今の仕事からよりやりがいを求めて教育業界への転職を考えてみたものの、どういう人材が求められるのかわからずに悩んでいませんか?この記事では教育業界の現状と直面している課題から今後の動向を読み解き、これから求められる人材について分析しています。
これから転職を成功させるためにあなたが何に取り組むべきか、1つの参考となるでしょう。出典:Photo AC
この記事の目次
1.教育業界研究!見るべきポイントとは
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業界研究をするとき、細かく分類してみていくと時間がどれだけ合っても足りませんし、そこから得られる気づきも労力に見合うものではありません。
効率的に業界研究を進めるためにも見るべきポイントを紹介します。
まずは業界の全体像をざっくりと把握することが大切です。
市場規模や業界伸び率、また過去の業績も合わせて見ることで業界の傾向や動向も予想できるようになります。
教育業界の研究では市場規模、直面している課題、将来性について考えていきます。
2.教育業界の市場規模
平成27-28年の教育業界の市場規模は9070億円となっています。
これは教育業界の主要企業27社の売上を合計位した数字です。
そして過去11年間の業界規模の推移をみると平成17年から平成20年にかけては増加していましたが一度平成21年に減少、そしてまた小さいですが増加傾向にあります。
教育業界は小中高生を対象とした進学塾と、社会人を対象としたキャリアップの講座・スクールに大きく分かれます。
少子高齢化が叫ばれていますが、その分一人あたりの教育にかけるコストは増加し、また社会人も自立的に英語やプログラミングなどをオンライン・オフライン問わず学べる環境が整ったことも背景にあって市場規模が増加していると考えられます。
3.教育業界の将来性は?
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日本で少子化が進行しているのは事実です。
ですが、だからといって教育業界が縮小するというわけではありません。
最近の子どもたちは学校だけでなく学習塾や家庭教師、通信教育などに通うことが多く、1つだけでなく複数合わせて通っている子どももいます。
子どもの母数は減っていますが、一人ひとりにかける教育の費用が増しているので直近10年で教育業界が大きく縮小することはないでしょう。
またグローバル化によって英語の必要性は年々増しています。
そして競争は世界規模となるため企業が人材育成にも力を注ぎ始めています。
そのため2015年度の企業向け研修サービス市場は2.3%増の伸び率で、2016年、2017年と継続して拡大することが予想されます。
(参考資料:教育産業白書 2016 年版)
ただしビデオ講座やオンライン学習によって少ないサービス事業者でも増加する需要に対応できるようになるはずです。
市場は拡大しながらも生き残れる事業者はより顧客のニーズを反映したサービスやITに代替できないサービスを提供していくことが求められるでしょう。
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4.教育業界が直面している課題
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これから伸びていくと予想される教育業界ですが課題もあります。この課題をいかに解決していくかがより大きく拡大することになるか、縮小することになるか分かれ目になるはずです。
特に影響がある3つの課題を考えます。
4-1.少子化
今でも教育業界の多くは子供向けのサービス提供が主です。
そのため少子化が進むことは教育業界にとっての大きな脅威となります。
上のグラフは内閣府が資料で発表した合計特殊出生率と出生数の推移についてです。
ご覧のように1973年を最後に出生数は減少傾向にあります。
子どもの数が減少することで、学校をはじめとする教育業界の会社もまた減少していくことでしょう。
2014年に予備校大手の代々木ゼミナールの校舎が7割閉鎖されるというニュースがあったことからも、大手であっても危機感を持って変化に対応しようとしていることがわかります。
4-2.高度な教育を求めるニーズに応えられる人材の不足
少子化の影響に伴って、子ども1人にかける教育費は増加傾向にあります。
さらに今までの5教科だけの勉強とは異なり、英語やプログラミング、音楽、スポーツなどそれぞれに特化した教育が求められています。
しかし親の子どもに対する教育の情熱が高まる一方で、それに応えられるだけの教育者が不足しているのも事実です。
優秀な教育者には人気が殺到して全員へ対応できません。
そして負担が集中した結果、優秀な人材が辞めてしまうという問題も起きます。
教育業界では高度な教育ができる人材の確保だけでなく育成、労働環境の整備の課題も深刻です。
4-3.IT技術の導入の増加
IT技術を活かしたツールやサービスが導入されることによる課題は2つあります。
ITはツールでしかありません。
最新のIT技術を活かしたツールが導入されてもそれを使いこなせる人材が少ないのです。
そして、導入に成功した一部の企業が一人勝ちする状態にもなっています。
2つ目は少ない供給社で需要を満たせるようになってきていることです。
今まで教育は教室に通うか、家庭教師をお願いして来てもらうかのどちらかでした。
