あなたは「Magic Leap One」を知っていますか?
Googleなどから2300億円以上の出資を集め、今までにない高性能という噂がありながらも、情報がほぼ明かされることがなかったARゴーグルです。そんな謎に包まれたMagic Leap Oneの開発者向けエディションが、2018年夏から販売が行われると発表されました。
今回は、その発表の詳細をはじめ、Magic Leap Oneの気になる特徴・仕様・スペックについて紹介します。
この記事の目次
Magic Leap Oneが2018年夏発売
Magic Leap Oneの開発者向けのエディションが、2018年夏に出荷されることが発表されました。
Magic Leap Oneの発売日がTwitchのライブ放送でアナウンス
2018年度中の発売が発表されていた話題のARデバイス「Magic Leap One」。しかし、正式な発売日の発表はなく、スペックや仕様などの細かい情報についても不明なままでした。
そんなMagic Leap Oneですが、7月12日にTwitchの公式チャンネルのライブ放送で2018年夏に開発者向けに発売されることが発表されました。販売価格などの詳細についてはまだ発表されていませんが、今まで謎めいていたMagic Leap Oneがリリースされるという発表は大きな注目を集めています。
AT&TがMagic leapとの独占提携を発表
Twitichのライブ配信と同じタイミングで、アメリカの大手通信会社であるAT&TがアメリカにおけるMagic Leap Oneの独占販売権を63億ドルで獲得したと発表しました。
消費者向けの販売が開始した際には、AT&Tのみがキャリアの中で取り扱うことが可能です。また、ロスアンゼルスなどで店頭デモ販売を行う権利をAT&Tは得ています。AT&Tが独占販売権を獲得したことからも、将来的に次世代のモバイル通信である5GにMagic Leap Oneが対応する可能性は高いでしょう。
Twitchで発表のリプレイ動画が公開中
Twitchで上記のMagic Leap Oneのリプレイ動画も公開されています。Magic Leap Oneのデモ映像も視聴できます。このデバイスの魅力の片鱗を感じることができるでしょう。気になる方はぜひTwitchにアクセスして動画をご覧ください。
Magic Leap Oneについて
2018年夏に開発者向けの発売が発表されたMagic Leap Oneですが、どのようなデバイスなのか知らないという方もいらっしゃるでしょう。
以下で、今までに発表されている情報から、Magic Leap Oneの魅力や特徴について解説します。
透過型のディスプレイを搭載したウェアラブルデバイス
Magic Leap Oneは、アメリカのMagic leapが開発を行なっているARゴーグルです。現実にデジタルを重ね合わせるAR(拡張現実)を体感できるウェアラブルデバイスであるARゴーグルは、ARグラス・ARメガネ・ARヘッドセット・スマートグラスなどと呼ばれることもあります。
透過型のディスプレイ「Lightwear」を搭載したMagic Leap Oneは、「DigitalLightfield」「環境マッピング」「精密なトラッキング」「音場の豊かな立体的なサウンド」といった機能を組み合わせることで自然なAR空間を実現するとされています。
MRデバイス「ホロレンズ(HoloLens)」と比較されることも
Magic Leap Oneは、現実の世界とリンクして仮想のオブジェクトが表示される「空間コンピューティング」が体験できます。今回のライブ配信のデモで見られたデジタルのオブジェクトをジェスチャーで操作する様子は、MicrosoftのHoloLensを彷彿させます。
そのため、Magic Leap OneはMeta 2などと合わせて、HoloLensに対抗するデバイスとして比較されることもあるのです。HoloLensはMRゴーグルですが、Magic Leap Oneにもそれに匹敵する体験を提供するデバイスと言えるでしょう。Meta 2やHoloLensに関しては、後ほど詳しく紹介します。
性能の高いセンサーによる空間コンピューティング
カメラやマイクなどのセンサーを多数搭載しています。それにより、頭の動き・目の動き・音声・ジェスチャーといった幅広い方法での操作が可能です。
また、現実空間に重ねた仮想現実に設置したオブジェクトを継続した利用も可能です。Magic Leap Oneの仮想空間に設置したオブジェクトは、デバイスを再度装着すればまた使えるといったイメージを持っていただくとわかりやすいでしょう。この様な使い方ができる点も、HoloLensと比較される理由と言えるでしょう。
OSは「Lumin OS」
