ゲームの制作において、世界No.1のシェアを誇るUnity。そんなUnityの最新バージョンであるUnity 2018.1が2018年5月2日にがメジャーリリースされました。
このUnity 2018.1が、Unity 2017からどのように進化したのか気になっている方も多いのではないでしょうか?そこで今回は、Unity 2018.1の新機能をはじめ、Unityの日本最大のカンファレンスイベント「Unite Tokyo 2018」で発表された内容まで徹底紹介します。
作業効率とグラフィックスが向上したパワフルなUnity 2018.1の魅力を理解して、あなたも今日からその素晴らしさを体感しましょう。
この記事の目次
メジャーリリースされたUnity 2018.1
Unity 2018.1が2018年5月2日にメジャーリリースされました。4月のリリース予定と発表されていたので、待ちわびていたユーザーの方も多いのではないでしょうか。まずは、そのUnity 2018.1の概要について紹介します。
Unityとは
Unityは、2D・3Dのゲーム開発に必要な機能が揃った統合開発環境です。UE4(Unreal Engine 4)と並び、世界でも高いシェアを誇っています。
基本となる機能に加え、アセットストアではゲームの素材やプラグインの購入できます。アセットを上手く使えば、初心者の方でもゲームの作成をスムーズに行えます。
このような拡張性の高さと使いやすさもUnityが世界中で支持されている理由の1つとなっています。また、ユーザーが多いので、インターネットや本などで参考にできる資料が多いことも魅力です。
Unityの新しいサイクルがスタート
ベータ版のみの公開だったUnity 2018。そのUnity 2018のTECHストリームの最新バージョンであるUnity 2018.1が正式リリースされました。
TECHストリームには、年に3回のアップデートがあります。業務用途などで安定した状態で使いたい場合には、LTSストリームがおすすめ。LTS版は2年間のサポートが提供されます。
Unity 2018の新機能とは
Unity 2018.1は、グラフィックス性能の向上や効率の良いワークフローの実現が大きなポイントになっています。Unity 2018.1の新機能については、以下で詳しく説明していきます。
Unity 2018.2が正式リリース
2018年7月10日にUnity 2018.2が正式リリースされました。グラフィックスや2Dの機能性がさらに向上しています。
グラフィックス性能の向上
スクリプタブルレンダーパイプライン(Scriptable Render Pipeline )
スクリプタブルレンダーパイプライン(SRP)はレンダリングの設定や実行を行う方法。C#スクリプトで制御ができます。
このC#で制御ができるようになったことで、デバッグがしやすくなり、カスタマイズも簡単になりました。
公式のレンダリングパイプラインして、「軽量レンダーパイプライン」「高画質レンダーパイプライン」が用意されています。
この2つのレンダリングパイプラインはアセットとして提供されており、開発者の好みに合わせたカスタムレンダリングパイプラインの構築が可能。
軽量レンダーパイプライン – コンピュートシェーダー機能を持たないモバイルとプラットフォームのために設計されたパイプラインです。
高画質レンダーパイプライン – Shader Model 5.0(DX11 以上)をサポートするプラットフォーム用のゲームを開発するための最新の高性能レンダラーです。引用元:Unity Blog
軽量レンダーパイプライン(LWRP)
軽量レンダーパイプラインを使うメリットは、性能の低いプラットフォームにも高速で動作するように調節できることです。
レンダリングの細やかさよりもパフォーマンス重視のレンダラーで、モバイルデバイス・PC・VRまで幅広く対応します。
高画質レンダーパイプライン(HDRP)
グラフィックスの品質を重視したレンダーパイプラインです。物理ベースレンダリングと一元的なライティングにより、一貫性のある現実に近い質感が表現できます。
また、レンダリングパスによってグラフィックスが左右されない設計なので、パフォーマンスにフォーカスした選択が可能です。
Post-Processing Stack v2
レンダリングの後に加工を行って、よりクオリティをアップさせる後処理の機能「Post-Processing」。Unity 2018.1のPost-Processing Stack v2は、複数のエフェクトが正しい順序でまとめられてます。
そのため、開発者は項目にチェックを入れるだけで、簡単にその効果を得ることができます。もちろん、プロの方が求めるクオリティを実現するための細かい調整も可能です。
Shader Graph
Unity 2018で導入された目玉となる新機能の1つが「Shader Graph」です。
Shader Graphはグラフィック内にノードを作成して接続するノードベースで操作します。コードではなく視覚的に結果がとらえられるので、とてもわかりやすいです。
プログラミングの知識があまりない方でも、簡単にイメージするシェーダーが作成できます。Shader Graphはスクリプタブルレンダーパイプライン(SRP)で動くように設計されています。
効率の良い開発ワークフローの実現
Unity 2018はUnity 2017よりもさらに効率の良い開発ワークフローを実現しています。C# Job System・ECS・Unityエディタの日本語への対応など、それぞれ解説していきます。
C# Job System
