VR/AR時代に求められる人材とは?株式会社gumi 國光氏 × TECH::CAMP代表 真子

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國光さんはTokyo VR Startupsをはじめとして国内においては誰よりも先んじて市場拡大に取り組まれている1人という印象があります。

VRが必ず来るという話は既に多くのメディアでお話されているのを目にしました。

今回は、来たるVR時代に求められる人材というテーマでお話伺いたいと思います。(聴き手:株式会社div代表 真子)

 
プロフィール  國光さん

株式会社gumi代表取締役 / 株式会社Tokyo VR Startups代表取締役

 

参加全チームが投資を受けられるステージへ行くことができたTokyo VR Startups第1期

真子:この7月でTokyo VR startups(以下、TVS)の第1期(2016年1月〜7月)が終了しました。初回開催ということで試行錯誤した点もあったかと思います。実際やってみて得られた知見などありましたら教えて下さい。

國光氏:そもそもTVSとは日本初のVRに特化したインキュベーションプログラムで、第1期となる今回は30チームの応募に対し5チームを選出し行いました。

各チーム500万円の出資を受け、半年間のプログラムを経て行われたDemo dayでは、国内外の投資家はじめテレビ局などのメディアや、アライアンスパートナー企業など幅広い方々にお越しいただきました。

結果としては交渉中のものを含め5チームすべてが次の資金調達のステージに進んでいます。

 

真子:30チームも応募があったのですね。選考の際、基準は設られましたか?

國光氏:大きく分けて2つの基準を設けていました。1つは、投資を受けられる可能性を秘めているのか、という点。VRは一見「面白い」と見せやすい分野です。

だからこそ「ビジネスとしてDemo day以降も資金調達を行い、次のステージへいくことができるのか?」という基準を重視しました。もう1つは、そのコンテンツを海外へ展開させていく意思があるかどうか、です。

はっきり言って日本国内のVR市場はそこまで大きくありませんから、自ずと海外への展開が必要となります。

 

真子:なるほど。第1期のTVSのインキュベーションプログラムにおいて、苦労した点はありましたか?

國光氏:ビジネスの視点を持ってもらう点ですね。できることをやろうとするのではなく、「世の中がこう変わっていくはず」というビジョンを持ったうえで考えるようにというフィードバックを意識しました。

幸い、TVSには僕以外にも、元スクエニの和田さんやソニーコンピューター会長の丸山さん、フジのコンテンツ局長の山口さん、グリーの青柳さんや荒木さんなど、錚々たるメンターのみなさんがいらっしゃいます。

彼らの忌憚(きたん)ない率直なレビューやフィードバックを受けることで、各チームがビジネスモデルを描く視点を持てるようになりました。

実際、参加5チームのうち3チームはTVS第1期終了時にはアイディアが変わっていましたね。

 

真子:例えば、どのように変わったのでしょうか?

國光氏:参加チームのひとつのIcARus(イカロス)はというチームは当初、「ドローンをつかった空中戦のVRゲーム」を提案していました。ただ、ドローンって危ないんですよ。

街中の規制が厳しいし、200g以上のドローンは飛行する許可を取ることがそもそも難しい。実際、200gを下回るドローンの軽量化については可能性があったので、議論を重ねた結果、最終的に360度カメラを積んだ「セルフィードローン」というアイディアに行き着きました。

いまの時代、スマホで誰もがセルフィーを撮りますよね。それは思い出を残しシェアしたいという欲求に寄るものです。

既存の360度カメラが昨今人気ですが、手が入り込む上に、撮影者である自分の姿は歪みがちです。

そこで、集合写真の撮影で小型ドローンで撮影できれば、既存の360度カメラの購買層は確実に「セルフィードローン」の購買層になり、美肌加工やキャプチャ機能を加え、ゆくゆくはドローンをプラットフォームにしてアプリを生み出すことも見えてくると思います。

このように、市場性やニーズを鑑みた上で、どのようにスケールできるのかという思考ができるようにフィードバックしましたね。

 

真子:目の前にある「こうなったら楽しいよね」というアイディアだけでなく「こういう世界になるんだっていうイメージを考える」というビジネス的視点を持てるようになったということに、TVS参加の意義がありそうですね。

