技術の発展とともに、あらゆる事業にIT技術が紐付けられる時代になりました。今や数え切れないほどのサービスがインターネット経由で提供されています。
そこで気を付けたいのが、インターネットを介して攻撃を仕掛けてくるサイバー攻撃です。
これに対抗するためにはサイバーセキュリティに関する知識が不可欠と言えます。
そこで本記事では、サイバーセキュリティとはそもそも何なのか、最新のサイバーセキュリティ事情やセキュリティ対策を交えながら解説します。
サイバーセキュリティを分かりやすく学べるおすすめの本についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
サイバーセキュリティとは何か
近年、インターネットにつながるシステムやサービスを狙ったサイバー攻撃が増えています。
サイバーセキュリティとは、不正アクセスによるシステムの破壊やデータ窃取といったサイバー攻撃を阻止するためのセキュリティ全般を指します。
コンピューターやネットワークにセキュリティを施し、重要なデータを守ることが「サイバーセキュリティ」の目的です。
では、その役割や実情について具体的に見ていきましょう。
サイバーセキュリティが守るのはコンピューターとネットワーク
サイバーセキュリティで守るものは、おもにコンピューターとそれらがつながるネットワークです。
企業で利用するパソコンやデータサーバーなどの機器は、すべてネットワークでつながれています。社員一人ひとりのパソコンから自由にデータへアクセスできたり、誰にでもメールを送れたりと大変便利です。
しかし、悪意ある第三者がそのネットワークに侵入してしまうと、企業内の電子ファイルやメールなどのデータを見られてしまったり盗られてしまったりする可能性があります。
だからサイバーセキュリティは、コンピューターとネットワークの両方を守らなければならないのです。
重要な情報を守るサイバーセキュリティ
サイバーセキュリティで大切なことは、不正アクセスされないこと、そして重要なデータを守ることです。
これは、企業の大小に関係なく、ネットワークやコンピューターを利用している企業は、必ず意識しておかなければなりません。
なぜなら、ITを導入している企業は重要なデータをデジタル化して保存したり、社内や企業同士でやり取りしているからです。
デジタル化されたデータは、サイバー攻撃で盗まれる可能性も高くなりますので、情報漏洩を防ぐためのサイバーセキュリティを施さなければなりません。
国内外でサイバーセキュリティの重要性が増している
デジタル化されたデータは、悪用されたり流出したりすることも多く、重要なデータを守るためのサイバーセキュリティの重要性が国内外で増しています。
例えばここ数年では、NSA(米国国家安全保障局)による情報収集活動を暴露したスノーデン事件や、外交文書などの機密情報をネット上にリークしたウィキリークス事件なども記憶に新しいでしょう。
このように、サイバーセキュリティは世界的な問題・課題であり、日本国内でも2014年に「サイバーセキュリティ基本法」が施行されています。
サイバーセキュリティの落とし穴
サイバー攻撃と聞くと、ネットワークを通した手口だけをイメージしがちですが例えば「デジタル化されたデータを人が持ち出す」といった手口もサイバー攻撃なのです。
重要なデータが入った媒体を社内から持ち出したり、IDやパスワードを盗んだりすることは、アナログな手法と言えるでしょう。
このような攻撃もサイバーセキュリティの範疇とし、システムやデータベースへのアクセス制限や、機密情報を記録した電子媒体を厳重に管理するといった対策が必要です。
最新のサイバーセキュリティ事情
年々巧妙化するサイバー攻撃に合わせて、それに対抗するサイバーセキュリティも進歩し続けています。
ここでは、最近のサイバーセキュリティ事情について触れていきますので、チェックしておきましょう。
拡大するサイバーセキュリティ市場
今やIT技術は、仕事だけでなく私生活の細かな部分にまで浸透しようとしています。
近年注目されるIoTは、私たちの生活に欠かせない家電などあらゆるものが、インターネットに接続されるという技術です。
サイバー攻撃がIoTを通して個人情報を攻撃してくることは容易に想定され、それに合わせてサイバーセキュリティもその市場を急成長させています。
サイバーセキュリティ関連の人材が不足
出典:総務省
サイバーセキュリティの市場拡大に伴い、関連した人材が足りなくなることが予測されています。
総務省の調べによれば、セキュリティ人材の不足は2020年に19.3万人にも上るという推計が出ているのです。
国内では慢性的な人材不足によりセキュリティ対策に遅れもでており、人材確保が急務となっています。
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サイバーセキュリティ3つの柱
それは、PCにインストールするセキュリティソフトなどIT技術を駆使したセキュリティ、ヒューマンエラーを回避する施策、そして物理的なセキュリティ環境の構築です。
