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VR技術者認定試験とは?特徴・出題内容と受験方法を紹介

更新: 2018.07.18

VR(Virtual Reality)が急速に世の中に拡がってきています。VRゴーグルの値段も下がり、コンテンツも増え、インターネットカフェなどでもVRコンテンツを視聴できるサービスが提供されるようになってきました。

一方、VRについてしっかりと理解している技術者はどの程度いるのでしょう。

今回は「VR技術者認定試験」について紹介します。

VR技術者認定試験とは

「VR技術者認定試験」というのは、教科書「バーチャルリアリティ学」がベースとなる試験です。

日本バーチャルリアリティ学会が主催しています。

VRが世の中に拡がって来ていますが、実際にVRについて正確に習得している人はどの程度いるのでしょうか。日本バーチャルリアリティ学会は、VRが活用される時代、人間や社会とVR技術の関係が増すことを念頭に、技術を正しく理解するために「VR技術者」を認定する試験を行っているのです。

この試験では、前半の1章から4章を対象とする「セオリーコース」と、後半の5章から8章を対象とする「アプリケーションコース」に分かれています。どちらも択一式での出題です。

バーチャルリアリティ学とは

バーチャルリアリティ学

では、この試験の基礎となっている「バーチャルリアリティ学」とはなんでしょうか。これはVRに必要な知識についての学問で、日本バーチャルリアリティ学会が発行している「バーチャルリアリティ学」では全8章で解説しています。


「バーチャルリアリティとは」にはじまり、「ヒトと感覚」「バーチャルリアリティ・インタフェース」「バーチャル世界の構成手法」の3章で、人間が外界をどの様に認識し、VRではそれをどのようにして入出力を行うのか、そのインターフェースやVR空間の構築方法について学びます。

後半は「リアルとバーチャルの融合―複合現実感―」「テレイグジスタンスと臨場感コミュニケーション」で、リアルとVRを融合したアプリケーションについて紹介し、最後に「VRコンテンツ」「VRと社会」として、コンテンツの在り方や社会で利用する上での課題や問題点などにも触れています。これ1冊でVRの全てがわかる書籍となっています。

日本バーチャルリアリティ学会 編・発行で、コロナ社から2011年1月25日に出版されています。

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日本バーチャルリアリティ学会とは

ここで「VR技術者認定試験」を主催している日本バーチャルリアリティ学会について紹介しましょう。

日本バーチャルリアリティ学会(The Virtual Reality Society of Japan)は、バーチャルリアリティに関連する技術と文化に対する貢献を目的として設立されました。設立は1996年5月27日で、2005年年6月7日には特定非営利活動法人(NPO法人)となりました。

学会としての主な活動は「学術誌、論文誌の発行」「MLなどによる情報発信」「大会(学術講演会)、VR文化フォーラム、講習会などの主催」といった、他の学会と同じような活動を行っています。

ですが、それ以外にも「『人工現実感』研究会、学生バーチャルリアリティコンテストなどの共催」「海外との協力の推進 国際会議(ICAT, IEEE-VR等)の開催等」「研究委員会の設置」などを行っています。「VR技術者認定試験」も、こういった活動を行う中で、VR技術者の育成と技術の認定を目的として行っているのです。

VR技術者認定試験 セオリーコースの内容

それではまずは「セオリーコース」から内容を見てみましょう。「セオリーコース」はVRの考え方やシステムの原理、人間の認識と行動のしくみなど、基礎的な内容になっています。

第1章:バーチャルリアリティとは

VRコンテンツ1

まずはバーチャルリアリティの意味と、バーチャルリアリティの三要素などの基礎と、VRの歴史についての出題があります。

この中でもやはり次に挙げるバーチャルリアリティの三要素は大変重要です。

1)「3次元の空間性」

人間にとっての自然な3次元空間があること

2)「実時間の相互作用性」

上の空間の中で、実時間と関係を持ちながら行動できること

3)「自己投射性」

自分の身体や感覚が、VR環境内に矛盾なく投影されていること

バーチャルリアリティはこの1)~3)の要素を有していることが重要です。

第2章:ヒトと感覚

次は人間の感覚についてです。

VRは体験をするためのものですので、五感をはじめとする人間の感覚がどのようになっているのかを学ぶのです。

特に視覚、聴覚、味覚・嗅覚については、人間の受容器や神経系、その後の脳内における情報処理の基本などが入っています。また、視覚と聴覚の相互作用など、他の五感と合わさった場合にどうなるのかなどについても学習しておく必要があります。

もちろん、皮膚感覚や内臓感覚など、触覚についても学習する必要がありますので、エンジニアと言うよりも生物学者か医者になったような気がするかもしれません。

第3章:バーチャルリアリティ・インタフェース

VR空間を体験するにあたっては、特にインタラクション性を確保するには、何らかの形で情報の入出力が必要となります。コンピューターやスマートフォンとは異なりますので、キーボードやフリック入力などは使えません。ではどのようなインターフェースを使うのでしょうか。