國光氏:そのプロセスを持てるようになることは、スタートアップとって非常に大事な考え方ですからね。

また、TVSには環境的なメリットもあると思います。同じ場所に一定期間居合わせることで、互いが切磋琢磨できる環境が提供できたという点は大きなメリットだったと思います。

そこはTECH::CAMPとも類似する点かもしれないですね。また、ソニー製品はもちろん、国内未発売のオキュラスタッチなども手に入る環境という点においてもメリットに感じてもらえたはずです。

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日本のVR市場にいま最も足りない点は、競争環境がないこと

真子:そもそも日本のVR市場は世界から1-2年前から遅れていると言われていますが、國光さん自身、その原因は何だと考えていますか?また、日本のVR市場が世界にリードできるためにはどうすれば良いかでしょうか?

國光氏:まず、日本が世界から遅れている理由は2点あります。起業家の数が少なく質が低いことと、競争環境がないということです。

確かに日本国内でも尖ったエンジニアはいるので、オキュフェスなどといったユーザー界隈レベルではある程度は盛り上がっているものの、趣味の延長に過ぎないのでそれ以上は発展しません。アメリカも当初は同じような状況でしたが、エンジェル投資家やVCから資金援助を受ける中で、VRのみに注力するチームが増えました。

夢や野心に溢れた多種多様な人種が世界中から集まり切磋琢磨する状況となり、いまやインキュベーション・プログラムなんてもはや不要と言っても過言ではありません。仕事の隙間時間で開発するのと、数人のチームでもフルコミットすることを比べれば、1年後に生まれる差は歴然です。

極端な例かもしれませんが思いますが、スタンフォード大学ではすでに大企業への就職希望者は0人になっています。起業志望の学生が7割も占め、残りの3割はテスラモーターズやフェイスブックといった企業へ就職希望ですが少々時代遅れなくらいです。そのくらい熱意に溢れているんです。

それと比べたら、日本の市場は本当にぬるいと感じます。

 

真子:日本は保守的ですし、すでにある程度の経済環境が整ってしまっていますからね。

國光氏:たしかにここ数年、起業家を育成しようという動きは日本国内でも盛んだとは思います。けれども、そこそこ成功すると周りがちやほやしてしまうせいで、ことごとく彼らにハングリー精神がありません。

だからこそTVSでは、チーム全員が開発に専念し、切磋琢磨できる環境を提供することを意識しました。

アメリカのVR向けのファンドをリードしてきた著名な投資家2名をメンターに迎えたことにより、世界基準で “周り” と比べる環境を整えた結果、TVS第1期は成果を上げられたと思います。

真子:メンターの方々が世界基準の目線を持っているからこそ、 “周り” は日本国内ではなく世界という意識が持てるプログラムだったのですね。世界を目指すのならば、数億数十億程度の規模で満足してはいけない、と。

 
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「VRらしさ」を追求することで、イノベーションを起こすきっかけをつかむことができる

真子:ところで、ゲームエイジを中心として、今後VRコンテンツをつくりたいと考えているエンジニアは多いと思います。そのような人材は、今後どのような技術やマインドセットを持ち合わせることで活躍できると考えられますか?

國光氏:技術面で言えば、VRコンテンツはゲーム以外でも基本的にunityかunrealを使う場合が殆どなので全く新しい技術を学ぶ必要はないかもしれません。

しかしながらマインドにおいては、次々とリリースされる新しいツールにアダプト(適応)しつつ「VRらしさ」を追求することは必要不可欠でしょう。

常にツール探しにアンテナを持ち、VRコンテンツを生み出すのであれば「VRらしさ」を追求すべきです。
そのために必要なことは、最先端の技術はもちろん、競合のゲームやアプリを徹底的に研究することです。

その研究心があるからこそ、自社コンテンツをどうしたらより良くなるか?という視点を持てるようになります。他社を研究し、仮説検証を繰り返し、その中で長い視野を持って目指していくことが重要です。  

それは企業規模はもちろんのこと、いち個人で、という意味合いも含みます。伸びている人材は必ず、他社を研究し、いいところを自社コンテンツにどんどん取り入れていますね。  

