リモートワークで働くフルスタックエンジニア、劣等感をバネにプログラミングを独学
更新: 2021.07.26
落ち着いた語り口と黒髪、そして左右の指にはめた異なる指輪が魅力的な久保一也さん。アルサーガパートナーズ株式会社のサーバーサイドエンジニアを始め、さまざまなプロジェクトに関わりながらも基本はリモートスタイルで働かれています。
久保さんは TECH::NOTEにてインタビュー記事を公開 したウォンテッドリー株式会社のAndroidエンジニア・坂口諒さんと高校時代からの友人で、坂口さんのご紹介で編集部に遊びに来てくれました。
Androidエンジニアとしての道を突き詰める坂口さんとは対照的に、久保さんの働き方はまさしくフルスタックエンジニアそのものです。クールな外見からはうかがい知れない「圧倒的な劣等感」をバネに独学でプログラミングを身につけたという久保さんに、リモートワークで働くフルスタックエンジニアとしてのキャリアについて話を聞きました。
この記事の目次
サーバーサイドにとどまらず、フロントエンドも開発する
――久保さんの現職の仕事内容をお教えいただけますか?
主にリモートワークで、サーバーサイドエンジニアをしています。
もっともサーバーサイドエンジニアというのは、表向きの顔のようなものですね。実際は、より幅広い業務を担当することが多いです。
サーバーサイドのコーディングだけでなく、iOS・Android向けの開発やフロントエンドを担当することもあります。
――アルサーガパートナーズ株式会社に入社した経緯は、どのようなものですか?
以前の会社では、いまの会社に比べると仕事の進め方に疑問を感じることも多く、働き方に悩んでいたというのが本音でした。
業務の改善案が社内で突っぱねられてしまうことが多く、新たな技術をどんどん採用していくような働き方ができなかったんです。
前職を辞める前、たまたまIT勉強会で出会った方の知り合いが、現・アルサーガパートナーズ株式会社の代表でした。当時アルサーガパートナーズは創業直前で、公にはまだ会社は存在していませんでした。
しかし創業メンバーは皆、魅力的で話をすればするほどアルサーガパートナーズで仕事をしたいという気持ちが強くなりました。
そこで僕の側から「正式に会社が設立したら、仕事を頂けないでしょうか」と頼み込み、入社が決まったんです。
アルサーガパートナーズ株式会社はスマホアプリから、Webサービスまでインフラから開発、デザイン、UIUX設計、
企画提案まで一貫して請け負う技術に特化した企業。自社サービスには「LIVE 845」など。
――ウォンテッドリー株式会社のAndroidエンジニア・坂口さんは高校の同級生だそうですね。久保さんは、坂口さんよりも早くプログラミングを始めていたんですよね。
彼をエンジニアの世界に引き入れたのは僕ですね(笑)
彼は高校の頃からオタク気質で一度興味を持ったことは深く突き詰めていくタイプなので、良いエンジニアになる素質があるんじゃないかと思ったんです。
▼TECH::NOTEにて公開中の、ウォンテッドリー株式会社のAndroidエンジニア・坂口諒さんのインタビューはこちら!
・ニトリ販売員からWantedlyのエンジニアへ。独特のキャリアを元に語るプログラミングと働き方
使用するプログラミング言語自体には、こだわりがない
――使用しているプログラミング言語を教えてください。
一番使うのは、Rubyです。Rubyの次に使うことが多いのは、Swiftですね。
複数のプロジェクトをまたがって業務をすることも多いです。プロジェクトによっては、PHPやPythonのコーディングもしています。
あとはJavaScriptなど、フロントエンドのコーディングをすることもあります。
もっとも僕は広く浅く、様々なジャンルのプログラミングをする働き方をしています。そのため、ここで述べた言語のすべてに僕が精通しているわけではないです。
――エンジニアによっても、一種類の言語を深く突き詰めるタイプと、多種類の言語を書くタイプに分かれるのでしょうか。
完全にタイプは分かれますね。たとえば坂口の場合はAndroidを突き詰め、技術を磨いています。
一方、僕はプログラミング言語やデバイス自体にはこだわりが無いです。
「サービスを作りたい」というモチベーションが先行しているので、サービスを作るのに必要ならそのタイミングで勉強し、新しい言語を覚えていくんです。
どちらの働き方がマッチするかは、その人その人の性格によって決まるのではないかと思います。
▼TECH::NOTEではプログラミング未経験者の方に向け、プログラミングを独学で始めるための手順をご紹介しています。学習を始めるためのステップや学習期間、エンジニア就職への道を詳しく知りたい方はこちら
就職した友人たちへの劣等感が消えず、プログラミングを始めた
――プログラミングを始めたのは何歳の時ですか?
2012年~2013年ごろです。ちょうど大学を卒業した直後の時期でした。
僕は大学卒業後、留学を兼ね、アメリカに住んでいるいとこの家に居候しに行ったんです。
現地では、大学付属の語学学校のコースを履修しました。
もっとも語学学校の授業が始まっても、本気で英語学習をするというよりは、ずっと遊んでいるような感覚でした。
――アメリカに行くことを決めた理由は何だったのでしょう?
