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堀江貴文氏のゲームチェンジャー論「世界を変える人に共通点はない。ただダメなケースは決まってる」

更新: 2020.02.21

有史以来、人々は新しいテクノロジーの登場に心躍らせてきた。画期的なマシンの誕生が産業界に革命を起こし、ITサービスのいくつかは世界中を熱狂させた。

今この瞬間も、人工知能、IoT、ロボティクス、ドローンなど、これからの生活を変えそうな製品やサービス、つまりSomething Newに結び付きそうなテクノロジー関連のキーワードがあふれている。

ただ、どんなに画期的なテクノロジーがあっても、それだけでは世界を変えるようなSomething Newが生まれないということも歴史が証明している。変化を生み出す人、「ゲームチェンジャー」が必要だからだ。

では、現代のゲームチェンジャーたちは、ただのテクノロジー好きやエンジニアとどこが違うのか。ゲームチェンジャーは何を考え、どう行動し、何をきっかけにSomething Newを生み出しているのか。

それを、エンジニアでもある起業家・堀江貴文氏に聞いたところ、表層的なトレンド解説ではない本質的な答えが返ってきた。

「やっちゃいけないのは技術オリエンテッドで考えること」

―― ズバリ伺います。近年の日本におけるゲームチェンジャーの共通点は何なのでしょう。

みんなそういうことを聞きたがるけど、共通点なんてないですよ。

―― 例えば堀江さん同様、1990年代後半~2000年代初頭くらいにネットベンチャーを興した起業家たちは、当時の産業界でゲームチェンジャーとして見られていました。彼らに何か相通じるものはありませんか?

GMOインターネットの熊谷(正寿)さんはマルチメディア事業をやっていてたまたまネットに出会ったし、サイバーエージェントの藤田(晋)さんは起業の手段としてネットに出会った。僕はといえば、プログラマーとしてのバイト先でネットに出会っている。全員バラバラですよね。

―― とはいえ、あの当時はネットバブルで多くの起業家がベンチャーを立ち上げたものの、現在も残っているネット企業は数が限られています。トレンドに乗るだけで終わる人と、ゲームチェンジャーになれる人には、何か違いがあるんじゃないかと。

別にないと思いますよ。あるとしたら、商売のセンスくらいじゃないですか。

―― では質問を変えて、技術革新とゲームチェンジの関係性について伺います。今はスマホが普及し、インターネットが老若男女に使われるようになっています。加えて、人工知能やIoTのような技術も注目されている。こういった変化は、今後どんな産業にイノベーションをもたらすでしょう?

僕のメルマガ読者で似たようなことを聞いてくる人がいるんですけど、その問い自体がナンセンスなんですよ。だって、全部じゃないですか、変わるのは。

「将来どの業界が儲かりそうか」みたいな質問も一緒。そんなの、アイデアとやり方一つでどんな業界だって儲けられるでしょ? って。

―― でも、仮に堀江さんたちが起業したころに、最近流行っている「リアルタイム動画配信のサービスを作ろう」と思う人がいたとして、当時はネット回線が細くて実現不可能でしたよね。そういう意味で、技術革新がイノベーションを生むという側面は少なからずあるんじゃないですか?

究極的には、「業界」や「技術分野」で将来を展望するのは無駄だと話す

じゃあ聞きますけど、そもそもネット回線が細い時代にリアルタイム動画配信でビジネスをしなきゃならない理由って何かあったんですか? あのころに動画配信サイトを作るなんて、今、タイムマシンを作ろうとするようなものじゃないですか。

やっちゃいけないのは技術オリエンテッドで考えることで。イノベーションが生まれるきっかけって、そういうことじゃないんですよ。

例えばAirbnbは、技術的にはもっと前からあってもいいサービスだった。空いてる部屋を貸したい人はいたし、知らない街で変な宿に泊まりたくないと考える人も、スマホができる前からいた。

Uberにしたって、その辺を走っているクルマに相乗りができれば便利なのは昔から同じです。だったら、今はスマホにGPSも付いてるんだし、それを使って配車と乗車のマッチングをすればいいじゃん?と考えた人がいて、Uberが誕生している。

つまり、めんどくさいことを解消するのがイノベーションのきっかけであって、テクノロジーは実現の手段でしかない。

―― なるほど。

病院の診察券なんかもそうです。病院ごとに紙とかプラスチックのカードを発行するけど、あんなの真面目に全部持ち歩いていたら財布が埋め尽くされますよね。本当にバカバカしい。