C# Job Systemは複数のコアを安全に利用して、並列処理を行う機能です。
モバイルをはじめとする最近のデバイスは、複数のコアを持つCPUが搭載されていることが一般的です。そのマルチコアを最大限に活用するのが並列処理です。
ECSによるデータレイアウトの最適化を前提として、このC# Job Systemは動作します。
ECS(Entity Component System)
ECSはモノ・データ・振る舞いにフォーカスしたアーキテクチャです。このECSによってコンピュータのデータレイアウトを最適化することでCPU・メモリの機能を最大限に活用できるようになります。
それにより、コンピュータのパフォーマンス向上に結びつきます。このECSとセットで性能を発揮するのがBurst Compiler。
このコンパイラは動作対象となるシステムのCPUに最適化したコードを生成して、ECSの機能をさらに高めます。
Unity 2018.1に搭載されるC# JobSystemとかECS、Burstなどは、様々なハードやソフトでの積み上げが十分にあるプログラマほど、その使いこなし面で真価を引き出せるでしょう。しかも「手軽に」。ただでさえ優れている人達が、手軽に高機能化を図れるようになるのだから、歴然とした差が出ると思います。
— 小林信行 Nobuyuki Kobayashi (@nyaa_toraneko) May 7, 2018
Unityエディタ日本語版が登場
Unite Tokyo 2018において、Unityエディタの日本語版が紹介されました。unity 2018.1は多言語に対応しており、メニュー表示などに日本語が選べるようになったのです。
これは、日本のユーザーにとってはうれしい機能と言えるでしょう。今後も、第2言語に英語の習得が難しい国を優先してサポートを行っていくようです。
Visual Studio for Macの配布
macOSではMonoDevelop-Unityが廃止され、Visual Studio for Macが配布されました。Windowsでは引き続きVisual Studio 2017 Communityを使用します。
新しいスクリプティングランタイム
スクリプティングランタイムがアップグレードされ、C#6.0の機能をフルに活用できるようになりました。.NET standard 2.0と.NET4.6にも対応。
今までは試験版として運用されていましたが、Unity 2018.1で安定版になったことでC#や.NETの機能を制作に安心して使える環境が整いました。
Unity 2018.1 で .NET Standard 2.0 対応したらしいので UniRx じゃない素の ReactiveProperty を入れてみたら動いた。凄い。 #WinMR #HoloLens pic.twitter.com/53fqv9zLCK
— かずき@スマブラはリンク (@okazuki) May 9, 2018
レベルデザイン機能がパワフルに
ProBuilderとPolyBrushによってレベルデザイン機能がパワフルになりました。レベルデザインとはゲームのステージなどの環境の設計や、難易度の設定を行うゲーム開発における役割の1つです。
FBX Exporterと2つの機能は連携するので、Mayaなどでグラフィックの作り込みを行ってUnity 2018で微調整を行うといった使い方も可能です。
ProBuilder
ProBuilderはゲームのレベルデザインがより効率的で簡単に行えるツールです。
PolyBrush
PolyBrushは3Dシーンに対して、デコボコや要素のブレンドを絵を描くように行えるツールです。
Unity 2D機能もアップデート
Unity 2018では、伸び縮みするスプライトでステージ作成ができる2D Sprite Shapeの機能が搭載されました。タイルマップと合わせて使うことで、ステージがさらに作りやすくなりました。
より高度なキャラクターも作成できるようになり、パフォーマンスの性能も向上しています。
「Tiny Unity」は小さく軽く速い
#UniteTokyo2018
現在開発中の超軽量Unity (コードネーム「Tiny Unity」)のランタイム、
なんと実行時のサイズ72KB!Unity のデスクトップアイコンが 500KB でしょう?どういうことw
とても軽い動作なので
「遊べるweb広告」なども実装可能。(実際にスマホのwebブラウザで実演。読み込み早い) pic.twitter.com/aQfhCejJUQ— ちょまど🖋4/26(金)サイン会@秋葉原 (@chomado) May 7, 2018
Unity 2018.1における新機能「Tiny Unity」。このTiny unityは小さく軽く速いランタイムが特徴です。スマートフォンよりも小さいIoTデバイスでの使用を想定。コアランタイムの72KBという小ささは注目を集めています。
広告表示で実際に遊べるゲームを表示したり、メッセージによるゲームの送受信などの使い方を想定しています。Tiny Unityは、アイディア次第で面白い使い方ができる新機能と言えるでしょう。
Unity 2018のロードマップについて
Unity 2018のロードマップについて紹介します。Unity 2018.1以降のメジャーリリースの時期についても知ることができます。
Unity 2018のポイント
Unity Blogには、レンダリング・機械学習・パフォーマンスにおける機能の向上がUnity 2018の開発におけるロードマップとあります。
今後のメジャーリリースでは、現在リリースされている機能に加えて、上記の3つのポイントに対して重点的に改善が行われるでしょう。