サイバーセキュリティを考える際には、この3つのアプローチが必要不可欠だと言えるでしょう。
デジタルツールを導入
サイバーセキュリティに取り組む際にまずイメージするのが、PCにインストールするセキュリティソフトなどのデジタルツール導入です。
これらは、ネットワークや接続機器に対する攻撃への対策として機能し、PC自体に入り込むウィルスなどを防御します。
自前でできるサイバーセキュリティとして有効な手段です。
また、ネットワークのエンドポイントに設置するセキュリティ機器など、専門業者に依頼するセキュリティの導入を検討するのもよいでしょう。
人的なトラブルを防ぐ対策
サイバーセキュリティでは、人的なトラブルであるヒューマンエラー対策も考慮する必要があります。
テレワークを行う際にも必要な、セキュリティ(IDやパスワード管理方法など)に対する個人の意識や、情報漏洩などが起こった場合の対処方法に関する知識などが当てはまります。
人的ミスを防ぐための施策として、組織の一人ひとりに浸透させておく必要があるのです。
物理的なセキュリティ環境の構築
データを保管している機器など、物理的なものの扱いについてもセキュリティを意識しなければなりません。
例えば、顧客データを蓄積しているファイルサーバーなどが社内に置いてある場合は「鍵のかかった部屋に設置する」「部屋の出入りについてログを取る」などの対策を考慮しましょう。
だれでも触れるようなところに機器を置いていれば、機器ごと盗まれるといった被害にもつながります。
物理的なセキュリティ環境の構築は、サイバーセキュリティにおける基本でもあり、重要なセキュリティ対策なのです。
サイバーセキュリティの勉強に最適な本5選
最初からレベルの高い知識を頭に入れようとしても、なかなか理解しにくいものです。
ですので、まずは基本から学習できる本を参考に勉強することをおすすめします。
ここでは、セキュリティについて分かりやすく学べる本を見ていきましょう。
情報セキュリティの基礎知識
「情報セキュリティの基礎知識」は、イラストを使って基礎技術を説明しているため、イメージを目で見ながら理解できる1冊です。
主にインターネットの通信方式や電子メールに利用されているプロトコルをまとめてあります。
また、サイバー攻撃がどのような手法でなされるのかを分かりやすく説明していますので、サイバーセキュリティを考える基礎として学んでおきましょう。
図解入門よくわかる最新情報セキュリティの基本と仕組み
「図解入門よくわかる最新情報セキュリティの基本と仕組み」も、図解を使った説明技術の仕組みをイメージしやすい1冊だと言えます。
情報セキュリティ技術の基礎から情報管理方法まで、セキュリティに関連する基礎を学べますので、基礎知識の積み上げとして読んでおいて損はないでしょう。
動かして学ぶセキュリティ入門講座
「動かして学ぶセキュリティ入門講座」は、サイバーセキュリティに関する入門書としても最適です。
マルウェアやトロイの木馬など、セキュリティに関する用語が説明されており、サイバー攻撃の基礎を学べます。
また、目的別のセキュリティ対策について細分化して説明されているため、どのような攻撃に対してどう対処するかという基本知識を身に付けることができるでしょう。
マスタリングTCP/IP 情報セキュリティ編
「マスタリングTCP/IP情報セキュリティ編」は、インターネット技術の基礎でもあるTCP/IPを学べる1冊です。
ネットワークを通してアクセスしてくるサイバー攻撃に対抗するための基礎知識を本書で学習できます。
内容は、暗号技術やセキュリティプロトコルなど広範囲におよび、基礎を理解して応用する考え方も身に付くでしょう。
ハッキング・ラボのつくりかた 仮想環境におけるハッカー体験学習
「ハッキング・ラボのつくりかた 仮想環境におけるハッカー体験学習」は、サイバー攻撃に対抗する実験環境などについて学習できる1冊です。
仮想環境にて実際のハッキングを体験しながら防御を学びます。
攻撃側の手法を学ぶことで、サイバーセキュリティにも活かせる重要な知識を蓄積しましょう。
体系的に学ぶ 安全なWebアプリケーションの作り方
「体系的に学ぶ 安全なWebアプリケーションの作り方 脆弱性が生まれる原理と対策の実践」は、Webアプリケーションを構築する上で考慮すべきセキュリティを学習できる1冊です。
アプリ開発ではどのような脆弱性を考慮すべきかを考えることで、セキュリティ対策について深く理解できるでしょう。
情報化社会はサイバーセキュリティが必須
今後、国内でキャッシュレスはますます広まり、AIやIoTがさらに普及するでしょう。
これらIT技術のすべてに対して、サイバーセキュリティは関連しており、その需要は今後も大きく拡大していきます。
セキュリティに関する知識も、技術や社会に合わせて、1人ひとりがアップデートしていかなければならないのです。
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