARは使われるでしょう。

VARによる判定の結果、日本代表にPKのチャンスが訪れるか、イエローカードの警告、あるいはレッドカードで退場を取られてしまうか、ジャッジが下されます。

公平なジャッジが行われるための装置であるVARですが、公平さが必ずしも自分たちが応援するチームにとって追い風になるとは限りません。

VARの導入決定は、日本代表にとって勝利のチャンスを生んでくれるのか、注目が集まります。

VAR導入に対するツイッターでの反応

ワールドカップロシア大会では、VARが効力を発揮しているようです。

VARに対するツイッターでの反応を一部紹介します。

VARは非常に高レベルのテクノロジーを駆使しており、公正なジャッジを行う上で役立っています。

ただ、VARを使って判定を下すかどうかは審判が判断するところ。観戦している人たちからすると「今のプレーにVAR判定が適用されないのはなぜか」と疑問に思う場面が多いようです。

大会後は、どのような基準でVAR判定が適用されるのかが、新たなる問題点になりそうです。

種目ごとのテクノロジー導入事例

ここからは、具体的にスポーツに活用されているテクノロジーの例を紹介していきます。

野球・サッカー・テニス・ゴルフの4種目の事例です。

サッカーのビデオ判定システム「ビデオ・アシスト・レフェリー(VAR)」

出典:FIFA WORLD CUP RUSSIA 2018

先ほど紹介しました「VAR」について、詳しく解説します。

サッカーでの誤審を防ぐために導入されているシステムのことを「ビデオ・アシスト・レフェリー(VAR)」と呼びます。映像を使って審判の判定の正誤を確認するシステムです。

2018年6月に開催のFIFAワールドカップロシアでは「The virtual offside line」などのVARがシステムが初めて活用されることが決定しました。

サッカーの誤審としてよく問題になるのが「オフサイド」です。
オフサイドとは、オフサイドライン(相手のゴールキーパーを除く一番後ろにいる選手の立ち位置を示した線)を超えて味方選手にパスが渡った場合、相手に間接フリーキックが与えられるルールです。

選手は常に動いているので、このオフサイドラインも常に動いています。主審や線審は選手の動きを見ながらオフサイドかどうかを判定しなければいけません。シアkし、試合展開や選手の配置によってラインの位置が変わるため、判定が難しいです。

このオフサイドラインを判定するためのシステムとして「The virtual offside line」が開発されました。カメラでフィールド全体を撮影し、映像を分析、オフサイドラインの位置を判定します。
「The virtual offside line」などのVARの活用によって、オフサイドの誤審が減ると期待されています。

2018年ワールドカップへのVAR導入は「試合の中断時間が長くなる可能性がある」と議論を呼んでいるようです。しかし、VARによって少しでも誤審が減るのであれば、試験的にでも導入してみる価値はあるでしょう。

参照:2018 FIFA WORLD CUP RUSSIA

野球解説AI(人工知能)「ZUNOさん」

出典:AI×野球解説 – NHK – NHKオンライン

ディープラーニング(機械学習)を利用した、プロ野球の解説などを行うAI(人工知能)です。本名は頭野(ずの)さん。
ZUNOさんが備えている機能としては主に

「投手が次に投げる球の予測」
「選手の隠された能力の発見」
「各チームの順位の予測」

などがあります。

ZUNOさんには2004年以降300万球以上のプロ野球の投球データを学習しており、球団ごとの打線や選手個人の打率に関連する情報も細かく学習しています。

ZUNOさんに求められることは、人間ではできない予測や新事実の発見です。大量のデータを学習することで、選手の特徴や傾向を分析するツールとして期待されています。

ZUNOさんの目標としては、さらに技術を高め、例えば選手の打率を調べるときに
「あるカウントによって打率が上がる」
「金曜日は打率が下がる」
「三日月の夜は打率が上がる」
などまで導き出すことです。

ZUNOさんはまだ試験段階にあるようで、データを取り込んでいる状態で、これからさらに開発が進められます。
ZUNOさんの発展により野球ファンの楽しみ方も変わり、エンターテイメントとしてのマンネリ化を防ぐこともできそうです。