ですがIT技術の導入でオンライン学習が普及すると、少数の優秀な先生が場所に関わらず多数の生徒にサービスを提供できるようになりました。
動画を快適に視聴できる通信環境も整ってきており、この流れは加速すると考えられます。
5.業界動向から考えるこれから求められる人材
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学習塾市場は拡大し、予備校市場は縮小していたり、少子化、IT技術の導入などの課題にも直面している教育業界でこれから求められる人材はどういう方でしょうか。
考えていきます。
5-1.英語力
文部科学省でもグローバル化の流れの中、英語力の向上は極めて重要と発表されています。
2020年には東京オリンピックも開催されることを考えると、コミュニケーション能力を向上させられるスキルのある人材の需要は大きいでしょう。
5-2.プログラミング能力
文部科学省は2020年以降に施行される、プログラミング教育必修化を盛り込んだ学習指導要領改定案を発表しました。
また総務省も平成28年度から「若年層に対するプログラミング教育の普及推進」事業に取り組んでいます。
さらにICT機器による教育業界の再編も始まっています。
プログラミングを教えることになればもちろん、ICT機器の仕組みを理解し、使いこなすためにはプログラミング能力を持っていなければ正しく指導することができません。
プログラミングとは縁が遠いと感じられる教育業界でも、プログラミング能力が求められるようになります。
しかし現実には、教育業界でプログラミング能力がある人材はまだ少ないです。
そのため、これから教育業界を目指すならプログラミング能力を持っておくことで希少な人材となり、転職活動を有利に進められるでしょう。
今はプログラミングを学べる講座も増えてきています。
テックキャンプ プログラミング教養では1ヶ月という短期間で未経験からサービスを作ることができるようになることを目標にカリキュラムが設計されています。
より転職に特化したテックキャンプ エンジニア転職では3ヶ月の集中教育プログラムによって企業から求められるレベルのエンジニアを目指せます。
※2020年1月15日からテックキャンプ エンジニア転職のコース区分が廃止となり、転職支援の有無をお選びいただく形となります。詳細は本サイト(https://tech-camp.in/expert/)をご確認ください。
5-3.教育に対する情熱
教育業界で何よりも大切なことは教育に対して情熱を持っているかどうかです。
子どもの成長、自身の成長のために生徒は教師を信頼し、その会社のサービスを利用します。
たとえ能力があったとしても「どうでもいい」という気持ちは生徒に伝わり、信頼を失います。
思ったように生徒が伸びないこともあるでしょうし、理解してもらえないこともあるでしょう。
それでも投げ出さずに続けるには教育に対する情熱が必要です。
6.教育系業界で人気の企業ランキング
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教育系業界で大きな売上を出している企業をご紹介します。
売上が大きくそれだけシェアが高いということは、お客さんに求められるサービスを提供しているということです。
会社選びの1つの判断基準となるでしょう。
6-1.1位 ベネッセホールディングス
ベネッセホールディングスの売上高は4300億円と教育業界の中でも抜きん出ています。
中心となっている国内教育事業は0歳から18歳までを対象とした通信教育講座で売上の45.2%を占めます。
中国の通信教育事業にも取り組んでおり、業界の動向に合わせて柔軟に対応している企業です。
6-2.2位 学研ホールディングス
2016年の売上高は990億円で1位のベネッセホールディングスに大きな差がつけられていますが毎年増加傾向にあります。
個別指導の学研教室を中心、0歳から大人までの学習意欲や能力を伸ばす教育サービスを提供しています。
絵本や遊具に関わる事業も合わせて行っていて、教育に対して様々な角度から関わっています。
6-3.3位 ヒューマンホールディングス
ヒューマンホールディングスは教育事業を中心に、人材事業、保育事業、介護滋養など幅広いビジネスを展開しています。
学ぶだけで終わらず、学んだことを活かして働き、社会を支える、そのような世の中を作り出すことを目標に活動しています。
6-4.4位 栄光グループ
栄光ゼミナールを中心とした教育事業と教育機関への総合支援である教育ソリューション事業を柱に運営されています。
学習塾だけでなく、専門教育に特化した科学実験教室や語学教育にも力を入れています。
また、教育機関コンテンツの制作販売や生徒募集広告の事業も行っています。
6-5.5位 ナガセ
東進ハイスクール、四谷大塚、早稲田塾など有名学習塾の母体となっている会社が株式会社ナガセです。
大学生・社会人対象の東進ビジネススクールも提供していて、幼・小・中・高・大・社会人まで一貫した教育体系が構築されています。
インターネットを利用したビデオオンデマンド方式の授業や学力POSTAGEシステムなどIT技術の導入にも積極的な企業です。
7.教育業界で就職したい人気のホワイト企業
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教育業界はお客さんの将来を担っているということでどうしても長時間労働で休みが取りにくいのが現状です。