だから僕が、「個人を特定できるデジタルなIDを付与して、どの病院でも使えるようにしたらいいのに」って言うと、大抵の日本人、99.9%の日本人は「それくらい我慢しろよ」となる。論理的な理由なんて何もないのに、「診察券を持ち歩くのは当たり前だ」と思ってる人の方が多いから。

そういう“自称常識人”たちが、すごいテクノロジーを駆使したって、イノベーションは生まれないじゃないですか。

iPhoneとGoogle Glass、Apple Watchの違いに見る「変化のきっかけ」

話は次第に「ゲームチェンジが起こるきっかけ」に及んでいった

―― 分かりました。では、テクノロジーとイノベーションの関係について、違う視点で伺います。iPhoneは携帯電話の世界にゲームチェンジを起こしましたが、Google Glassは今のところ世界を変えるまでに至っていません。両方とも優れたテクノロジーの結晶として誕生したのに、なぜiPhoneは世界を変え、Google Glassはダメだったのでしょう?

Google Glassは、『Newton』みたいなものだから。Newtonって知ってます? 昔、Appleが作っていたPDAで、通話機能のないスマホみたいなものです。

あれなんて、遅いしバッテリーは持たないしで、全然普及せずに終わりました。ただ、あれから20年くらい経って、やっと使えるようになったのがiPhoneなんですよ。

―― 「スマートフォン」という一大産業を創り出したiPhoneも、過去の失敗の延長線上に生まれたものだと?

それと、「小さなコンピュータ」を「スマートな電話」と言い換えることで、普通の人にも使い方がイメージできたんでしょうね。あと、iPhoneではLINEみたいなキラーアプリが生まれて、一方のGoogle Glassには生まれなかったという点も関係している。

―― 逆に言えば、iPhone単体ではここまで爆発的に広まらなかったかもしれない。

そう。ただ、こういう話は全部結果論で。未来がどうなるかなんて、誰も分からないでしょ? だから、こうすればゲームチェンジが起こせるんじゃないとか計画を練ったってしょうがない。「もっとこうなったらいいのに」、「こっちの方が絶対便利なのに」という思いに忠実になって、数打つしかないんです。

今のところ不評なApple Watchだって、意外と普及するかもしれないわけで。

Appleの発表後、その価値についてさまざまな意見が飛び交っているApple Watchだが、堀江氏の見解は?

―― 堀江さんはどの辺に可能性を感じているんですか?

最初はあんまり興味なかったですよ。ただ、先日、僕のサロンで元Microsoftの中島聡さんと対談をした時、彼が「Apple Watchに向いているアプリは、何かしている時にポケットからiPhoneを取り出す1秒の動作を省略するもの」と話していて。それは一理あるな、と。

もし、すぐにキラーアプリが誕生したら、一気にApple Watchも普及するかもしれないと思うようになりました。

例えば、中島さんの話を聞いた後、クックパッドがApple Watch向けアプリを出すという発表を知ってすごく納得できた。料理している時って両手がふさがりますよね。だからiPhoneは見づらいけど、時計型のデバイスなら見やすい。手首に付けたApple Watchが、「パスタの茹で時間は10分です」とか教えてくれたら、俺なら使う。

中島さんはゴルフ用のアプリを作っているみたいだけど、これも良い線行ってますよね。寒い時とか、手袋を外さずにグリーンまでの距離を測れたり、スコアを付けたりできたら便利だから。審判役がいない状況でテニスをする時にも便利かもしれない。

こうやって明確な使い方がイメージできるものは売れますよ。

考えるより、調べろ、試せ。その先に「解」が見える

自身の著書やメルマガで、さまざまなビジネスアイデアを披露する堀江氏。その発想の源泉とは?

―― そういうところに気付く堀江さんと、気付けない人の違いは何なのでしょうか?

僕は、「これから世の中こうなっていくだろう」という生活を、人より先に実践してるんで。スマホは誰よりも使い倒している自信があるし、ビットコインも使ってます。

ビットコインなんて、仕組みを調べれば調べるほど、お札がいらなくなるなと思いますよ。あの「汚い紙切れ」に価値があると考えている人がいまだにいるなんて、バカじゃないのと思うくらい。

―― 日本ではまだ、ビットコインより「汚い紙切れ」を使う人の方が圧倒的に多いですが。

それは、日本にまだ「ビットコイン長者」がいないからですよ。ヨーロッパや中国には超が付くほど儲かっている人がいて、彼らがいるから「ビットコインを使ってみよう」、「ビットコインで資産運用してみたい」という人が出て来ている。

―― ビットコインに関しては、マウントゴックス事件があったことで、セキュリティ問題を不安視する人たちが多いというのが現状だと思います。こういう不安を払しょくしていくことも、ゲームチェンジャーの役割になるのでしょうか?