まず入力を行うインターフェースから考えましょう。入力インターフェースで検出するものの候補としては、姿勢や表情などの物理的状態、身体の中の状態といえる生理的状態、そして人間の気持ちなど心理的状態が利用可能です。

一方、出力側としては五感に対する出力がインターフェースとなります。従って、感覚器官に入る刺激のうち、実世界からの刺激をいかに人工的刺激で置き換えられるかというところが大きな問題です。

試験では第2章の内容を理解していることを前提に、これら入出力のインターフェースに関する出題が行われます。

第4章:バーチャル世界の構成手法

バーチャル世界とは、コンピューター内に作られた、VR体験者が体験する世界(VR空間)のことを指します。

この世界では実写であるかCGであるかを問わず、視覚、聴覚など必要な五感を現実世界と同じ様に再現するとともに、それが体験者の行動に応じて正しく変化していくことが求められます。例えば首を動かすと見える風景が変わり、音の聞こえる方向も変わっていくというような再現性が求められるのです。

もちろん全てを現実と同じにしようとすると情報をモデリングする負荷が大きくなりすぎます。あくまでも「体験」が目的ですので、「体験」が阻害されるような負荷の大きいモデリングは求められません。

したがって「体験」の目的に応じて必要な情報を取捨選択することが重要です。「体験」のために臭いや触覚が必要なのであれば、何らかの手法でそれを実現する必要があるということです。

VR技術者認定試験 アプリケーションコースの内容

次は「アプリケーションコース」について紹介しましょう。

こちらは「セオリーコース」とは異なり、「リアルとバーチャルの融合」「テレイグジスタンス」「コンテンツ」などのVRの展開に関する話や「VRと社会との関連やその未来」に関して出題されます。

第5章:リアルとバーチャルの融合―複合現実感―

アプリケーションの一つ目として挙げられているのが、リアルとバーチャルの融合です。現実の環境とVR環境が相互に関連を持つ、いわゆるMR(Mixed Reality)などもこれにあたります。また拡張現実(AR:Augmented Reality)から拡張VR(AV:Augmented Virtuality)まで含みます。

この章ではこれを構築する際に必要な技術情報について問われます。

例えば、現実の映像とCGによるVR映像とを組み合わせる場合、表示する座標が一致している必要があります。これは「レジストレーション技術」と呼ばれます。現実空間にある物体に当たると跳ね返る、物体の背後に隠れることができる、というのもこの技術が不可欠です。最近、「Pockemon GO」でポケモンが人間などの後に隠れることができるようになりました。これも高度な「レジストレーション技術」によるものです。

また、1990年代から2000年代前半にかけて流行った「ユビキタスコンピューティング」や、MRの概念をベースに、服のように常時身に付けて使用できる「ウェアラブルコンピュータ」についても、複合現実を身近にするためのデバイスとして出題対象になっています。

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ちなみにデバイスとしてはMicrosoftの「HoloLens」やEPSONの「MOVERIO」など、各種ヘッドマウントディスプレイが販売されています。

第6章:テレイグジスタンスと臨場感コミュニケーション

2つ目のアプリケーションとして、「テレイグジスタンス」が挙げられます。これは遠隔地にある物または人と、あたかも目の前にいるかのように感じながらリアルタイムに操作や会話などができる技術を指します。

テレイグジスタンスの応用例としては、人間だと危険で近寄れない場所にロボットを送り込み、ロボットの資格情報などを利用して、遠隔操作で作業を行うというものがあります。

その応用として、脳情報通信融合研究所の川人光男所長がわかりやすい例として提示されているのが、「遠く離れた所にいる家族や知人と、ロボットを通してテニスをする」というものです。例えば、あなたが近くのテニスコートに行き、ロボットを相手にテニスを行います。相手のロボットは遠隔地にいる友人の動きをトレースしていて、その友人は別の場所で、貴方の動きをトレースしているロボットとテニスをしているのです。

このテレイグジスタンス技術はVRの三要素と一致します。

ただし、より高い臨場感を作り出し、体験の質をあげるには「自分が相手を感じられるだけでなく遠隔地の人から見ても、自分が認識されるような双方向のテレイグジスタンス」が必要です。当然ロボットは人間同様でなければいけませんし、高速大容量の通信も必要になるでしょう。こういう、必要なシステムについても出題されます。