参照:AI×野球解説 – NHK – NHKオンライン

テニスのビデオ判定システム「ホークアイ(Hawk-Eye)」

出典:TIME&SPACE

プロテニス選手が出場する大会では「チャレンジシステム」という制度があります。
これは、選手が審判の判定に異議を唱えたいときに有効となるルールです。打ったボールがインかアウトかをCG映像で確認できます。
各選手1セットのうち3回まで使用可能です。

プロテニス選手のサーブは時速220〜230kmにもなり、審判も目で追えない場合があります。そこで生まれた「チャレンジシステム」ですが、この制度を可能にしているのが「ホークアイ」というハイスピードカメラです。

「ホークアイ」はテニスコートに設置されています。撮影したボールをリアルタイムで分析し、CG映像化、選手や観客に見えるよう画面い表示するまでを瞬時に行える優れものです。
「ホークアイ」はカメラをWebをつないだIoT装置の一つです。これにより、ボールを高速で打ち合うテニスでも、より正確な判定を下せるようになってきています。

ただ、「ホークアイ」はすべてのテニスコートに設置されているわけではありません。大規模な大会が行われるコートにのみ実装されています。

今後「ホークアイ」が安価で運用できるようになれば、世界中のコートに設置され、誤審の数はさらに減ることでしょう。

参照:TIME&SPACE

ゴルフ練習サポート用具「Game Golf Live(ゲームゴルフライブ)」

出典:Game Golf

アスリートの技術強化のために使われているテクノロジーの事例として、ゴルフのデータ解析用具「Game Golf Live」があります。

ベルトに取り付けた装置にゴルフクラブをタッチしてからボールを打つと、データが記録できるという代物です。
クラブを振るスピードや、ボールの飛んだ方向などのデータ蓄積され、スマートフォンやパソコンでデータを確認できます。
そのデータをもとに選手自身がどこが良くできていて、何が課題なのかを見つけ、練習できるのです。

プロゴルファーはもちろん、アマチュアのゴルファーでも買うことができ、効率的な技術力強化のサポートに使われています。
これもIoTの活用事例です。

参照:iQ

注目される「スポーツアナリスト」

最新のテクノロジーがアスリートの強化に使われるようになり、注目されている職業が「スポーツアナリスト」です。
プロの選手やスポーツチームには、監督やコーチとは別にスポーツアナリストがサポートします。

監督・コーチはその競技のスペシャリストではありますが、最新のテクノロジーの知識があり、様々な装置を扱えるかというと、そうとは限りません。

データを活用した最適な戦略・戦術を組むには、選手の情報を分析する、テクノロジーのプロフェッショナルとなる人材が必要です。その役割をスポーツアナリストが担います。

ここ10年くらいで急速に注目され始めた職業のため、まだまだ一般的に知れ渡っておらず、仕事の内容も定まってはいません。
しかし、今後も最新のテクノロジーがスポーツに導入されると想定すると、スポーツアナリストの需要も伸びてくるでしょう。

選手としてプロスポーツの世界に関われなくても、選手やチームをサポートするアナリストとしてプロスポーツに関わりたいと考える人も増えると予想できます。

スポーツアナリストになるには

スポーツアナリストになるには、テクノロジーやIoTを使った装置などに関する知識に加えて、スポーツ自体のルール、体の作りに関する知識なども必要です。

大学の学部や、スポーツの専門学校などに、スポーツアナリストを目指すためコースが設けられてれいます。そのようなスポーツ専門の教育機関で学習するのがいいでしょう。

スポーツアナリストになるための学習が終わったら、スポーツアナリストの求人を探し、採用試験を受けます。合格すれば晴れてスポーツアナリストとして活動できます。

もちろん、プロアスリートのサポートをするアナリストとなると、それだけ採用の条件も厳しくなるでしょう。
競技レベルが高くなるほどにスポーツアナリストも優秀な人材が求められます。

スポーツ×テクノロジーによるエンターテイメント化

スポーツとテクノロジーの融合は、アスリートの強化につながったり、誤審を防いだりというだけに役立つわけではありません。
スポーツをエンターテインメントや娯楽として楽しんでいる人々の役にも立つのです。

その事例や取り組みについても紹介します。

ドローンによる空中からの撮影

最近、テレビでスポーツの放送をするときに「ドローン」を用いられるようになりました。

ドローンとはリモコンで操作できる飛行する装置です。
ドローンにカメラを取り付けることで、人間では撮影が難しい高い位置からの撮影や、広い競技場全体の撮影などができます。

