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「学生の枠なんてない!」就職しなくても社会を変える働き方とは

更新: 2019.04.03

世界でも類を見ない「超高齢社会」の日本。総務省が発表しているデータによると、全人口のうちに高齢者が占める割合は2025年には約30%、2060年には約40%に達すると言われています。

近い将来、あなたの家族や親戚が本当に健康で生活していると言い切れるのでしょうか。決して避けることが出来ない社会的な課題に、ITの力を駆使し立ち向かう、芳本大樹さんにお話をお伺いしました。

 
プロフィール  芳本大樹さん 

1992年生まれ。立命館大学経営学部在学中。大学入学と同時に通信会社の長期インターンを開始し個人・法人向けの営業を行い2ヶ月で営業成績全国トップを記録。

大学2年時には、新規事業の立ち上げに携わり、インターンの採用やマネジメントを行う。大学3年時に独立し現在2社のスタートアップを経営する。

キャンパスベンチャーグランプリ全国大会で経産大臣賞受賞、平成27年度起業家甲子園審査員特別賞受賞。

進んだ道が最善になるようにしたい

ーー起業や経営に興味を持たれたきっかけは何だったのですか?

幼少期から野球をしていて、そこで感じる「自分が主導者となりやっていきたい」という気持ちが「将来起業をしたい」という目標に繋がりました。

大学では経営を学ぶと決めていたので、国公立の経営学部を目指していましたが第一志望には届きませんでした。

けれども、経営を学びたいという思いは引き続き消えなかったので、合格をもらった中で最も周りに感化されながら成長出来る環境を選びました。

それが立命館大学の経営学部国際経営学科でした。一番行きたかった大学ではないけれども、「進んだ道が最善になるようにしたい」という思いで大学生活を送っています。

立命館じゃなければ今の自分がいないと思うと、恐ろしいくらい恵まれた環境にいます。今もし大学受験期に戻って第一志望に行きますか、と言われたら迷わず今の環境を選んでいます。


ーーそこから高齢者向けのサービスを立ち上げられる経緯について教えてください

一番影響を受けたのは、周囲の環境です。

昔ながらの3世帯の家に生まれ、これまで祖父母と生活してきた環境で高齢者に対する親しみを持っていましたし、姉が介護福祉士として働いていたので、高齢社会の課題も知っていました。

大学入学当時、起業したいとは考えていたものの、ビジネスモデルが明確ではなかったのですが、社会に貢献するサービスを立ち上げたいとは思っていました。

そんな時、将来の日本や将来の自分を思い描いてみると、今後ますます進む超高齢社会の中、たくさんの諸問題に囲まれて暮らしていかないといけないと思うと悲しくなりました。

母や父が高齢になった時、そして自分がおじいちゃんになった時に幸せに暮らせるようなあったらいいなを形にしたのがきっかけです。

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 「当たり前」が当たり前じゃない

ーー株式会社i-Generationsのサービスについて教えてください

老人ホームやデイサービス、自治体の高齢者福祉課といった高齢者の集まる施設・自治体様向けに、認知症予防コンテンツを含んだレクリエーションコンテンツの提供を行っています。

仕組みはAppleTVと接続したプロジェクターから、ミラーリングしたiPadの画面がスクリーンに投影されるもので、参加者はそれを見ながらレクリエーションを楽しむというものです。

コンテンツの内容やアプリは「記憶力・注意文活力・計画力」と認知症予防のために必要なスキルを伸ばす目的で独自開発しており、毎月新しいコンテンツを提供しています。

 

ーーサービスを生み出す上で最も大変だったことは何でしたか?
高齢者の目線に立つことですね。

例えば、私たちは動画を再生するときに再生ボタンを押せば再生され、停止ボタンを押せば停止することは当然の様に知っていますが、高齢者はそれを知らないので、私たちの「当たり前」のUI/UXは通用しません。

だから、より高齢者のユーザーの声を聞いて作り出すことは大変でした。介護業界はまだまだアナログな世界ですし、ITはなかなか受け入れてもらいにくいのです。

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介護業界をITで変える。

ーー世代間の違いを乗り越えた先に見えたサービスの効果について教えてください。

アプリに関しては実際の施設の高齢者やスタッフに試作をためしてもらい、泥臭くトライアンドエラーを繰り返しました。

もちろん介護施設へ導入の営業をかけていましたが、うまくいかないこともたくさんありました。けれども、私たちには「絶対このサービスは良い。」という自信がありました。

なぜなら、自身の祖父母や協力してくれた方々の第一のユーザーが「良い。」と評価をしてくれていたからです。

また、実際に導入をされている施設では、高齢者やスタッフの普段見せない意外な一面が見えるようになった、と認知症予防以外の嬉しいお声も頂けるようになりました。

 

ーーサービスを開発していく中で感じられたITスキルを保有するメリットは何ですか?

技術があれば、場所にも肩書きにも縛られません。日本であろうと海外であろうと、学生であろうと社会と対等に個人として戦っていくことが出来るのです。

実際に開発を行っているエンジニアメンバーは、英語が堪能なわけではありませんが、海外でも引き合いに合うほど、プログラミングスキルを評価されています。

彼を見ていて感じるのは、今後生き残っていくのは個のスキルがある人物だということです。

その人自身が資本となることが出来れば、どこからも必要とされる人材になれます。ITスキルはその人自身の価値を表す、物差しと言えるでしょう。

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ーー今後の展望について教えてください。

今までアナログでデータ管理をしていた介護業界を変えていきたいです。普段から、施設のスタッフの方も、高齢者の方もITを使う機会がありません。

けれども、そんな介護業界にITスキルを持ってサービスを導入することで、働き手不足と言われる介護業界の業務をより効率的に変えることが出来ます。

例えば、入居者のデータの管理がITを用いてクラウドで管理するようにする、など。自治体との協働で、人々のコミュニティもつくっていきたいですね。

 

ーー介護業界に向けての働きかけだけにとどまらず、全国の大学生向けの時間割管理アプリサービスの開発にも取り組まれている芳本さん。今後も彼の創り出すサービスから目が離せません。

貴重なお話ありがとうございました!

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