次のレベルのレンダリング、機械学習、驚異的なパフォーマンスの向上に焦点をあてると、今年は Unity をお使いのクリエイターにとって素晴らしい年になるでしょう。
引用元:Unity Blog
Unity 2018.2のリリース時期について
TECHストリームは年3回のリリースを予定。Unity Blogによると、Unity 2018.2は夏、Unity 2018.3は秋にリリースとあります。
Unity 2018のベータ版について
Unity 2018は正式リリースだけでなく、開発途中のベータ版も公開されています。新しい機能をいち早く試したい方はこちらのベータ版がおすすめです。
現在の最新のベータ版はUnity 2018.2.0b3となっており、下記の公式サイトからダウンロードできます。
Unity 2018.1のダウンロードとインストール
正式リリースされたUnity 2018.1のダウンロードとインストールについて紹介します。
Unity 2018.1のダウンロードについて
下記のUnityの公式サイトからUnity 2018.1はダウンロードできる。自分に合ったライセンスを選んで、Unity2018.1を早速使ってみましょう。
インストールについて
下記の日本語マニュアルのサイトにインストール手順が記載されていますので、参考にしてみてください。
Unity のダウンロードとインストール – Unity マニュアル
Unite Tokyo 2018で発表された内容とは
日本最大級のUnityのカンファレンスイベント「Unite Tokyo 2018」が2018年5月7日から9日まで開催されました。やはり、メジャーリリースされたばかりのUnity 2018の説明が中心となったようです。
キズナアイのオープニングトークが話題に
Unite Tokyo 2018の基調講演のオープニングトークに、バーチャルYouTuber「キズナアイ」がスペシャルゲストとして登場して話題を集めました。
その他にもバーチャルYouTuber「電脳少女シロ」によるアセットの講演や、バーチャルSHOWROOMER「東雲めぐ」の講演もあり、人間以外もしっかり登場。
これは、VR・AR・MRの分野において欠かせない存在であるUnityらしいアプローチと言えるでしょう。
世界で高いシェアを誇るUnity
GamesIndustry.bizによるとUnityのゲーム開発における世界的なシェアは50%と高く、第1位をキープしていると発表されました。特にVRやホロレンズのアプリ制作では、ダントツのシェアを誇っています。
また、LinkedInの「北米での最も急成長している職種」のアンケートにおいて、Unityの開発者が第7位にランクインしたことも発表されました。
これはUnityがゲームの制作だけでなく、3Dコンテンツの制作においても重要な役割を果たしていることがよくわかる結果と言えるでしょう。
次世代エディタ「Carte Blanche」の2018年10月リリースを発表
Unityの次世代エディタとして期待されるCarte Blanche(カルテ・ブランシュ)を2018年10月にリリースすることが発表されました。
このCarte Blancheは開発者がVRデバイスを装着して、VRの中で制作を行うことが特徴のエディタです。
VR内でオブジェクトを感覚的に操作してゲームや3Dコンテンツの制作が可能です。Unite Tokyo 2018では、実際にこのエディタを使用したライブデモも行われました。
Carte Blancheがリリースされれば、3Dコンテンツの作成が簡単でスピーディーになるでしょう。
昨日の #uniteTokyo2018 の基調講演にてデモを初披露したVR内でゲームを作れるツール「Carte Blanche」(カルト・ブランシュ)の動画になります。非プログラマーでもツクール感覚でカードを置いていってサクサクゲームを作れるのが、VRの制作ツールとしての可能性を感じさせます pic.twitter.com/vcyfJuQBaq
— PANORA (@panoravr) May 8, 2018
ユーザーの心を鷲づかみにした名言も
Unite Tokyo 2018では、ユーザーや開発者の心を鷲づかみにした名言も飛び出しました。
「”創る”と”遊ぶ”は一つの概念となる」というメッセージは、ゲームを遊ぶ方にも作る方にもどちらにも敬意が感じられる表現ではないでしょうか。
Sylvio Drouinさんの、'創る'と'遊ぶ'という概念はひとつになる、というメッセージの後、Timoni West さんが実演するくだりが見事すぎて。もうこれが未来じゃないっていう感動 #unitetokyo2018https://t.co/Alr84GSvlx
— かみなり (@kaminari) May 7, 2018
まとめ
今回は、正式リリースされたことで注目されているUnity 2018について紹介しました。
Unity 2017と比較して、スクリプタブルレンダーパイプラインの導入をはじめとするグラフィクスの向上やECS・C# Job Systemなどによる作業効率の向上など全体的にグレードアップしている印象を受けます。
今後も2回のアップデートが予定されており、さらに機能性が高まることが期待できます。
また、2018年10月にはVRに特化したエディタ「Carte Blanche」もリリースされるので、Unityがどのように進化していくのか今後も目が離せません。
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