さらに中には、給与もその働きぶりに見合ってないと感じられるところも多いです。
ここでは転職サイトVokersの「待遇面の満足度」の評価をもとに、教育業界で人気の高い企業を紹介します。
7-1.株式会社Z会
小学生から社会人にまで広く教育コンテンツを提供しています。
株式会社Z会では通信教育だけでなく、参考書の出版や模擬試験も運営しています。
またグループ企業の株式会社Z会ラーニング・テクノロジでは教育ICT環境の提供も行っていて、未来を見据えた教育事業を展開しています。
7-2.株式会社ベネッセ・コーポレーション
業界シェア1位のベネッセホールディングスは待遇面の満足度でも上位にありました。
研修プログラムが充実していて、個人の成長とともにそれに合わせた研修が提供されるようになっています。
また「社員一人一人が自立し、自らのワークとライフとを自らの意思でマネジメントすること」を目指して、ワークライフマネジメント支援施策も多く組み立てられています。
7-3.株式会社早稲田学習研究会
W早稲田ゼミの運営会社です。
開校時は6名の生徒でしたが、今では正社員教師陣の高い授業力と面倒見の良さが高く評価されて17000名の生徒が通う塾へと成長しました。
今後は株式上場も視野に入れているということで、今後の成長が期待できます。
7-4.株式会社学研ホールディングス
学研ホールディングスはダイバーシティを推進しており、年齢・ジェンダー・職種・国籍・障がいの有無に関係なく多様な価値観をもった方たちがそれぞれの個性を活かして活躍しています。
新事業を発掘・創出するための「学研”G-1グランプリ”」があり、挑戦を後押しする制度も整っています。
7-5.株式会社グロービス
株式会社グロービスは「経営に関するヒト・カネ・チエの生態系を作り、社会に創造と変革を行う」というビジョンに実現に向けて取り組んでいる企業です。
グロービス経営大学院が有名ですが、グロービス・エグゼクティブ・スクール、グロービス・コーポレート・エデュケーションといったスクールを運営していて、ビジネスリーダーの育成・輩出のサポートを行っています。
フレックス労働時間制を導入されていて、個人の自主マネジメントによって働くことができます。
8.教育業界で最近注目のニュース
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教育業界の市場規模や売上高、伸び率といったマクロなことだけでなく、ニュースで取り上げられるようなミクロなことも知っておくことが大切です。
そうしたところから、今後の教育業かを予測できるからです。
それでは最近話題になった教育業界のニュースを紹介します。
8-1.NEC、大阪市内の全小中学校422校で教育ICTサービス提供
NECは大阪市内の全小中学校422校向けに、授業支援やセキュリティ対策などの機能を備えたシステムを構築し提供をはじめました。
これによりすべての学校でビデオ通話が実現し、海外との交流にも活用できるようになりました。
参考元ニュースURL:https://resemom.jp/article/2017/07/20/39322.html
8-2.NTTドコモ×インフォディオ、プログラミングキット「embot」体験版2,980円で発売
embotは、NTTドコモの新規事業創出プログラム「39works」から生まれたダンボールでできたプログラミング教育用ロボットです。
パソコン不要で、簡単な電子部品からできているembotは、スマートフォンもしくはタブレットがあれば手軽に実践的なプログラミングが体験できるようです。
参考元ニュースURL:https://resemom.jp/article/2017/07/20/39333.html
8-3.「有給休暇を取った」河合塾講師の年収が激減した話
大手予備校の河合塾講師が有給休暇の取得が原因で授業を減らされたとして裁判を起こしたニュースです。
教育業界は労働時間が長かったり、有給休暇が取りにくかったりといった問題があります。
ただ実際にこうした行動に出たのは岡田さんがはじめてということもあり、河合塾の今後の対応も注目されています。
参考元ニュースURL:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170714-00010012-bfj-soci
9.おわりに
教育業界の市場規模や今後の動向からこれから求められる人材について考えてきました。
2020年以降には小学生からプログラミング教育を必修化にする動きがあります。
これが実現すると小学生以上を指導する場合、長期的には小学生以上の人たちは全員プログラミングの素養を身につけていることになります。
そうなればサービスを提供していく教育業界の人材もプログラミングスキルを持っていなければいけません。
また直接生徒を指導する立場ではなかったとしても、教育業界の企業ではオンライン学習や勉強アプリを中心に様々ITツールの開発・導入が進んでいます。
そして導入されたITツール、ICT機器を使いこなすためにもプログラミングスキルが求められます。
そのため教育業界でもプログラミングスキルのある人材の需要は英語力のある人材と共にますます高まっていくでしょう。
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