最先端の技術が必ずしも市場を勝ち取るわけではありませんが、「らしさ」を追求することによるイノベーションは、成熟した市場よりも興ったばかり市場の方が起こりやすいのです。  

 

真子:それは言い換えると、いまは未だ「VRにとってこれがいちばん」という型が明確化されていないということでしょうか。

國光氏:その通り。だからこそ「VRらしさ」を追求できる人材こそ、今後のVR市場において価値のある人材ということですね。

 
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向こう10年の勝ち戦に出たければ、VR/AR市場のプラットフォームを掴み取れ

真子:VRコンテンツを作っていきたいと考えている方へメッセージをお願いします。

國光氏:起業するしないに関わらず、VR/AR市場という大きな波に身を置く勇気をもってください。なぜならVR/AR市場はいま、2007年のスマホ市場と同じ位置にいるからです。2007年に戻れたとして、スマホビジネスをしない人はいないはずですよね。

2007年からの約10年はいわゆる「スマホ時代」でした。その時代を勝ち抜いた会社に共通している点は、「スマートフォン・ファースト / スマートフォンオンリー」のサービスを生み出したことです。また、それらの会社は必ずしもPC時代の勝ち組ではありません。

そうは言うものの、「一般人がどこにお金や時間を費やすか」ということに関しては、PC時代からさほど変化はしていません。PCで流行っているものをいち早く「スマートフォン・ファースト / スマートフォンオンリー」のサービスとして確立させたことに、勝算があったのです。

しかしながら、Flickrからインスタグラム、ヤフオク!からメルカリ、Yahoo!ニュースからグノシーといった具合に、2016年のスマホ市場は既に食べ尽くされています。もうニッチな市場しか残っていません。もちろん、ニッチであればあるほど市場規模は圧倒的に小さくなります。

 

真子:もう、スタートアップ界隈においてスマホ関係の事業を興すというのはハッキリ言ってもうイケてないですよね。

國光氏:食べ尽くされているからこそ、世界の企業はすでに先を見据えています。facebook CEOのザッカーバーグがオキュラスを莫大な資金で買収した理由も、VR時代のAppleになりたいから、というシンプルな理由に尽きます。

 

真子:つまり、いち早くVR/AR時代のプラットフォームを目指しているということでしょうか?

國光氏
:そう、ハードからソフトに至るエコシステムを全て自社でコントロールしたいという思いと、それを早く実現させなければという焦燥感があるのでしょう。同じくgoogleがdaydreamを開発した理由も、次の時代のgoogle playのポジションを確立させたい故に他なりません。

だからこそ、VR/AR時代のyoutubeは?Netflixは?Officeは?Adobeは?slackは?LINEは?コマースは?と、考え続けるべきだと思います。プラットフォームが大きく変わるからこそ、スマホ時代で確立していた概念が再定義される時代になるはずです。

それは同時に、1から始めた企業が圧倒的な成長の末に、市場を勝ち取る時期だと思います。向こう10年において「VR/ARファースト・VR/ARオンリー」が市場の勝ち組になることは明白です。そしてそれはスマホ時代がそうだったように、かつての勝ち組とは限りません。

Tokyo VR Startupsの第2期の募集はすでに締め切ってしまいましたが、これからも第3期、第4期とプログラムを続けていきたいと考えています。国内において、世界と競争しながらVRコンテンツを本気で作るために、最高の環境を整えていきたいとと思います。

 

真子:今回お話させていただいて、ニッチな国内市場で小銭を稼ぐのではなく果敢にVR/AR市場に挑むべきだ、とあらためて強く感じました!その上で、國光さんはじめとした世界基準の目線を持った方々にご意見をいただくことで、日本国内のVR市場ももっと面白くなっていきそうですね。

最後になりますが、今秋開講予定のTECH::CAMP VRコースでは、技術面のサポートに特化しVRコンテンツを制作できる人材を増やしていきたいと考えています。彼らによるVR/ARのコンテンツもどんどん制作していきたいと意気込んでいますので、アドバイザーとしてご協力いただけないでしょうか?

國光氏:もちろん、大丈夫ですよ。VR市場を盛り上げていきましょう!

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國光さん、今日は貴重なお話ありがとうございました!
 
 

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