例えば、スノーボードの大会のテレビ中継では、ドローンを使った撮影が役立っています。
高く飛び上がり回転する選手を撮影しようと人間がカメラを持って近寄ったのでは、競技を邪魔してしまいます。
ドローンを使うことで、選手の邪魔をせずに撮影が可能となったのです。

私たちがテレビで、選手の華麗な演技・競技を見れるようになったのはドローンの力が大きく関係しています。
エンターテイメントとしてスポーツを楽しむ上で、ドローンは役立っているのです。

参照:Drone-Biz

VR(仮想現実)を活用した近未来のスポーツ

スポーツを楽しむための場所や対戦相手はVR(仮想現実)によって準備することも可能となってきています。
VRの世界でスポーツをすることで、まるで本当にスポーツをしたような感覚になれるのです。VR技術を活用したスポーツを「Vスポーツ」と呼びます。

特に、球技は試合をするための専用の競技場が必要だったり、対戦相手が必要だったりして、アマチュアのプレーヤーでは準備しきれないことも多いはず。

VR空間ならば、現実の場所や対戦相手を必要とせずにスポーツが楽しむこともできるのです。

今あるスポーツをVR空間で楽しむだけでなく、VR専用スポーツの開発も進行中です。いくつか事例を紹介します。

WARP BALL(ワープボール)

出典:Soft Bank -WARP BALL-

大手携帯キャリアのSoftBankが開発したVR技術を利用したスポーツです。2017年に期間限定で「WARP BALL」を体験できるイベントが開催されました。

ルールは、「1対1で仮想空間に浮かぶボールを、相手の背後にあるゴールに決める」というもの。サッカーやアイスホッケーに似ています。
特殊な装置をつけて、その場で動くだけでプレーできます。

場所を必要とせず、対戦相手が遠くにいても通信して対戦ができる新感覚のスポーツです。

正式な競技になっているわけではないようですが、将来的にはこの「WARP BALL」のようなスポーツが、オリンピック種目になる日が来るかも知れません。

参照:Soft Bank -WARP BALL-

Sparc

出典:VR Inside

米国のCCP Gamesが開発したVR技術を活用したゲームです。
プレーヤーが1対1で、ラケットのような装置を使ってボールを打ち合います。ゲーム中はプレーヤーの上半身のみが「アバター」として出現し、プレーヤーの動きに合わせてアバターも動きます。

「Sparc」はゲーム中で「Sparc is a vSports(SparcはVスポーツだ)」と発表しています。先ほど説明した「WARP BALL」と同様、「Sparc」もゲームではなくスポーツとして楽しむ人が増えるかもしれません。

参照:VR Inside

スポーツとテクノロジーの今後の課題

スポーツに最新の科学技術を導入することで、人間ではできないアドバイスや試合の判定を下せるようになりました。
しかし、まだまだ完璧とは言えません。

人間の体の作りには、科学でも解明できておらず、今なお研究が進められている部分があります。その部分が判明しなければ、テクノロジーを使っても100%正しいアドバイスを選手に提供できないでしょう。

試合の誤審も少なくなりましたが、完全になくなったわけではありません。今の技術ではAI(人工知能)に審判の全てを任せることはできず、人間の判断に依存しているところが多いです。

「テクノロジーの力をスポーツに100%活かせるようになる」という課題は、立ちはだかり続けるでしょう。

AI(人工知能)やロボットがプロスポーツを支える未来

しかし、AI(人工知能)やロボットがプロスポーツの世界を支えるのは遠い未来ではないと思われます。

  • AI(人工知能)が独自に選手の状態を判断し、アドバイスを提供する。
  • 100%正しい判定ができるロボットがオリンピック種目の審判をする。
  • あらゆる選手のプレーを学習したロボットと練習試合をする。

このような未来が着実に近づいてきています。

今後も研究が進み、新しいテクノロジーがスポーツに次々と導入されるでしょう。

選手も監督も観客も、スポーツに関わる人々がまた新しい感覚で、スポーツをする未来がやってくると予想できます。

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Nakano Ginjiro Nakano Ginjiro
TECH::NOTEのライターとして、日々IT技術の進歩と奥深さを感じながら記事を書いています。 個人でブログも運営しています。少年漫画とテニスが好きです。
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