第7章: VRコンテンツ

vr

アプリケーションの3つ目は「VRコンテンツ」についてです。現時点でも様々な分野で利用がすすんでいますが、これらの応用分野について紹介してみましょう。

医療では高度な手術前にシミュレーションとしての活用が始まっていますし、教育・訓練分野では対面による接客が必要な業種での導入が始まっています。

最も利用されているのは言わずと知れたエンターテインメント部門で、現在一般人が身近に体験できるVRコンテンツのほとんどはこの分野でしょう。一般人が触れられるものとしては、マンションのショールームを見学体験するコンテンツなども、すでに存在しています。

また製造業では作業手順の確認などでも使われていますし、様々なデータの可視化技術としても活用されています。データの可視化という意味では、様々な情報を蓄えたデジタルアーカイブとしての利用も始まっています。他には地理情報システムと連動した道案内やカーナビゲーションなどの技術でも使われています。

ただし、日本では教育・研修分野での活用がなかなか進んでいないとも言われていますので、ここが今後の課題となるかも知れません。

第8章:VRと社会

最後に、VRの人体への影響をはじめ、社会の中でVRを活用する場合についての出題があります。

特に近年進みつつある福祉分野におけるVRの利用については、そのあり方や「誰に向けてのものなのか」などがまだまだ議論し尽くせていません。またVRと、それを利用する際の法律面の整備もそうです。わかりやすい例で言うと、VRコンテンツの著作権を含む知的財産権の扱いはどうなっているのか。昨今のフェークニュースによる人心誘導の延長として、VRのような体験をベースとしたコンテンツが悪用された場合の影響などについては、まだまだ法律での規制などは想定すらされていないというのが現状です。

VR技術者認定試験の過去問

しかしこの教科書で勉強したとして、どの様な問題が出題されたのかが分からなければ、不安になるでしょう。日本バーチャルリアリティ学会では、過去問として第一回から第十四回までの全ての問題と、その模範解答を公開しています。

中身を見てみると五択による文章の穴埋め問題が中心で、しっかりと内容を理解していれば、それほど難しくないことがわかります。

一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

なお、公開されているのは下記の場所です。

VR技術者認定試験過去問題

2018年のVR技術者認定講習会・試験の開催について

さて、このVR技術者認定試験ですが、今年は11、12月のみの開催ということで調整中のようです。

今年はセオリーコースを開催予定ですが、例年5、6月と11、12月の年2回実施をしていたところ、2018年については5,6月が人手不足で延期になってしまいました。

予定は下記で確認できますので、この資格が気になる人は定期的にチェックしてみてください。

VR技術者認定試験スケジュール

VR技術者認定試験を受験するメリット

それでは、技術者にとって、このVR技術者認定試験の資格を取ることにはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは二つ紹介したいと思います。

VRに関する体系的な知識が得られる

まず何と言っても、VRに対する体系的な知識を習得できることにあります。これから様々なジャンルに応用されてくる技術ですので、この技術を体系的に習得しておくことは、エンジニアとしてのキャリアを考えたときには、プログラミング言語のみを学習するよりも大きな助けになると考えられます。

特に、VRやMRについてはエンジニアの数が少ない分野ですので、企業としてもこの分野に明るいエンジニアを抱えていることは、将来を見据えたときに有用でしょう。

全て記号選択回答での出題のため、異業種の人間でも合格しやすい

また、内容はプログラミングに関する部分よりも、人間工学、生態学や脳科学なども含まれていてとっつきにくいかも知れませんが、記号選択式での回答ですので、答えがそこにある分、合格しやすくなっています。ですので、異業種・異分野だからといって遠慮したり敬遠したりする必要がないところもメリットと言えるでしょう。

VR技術者認定試験を受験するデメリット

一方、受験のデメリットはあるのでしょうか。資格試験ですので、受験して合格すれば持っていること自体はデメリットにはなりません。ですが次のようなものは、人によってはデメリットと言えるでしょう。

試験自体が延期になる場合がある

技術を勉強し、その達成した習得内容に対する達成感を満足させるために受験するのであれば、少々試験が延期になっても問題はないでしょう。ですが、技術認定として仕事に関係させるのであれば、試験の延期はデメリットになります。

このあたりのメリット・デメリットを考慮した上で、認定試験にのぞむようにしてください。

さいごに

VR技術者認定試験の概要や出題範囲、「バーチャルリアリティ学」について紹介してきました。

VRは近年、非常に注目されている一方で体系的な知識をまとまった形で得る機会がどちらかと言えば少ない分野でもあります。

VRについて学問レベルでしっかり学んでみたい、という方はぜひ受験してみてはいかがでようか。

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この記事を書いた人

Tatsuya T. Yamada
天文学・宇宙物理学の研究を行い、一般向けの講演会や解説書も書いていた。現在は、1991年から行っている「パソコンを使った教育」を本業とし、eラーニングソフト・コンテンツを開発している。教育ビッグデータ、教育へのAI活用の専門家。日本天文学会、教育システム情報学会、宇宙作家クラブ会員。

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