元々は公務員になろうと思い、大学在学中は毎日のように図書館に通い、公務員試験の勉強をしていたんです。
ところが図書館に行くと、色んな本の背表紙が目に飛び込んできて、勉強よりも読書ばかりをするようになってしまいました。IT業界に興味を持つようになったのは、この頃に読んだ本の影響が大きいです。
いまにして思えば、公務員試験の勉強を始めた頃の僕は、将来について何も考えていませんでした。
公務員を目指した動機は、安定していそうだからという何となくのものに過ぎなかったんです。だからこそ試験に身が入らず、勉強が進まなかったのかもしれません。
大学卒業が近づくころには、試験対策をおろそかにした大きなツケが回ってきました。
そのまま公務員試験を受けても合格する見込みはゼロ同然でしたし、一般企業の内定はありませんでした。
卒業後の身の振り方をどうすべきか、悩んだ末に出した結論がアメリカに行くことだったんです。当時の僕は、とにかく広い世界を見てみたかったんでしょうね。
とはいえ周りの友人が就職する中で、自分だけが企業に入らず、海外に行ったわけです。現地の学校に入ってからも、就職をした友人・知人に対する圧倒的な劣等感が消えませんでした。
――アメリカ滞在中にプログラミングを始めたのですか?
そうなんです。
語学学校でもんもんとしている頃、隣の家に住んでいる外国人がプログラマーをしているという話を聞き「プログラミングを教えてもらえないか」と頼んでみたところ、OKをもらえたんです。そうしてプログラミングを始めました。
当時の僕は分からないことを分からない言語で学んでいたわけです(笑)
なぜ、プログラミングが出来るようになったのかいまにして思うと不思議です。
――独学でプログラミングを習得しようとすると分からない点が出てきたときに解決策が分からず、そのまま挫折してしまう方も多いです。挫折しそうになる時はありませんでしたか?
挫折しそうになった瞬間は、沢山ありました。しかし、当時の僕は劣等感に突き動かされるようにして死に物狂いで学習をしていましたし、そもそも時間と体力を持て余していました。
プログラミングを始めた時、僕は学習スタートから1週間で1つサービスを作るという目標を立てました。そして、実際に1週間でサービスを作って、リリースしたんです。
――すごいですね!どのようなサービスだったのでしょう?
当時は安倍政権の誕生間近の時期だったため、前々から各政党の政策について調べており、一定の知識がありました。そこでTPPなどに関するアンケートに答えると、回答者が投票すべき政党が分かるという、簡単なサービスをリリースしたんです。
学習した内容を形にしたかったのはもちろんですが、何よりもそのサービスを作りたいという気持ちがあって。
サービスが完成した後はfacebookなどのSNSでシェアし、友達に使ってもらいました。
――休日はどのようなことをして過ごしていますか?
個人的に作りたいサービスがあるので、休日にもコードを書いていることが多いです。プログラミングは仕事であると同時に、趣味なんです。
自分でWEBサービスを作ることは、もちろんプログラミングを学ぶ上でも良い経験になりますしね。プログラミングは実際に開発をしなくては、身に付かないので。
将棋も好きですね。おじいちゃん子だったので、小さな頃にはよくおじいちゃんと将棋をしていたんです。
先日、久々に実家に帰り、おじいちゃんと将棋をしたんです。久々に将棋ができるのが、よほどうれしかったのかおじいちゃんがとても喜んでくれて。帰省した甲斐がありましたね。
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初心者のエンジニアは、絶対にオフィスで仕事をした方が良い
――エンジニアはフリーランスやリモートワークといった働き方が可能です。オフィス勤務とリモートワーク、それぞれの良い点・悪い点を久保さんはどのように捉えていますか?
初心者のエンジニアなら、絶対にオフィスに行って仕事をした方が良いです。分からない点が出てきたときに、すぐに周りに質問が出来るというメリットは大きいです。
ただ一定以上のレベルに達したエンジニアにとっては、オフィス勤務のデメリットもそれなりに大きいと僕は考えています。
作業中に社長や上司、同僚に話しかけられるとコーディングを中断し、対応せざるを得ないですし、それだけで作業効率が大きく下がります。リモートワークであれば、こうしたデメリットは最小限に抑えられます。
エンジニアとしてのスキルの習熟度によって、向いている働き方とそうでない働き方があると思います。
僕の場合は、いまの段階ではリモートワークが自分に合っていると思います。
エンジニアほど時代の移り変わりが早い職種は無い
――久保さんはエンジニアという職業の魅力を何だと考えていますか?
1年前には普通に使われていた技術が、今日にはもう使い物にならないということがよく起きる職業がエンジニアです。向上心の無いエンジニアは、あっという間に時代に置いていかれます。
他の業界を見渡しても、エンジニアほど時代の移り変わりが早い職種はなかなか無いと思ってます。
エンジニアとして働くことで、自然と身に付く「時代に順応していく力」はもしいつかエンジニアを辞める日が来たとしても、他の業種でも役に立つと考えてます。
――これからプログラミングを始めようとしている20代・30代の方に向け、アドバイスをお願いします。
プログラミングは「こういう世の中になったらいいな」というような夢や目標を実現するための手段でしかないと、僕は考えてます。
目標を持たずにプログラミングを学ぶと学習の途中でつまらなくなり、やがては挫折してしまうと思います。
これからプログラミングを学ぶ方には、何を作りたいかを明確にすることをお勧めします。
――久保さん、ありがとうございました!
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