Magic Leap Oneは、Linux・AOSP(Android Open Source Project)などのオープンソースのOSを空間コンピューティング向けにカスタマイズした「Lumin OS」が搭載されます。
また、開発者向けプラットフォームとSDK(ソフトウェア開発キット)もすでに公開されています。SDKはUnreal Engine 4やUnityをサポート。製作したアプリは準備中のマーケットプレイス「Magic Leap World」で公開できる予定です。
開発者向けプラットフォームへのアクセスやSDKのダウンロードは以下のMagic Leapの公式サイトから行えます。Magic Leap Oneの開発に興味がある方は、早めにチェックすることをおすすめします。
一流の企業・投資家がMagic Leap Oneに期待
Magic Leapは2011年に設立された企業です。 Crunchbaseを参照すると、Magic Leapは2300億以上の資金集めに成功していることがわかります。出資者の中には、Google・JP Morgan・Aribabaといった大手企業・有名投資家などの名前が数多く見られるのです。
多額の大手企業から資金集めに成功していることや情報が公開されないことにより、秘密に満ちたデバイスであるMagic Leap Oneへの期待はどんどん高まっています。
Magic Leap Oneの仕様・スペックについて
Magic leapの具体的な仕様やスペックについて気になるという方も多いでしょう。以下で、2018年7月現在で判明している情報を紹介します。
Magic Leap Oneの構成
Magic Leap Oneは、「Lightwear」というレンズと「Lightpack」と呼ばれるコンピューティングプラットフォーム、そしてフィジカルなコントローラーの3つのパーツで構成。Lightwearはディスプレイやセンサーとして機能します。十分な視野角があるのか疑問視する声も見られますが、先に販売されているHoloLensよりは広いのではないかと予想する声もあがっています。
Lightpackは持ち運びが可能なコンパクトなコンピューターです。空間コンピューティングのための高度な処理を行います。体の動きで操作できるだけでなく、コントローラーもあるという点が面白いです。このコントローラーがあることで、ジェスチャーなどでは難しい動きも処理することができるのでしょう。
Nvidia Tegra X2を搭載
Magic Leap Oneには、NvidiaのSoC(System on a Chip)「Tegra X2」が搭載されます。TegraはNintendo Switchでも採用されたプロセッサです。
SoCとは
SoCとは、「System on a chip」の略で、チップの上に様々なパーツを搭載したプロセッサーを意味します。スマホやタブレットに搭載されることの多いQualcomm SnapdragonもSoCです。
SoCとCPUの違いについて
CPUは「Central Processing Unit」の略で、中央演算装置と呼ばれることが多いです。CPUはデータ制御・演算処理などを行う重要なパーツで、デバイスの処理能力に大きく関係します。しかし、CPUは単体でスマホやタブレットなどをすべて制御できるわけではありません。モデム・GPU・メモリなどが合わせて必要になります。
SoCは、そのような必要となる様々な機能が1つのチップにまとまっている点が、CPUとは大きく異なります。
稼働時間は数時間
Tegra X2を搭載されることで、省電力な効率の良い動作が期待できるMagic Leap One。駆動時間は数時間になる予定ですが、具体的な数字はアプリのデベロッパー次第として明言は避けられました。
販売価格を予想
Magic Leap Oneの販売価格はまだ正式には発表されていません。ただ、Magic Leap Oneが最先端のウェアラブルデバイスなので、iPhone Xなどのハイエンドなスマホやタブレットに近い価格になるのではないかという意見もあります。具体的には、最も安価な構成で1000ドル(日本円で約11万円)という予想が多いです。
また、現状は開発者や企業を対象としているHoloLensが約33万円ですでに販売されていることを考えると、この価格以上になる可能性はかなり低いでしょう。いずれにせよ、販売が決定しているため、近日中に発表される可能性は高いです。
その他のAR・MRゴーグルについて
Magic Leap Oneの他にどのようなARゴーグルMRゴーグルがあるのか以下で紹介します。
ARとMRはどちらも現実雨空間にデジタルコンテンツを重ねて表示することは共通です。ただ、ARは現実、MRはデジタルに重きを置いているというアプローチの違いがあります。しかし、提供する機能性は類似した部分が多いため、合わせて紹介していきます。
購入を検討されている方は比較対象として参考にしてみてください。