うーん、そうかもしれないし、そうでもないんじゃないとも言える。あの事件は複合的な要因で起こっていて、すべてのビットコイン取引所がセキュリティ面に不安があるわけじゃない。

むしろ、「あの事件があったからビットコインは危険だ」と考えるのは思考停止でしかない。

日本でビットコインが流行っていない理由ははっきりしていて、さっきも言ったように日本にビットコイン長者がいないからです。長者がいれば、その知り合いも使い始めますよね。ベンチャー投資と一緒です。日本でもモナーコインみたいな仮想通貨がすでに生まれているんだから、「第2のビットコイン」として流行らせればいいんですよ。

―― では、一介のエンジニアや起業家がその「世の中が変わるきっかけ」を作る可能性を高めるには、どうすればいいと思いますか?

まず、力技で何かを変えようと正面突破するのは大変です。孫(正義)さんがネットを普及させようとして、Yahoo! BBでモデムを配りまくったみたいなやり方は、相当な営業力と組織の規模がないとできない芸当。

それができる人はやればいいと思うけど、いざやってみても、狙い通りにゲームチェンジを起こせるとは限らない。運やタイミングもあるし、いろいろやってみないと、何が当たるかは分からないんですよ、結局。

ただ、「世の中もっとこうなった方がいいのに」と考えながらいろいろ試していくうちに、ある時、「これとこれを組み合わせたらイケるんじゃないか」という解が見える瞬間が来る。

(サイバーエージェントの)藤田さんと一緒に立ち上げた『755』なんかは、まさにそうやって生まれました。

2015年の春から、TVCM攻勢をかけているトークアプリ『755』

―― 最初、藤田さんは難色を示していたそうですね。「コミュニケーションチャットならもうLINEがあるじゃないか」と。

ええ。でも、僕はテキストによる非同期コミュニケーションは絶対に普及すると思っていた。電話する相手が今話せるかどうかも分からない状態で電話するのって気が引けるし、自分が忙しい時にガンガン電話が鳴るのもイヤですよね。LINEみたいなテキストのコミュニケーションチャットが一気に普及したのって、時代の必然なんですよ。

もちろんその裏側には、スマホでサクサク会話できるようにミリ秒単位でチューニングするような技術力があったし、LINEがリリースされたタイミングもちょうどスマホの普及期でピッタリだった。そういう複合的な要素が競合を寄せ付けない強さになったのは間違いない。現に、DeNAのCommとか、(楽天の)三木谷さんが押しているViberは勝てなかったし。

ただね、LINEのような非同期コミュニケーションを、「コミュニケーションツール」としてじゃなく「メディア」としてやったら、同じチャットでもLINEとはまったく別のサービスになるわけですよ。

サイバーエージェントがAmebaで培ってきた芸能人スカウトのパワーは、他社には真似できないものがある。それと非同期コミュニケーションを組み合わせたら、面白い「メディア」が作れるんじゃない? と持ち掛けたんです。

今はリアルタイム動画配信も注目されてるけど、だからといってアイドルのトークをリアルタイムで追い続けるのってけっこう大変ですよね。だったら、非同期のやり取りの方がファンの負担を軽くできるし、755はメディアだから運営主導で場を盛り上げることもできる。

―― 組み合わせの妙ですね。

それと、755はシリコンバレー的な文化とハリウッド的な文化を融合させたものでもあるんです。

シリコンバレーがけん引してきたネットカルチャーって、特に理由はないけど、ヒッピー的だしリベラルだし、フラットですよね。一方、ハリウッドはフラットじゃなくて、スターを特別扱いすることがビジネスモデルになっている。だから正反対で、ハリウッドはシリコンバレーに対して不信感を持っている。

でもAmebaブログって、運営側の努力と工夫で、ハリウッドスターがシリコンバレー的なネットカルチャーに対して持っているような不信感を、うまく解きほぐしてますよね。これってすごいイノベーションなんですよ。だから「755はイケる」と藤田さんを口説いた。

―― 先ほど堀江さんがおっしゃった通り、時代のちょっと先を見ながら、あれこれ試してきた結果755が生まれた、と。

ええ。先のことを考えて、調べて、工夫していくうちに、他の人が気付かない「あったらいい何か」が見えるようになったってだけ。イノベーションって、そんなことなんだと思いますよ。

―― よく分かりました、ありがとうございます。

取材/伊藤健吾(編集部) 文/片瀬京子 撮影/竹井俊晴

こちらの記事はエンジニアtypeのコンテンツから転載しております。元記事はこちら

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この記事を書いた人

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