HoloLens(ホロレンズ)
Microsoftが開発者向けに販売している知名度が高いHMD(ヘッドマウントディスプレイ)タイプのMR(複合現実)ゴーグル。AR(拡張現実)が現実空間に重点を置いているのに対し、MR(複合現実)はホログラフィックに似た触れられる3Dグラフィックを現実空間に投影することで、より仮想空間が強く感じられる点が異なります。
仮想空間への高い没入感が特徴のVR(仮想現実)と比較すると、ARとMRは類似している部分が多く見られます。
HoloLensは、開発者向けのみなので約33万円からと価格は高いです。その分、トラッキング・ジェスチャー・サウンドといった豊富な機能が、スタンドアローンで利用可能という高い性能を備えています。HoloLensは2015年に販売を開始。現在は、次世代ホロレンズの開発が行われています。
HoloLensはまだ開発段階であり、アプリの充実や価格の低下などが課題です。次世代ホロレンズの登場によってその課題が解決されれば、広く普及するのではないかと注目されています。Magic Leap Oneに対抗するデバイスと言えるでしょう。
Project North Star
アメリカのLeap Motionが手がけるARゴーグルの開発プロジェクト「Project North Star」。「Project North Star」のARゴーグルは開発段階のため、まだ販売されていません。
設計図がオープンソースで公開されており、公式サイトやGitHubからダウンロードが可能です。ハードとソフトのどちらもオープンソースとして利用できることや、およそ100ドルで販売を行うことをLeap Motionは目標として掲げています。
独自の路線を進むARゴーグルとして、Magic Leap Oneとは違った観点で注目を集めています。
Project North Star — Leap Motion Developer
AR HUD
自動車やウェアラブルのHUD(ヘッドアップディスプレイ)に力を入れているDigiLens。ヘッドアップディスプレイとは、透明なディスプレイによって利用者の視界と重なって情報が表示されるデバイスです。
DigiLensはこのような技術をARゴーグルに生かすことを長期的目標としており、Leap Motionのハンドトラッキング機能を採用した「AR HUD」をリファレンスモデルとして発表しています。2019年に150度という広い視野角を確保できるように開発が続けられます。HoloLensが35度程度とされていることを考えると、150度という視野角は大きな目標と言えるでしょう。
Meta2
Meta2はアメリカのMetaが開発者向けに販売しているHMDタイプのARゴーグルです。触れることも可能なホログラフィックに似た3Dデータが投影できるため、HoloLensに対抗するMRデバイスと考える方もいます。
Meta2はHoloLensを超える90度という視野角が特徴です。視野角の広さをはじめ、ジェスチャーの豊富さやマウスなどのデバイスと連携といった機能が備わっており、その性能はHoloLensを上回るという意見も見られます。
HoloLensやMagic Leap Oneとは異なり、Meta2はPCとの接続が必要です。1495ドルと価格は高めですが、HoloLensと比較すると安価です。他のデバイスを知ると、Magic Leap Oneの価格がいくらになるのか、なおさら気になったという方も多いでしょう。
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Vuzix M300 Smartglasses
VR・ARに向けた製品のサプライヤーであるVuzixのARゴーグルが「Vuzix M300 Smartglasses」です。Andoid6.0を搭載しており、コンパクトなサイズでありながらもスタンドアローンでの利用が可能。産業用途のニーズに応えるため、防水防塵に対応しています。
さいごに
7月12日のTwitchのライブ配信で、Magic Leap Oneの開発者向けのエディションが発売日が2018年夏であることが発表されました。しかし、レンズの視野角や解像度など気になるスペックの詳細については明らかにされていません。発売間際でありながらも、まだまだ謎が残されているMagic Leap Oneの今後の動向に注目しましょう。
他のAR・MRデバイスも開発者向けに販売されているものが多いことからも、ARの最適な利用やデバイスのあり方は模索している最中という印象を受けます。様々な企業や投資家から支援を受けているMagic Leap Oneが、ARの未来を切り拓く可能性もあるのではないでしょうか。
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