南相馬でゼロからの復興支援に取り組んだ僕が、エンジニアに転身する理由
更新: 2021.07.26
2012年、東日本大震災により甚大なダメージを受けた南相馬市で、ゼロから復興支援活動を開始し、仲間とともに開設したゲストハウスに年間200人の若者を集めた一人の男性がいました。
2012年当時、22歳だった保田壮一さんは南相馬市で活動をはじめ、25歳まで活動を継続。2015年に復興支援にピリオドを打った後、ストリーミング番組制作を手掛ける企業に就職。
そして2017年、3か月でエンジニア転職を実現するTECH::EXPERT受講を経て、ITエンジニアとして寺田倉庫に入社しました。
復興支援活動を通じて「0から1を作り上げる」ことの重要性と”楽しさ”に気づいた保田さんが考える、エンジニアという職業の魅力はどのようなものでしょうか。
プログラミング未経験からエンジニア転職を実現した、保田壮一さんのインタビューをお届けします。
<保田壮一(やすだそういち)さん プロフィール>
1989年生まれ
大学時代、福島県南相馬市にて旅人集団「夢たびと」の立ち上げに参画。地域住民と若者が協力して地域に観光資源を作り、地方活性化のロールモデルを作る活動を行う。卒業後、ストリーミング番組制作スタジオに入社。
「これからは自分でコンテンツを作っていきたい」という思いから2017年よりTECH::EXPERTでプログラミングを学び始め、同年、寺田倉庫にエンジニアとして入社。
この記事の目次
TECH::EXPERTの受講まで、一度も就職活動をしたことが無かった
――前職では、どのようなお仕事をされていましたか?
ストリーミング番組の制作現場で仕事をしていました。
マルチアングルで3台のカメラをスイッチングさせ、番組を制作していました。内容はトークがメインでしたね。
――大学卒業後、ストリーミング番組の制作に携わろうと決めたきっかけは何でしたか?
知り合いの紹介をきっかけに始めました。実は、TECH::EXPERTの受講までは一度も就職活動をしたことが無かったんです。
番組制作の仕事をはじめた一番大きな動機としては「コンテンツを作る仕事」に就きたかったというものですね。
地方に観光資源を作り、人を呼び込むモデルケースを作ることを目指した
――学生時代、東日本大震災の復興支援団体の立ち上げを経験されています。具体的な活動内容は、どのようなものでしたか?
地方経済が縮小する中で発生したのが2011年3月11日の東日本大震災でした。
「震災後、立ち上がろうとしている地方を応援しよう」「地方を活性化させよう」というポリシーのもと、2012年に団体を立ち上げました。
団体のビジョンは若者と地域の人で協力し合い、地方に観光資源を作り、人を呼び込むというモデルケースを作ることでした。モデルケースをもとに、全国で同様の事例がたくさん生まれることを目指していたんです。
活動の拠点に選んだ地域は、福島県・南相馬市です。
団体立ち上げ当時、東日本大震災で被害を受けた南相馬市は、新たな観光資源を生み出すことが難しい状態にあると考えていました。逆に言えば、南相馬市で有力なモデルケースを作ることができれば、他の地域でも観光資源を作ることが可能ではないかと仮説を立てて。
南相馬市には、多くの家屋が津波で流されてしまった中、唯一残った鉄筋の建物がありました。2012年の5月に南相馬市に本格的に入り、その残った建物を活用し、ゲストハウスを運営するという活動を展開しました。
多くの若者に被災地の現状を知ってもらうためには、若者を呼び込むための「場」が必要です。ゲストハウスは、そのための「場」として使用したんです。
――南相馬市のゲストハウスには、毎年200人の集客を行っていたそうですね。集客はどのように実施していたのですか?
口コミです。旅好きの若者や大学生がゲストハウスに集まってきました。
「あのゲストハウスに行くと、人生が変わる」とゲストハウスに来た人がリピーターになってくれたり、twitterやfacebookでシェアし、広めてくれたことで人が集まるようになりました。
また、純粋にいま南相馬市がどうなっているのか知りたいという方もゲストハウスに来ました。
「ニュースでは様々なことが報じられるけれど、実情を自分の目で確認しないことには南相馬の実情を否定も肯定もできない」という高い志を持った方のための場としても、ゲストハウスが機能しました。
――復興支援の現場で役に立ったWEBサービスやWEBアプリケーション、デバイス、ツールなどはありましたか?
twitterやLINEといったSNSは、復興支援の現場ですごく役に立ちました。例えばゲストハウスに来てくれた人にグループLINEに入ってもらい、そのタイムライン上で情報交換を行うといったことは頻繁にしていました。
ウェブサイト1つ作るにも、中核メンバーにWEB制作の経験がある人間がいたわけでもなく、広告業界に居た経験があるわけでもありませんでした。
皆ずぶの素人で、活動はゼロからのスタートだったということもあり、メンバーのWEBリテラシーが高かったわけではなく、凝ったアプリケーションを使っていたわけでもなかったです。
まだ学生だった僕にとって「0から1を作る」という経験は刺激的だった
――復興支援の活動を25歳まで続けていたそうですね。一般的には就職3年目に該当する年齢まで、高いモチベーションを持って活動を続けることができた要因とは何だったと考えていますか?
僕は大学生活を「つまらない」と感じていたんです。
「何か大学以外に、打ち込むことが出来る面白いことは無いかな?」と探した結果、復興支援の活動に行き着いたというのが正直なところで。ある意味では、活動に打ち込む最初の動機は消極的なものだったと思います。
大学生活というのは、基本的にはすべての環境が「与えられたもの」です。大学の授業はまさにその典型で。社会人になり、初めて「自ら能動的に仕事をする」ということを学ぶ人がほとんどだと思います。
だからこそ、復興支援を始めた当時、まだ学生だった僕にとって「0から1を作る」という経験はとても刺激的なものでした。活動の進め方を教えてくれる人なんていなかったので、自分たちで考え、行動することが何よりも重要でした。
支援活動に集まってくれた人たちが、ゲストハウスでの体験について「楽しかったです」「最高でした」と言ってくれることも、モチベーションに繋がりました。
日本全国、北は北海道、南は沖縄まであらゆる地域から人が集まっていたんです。それだけ多様な人たちが集まれば、一緒に食事をするだけでも十分に楽しくて。地域住民の方々が、ゲストハウスを訪れて「皆、何も良いもの食べてないでしょう?これでも食べなさい」と差し入れをくれたりもしました。
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「自分自身でコンテンツを作りたい」と考え出し、プログラマーに興味を抱いた
――プログラミングに興味を持ったきっかけはどのようなものでしたか?
復興支援活動を通じ、ゼロから何かを作るという過程に喜びを感じ「コンテンツを作る仕事に就きたい」という思いを抱き、最初に就いたのがストリーミング番組の制作の仕事でした。
ところが仕事をするうちに、カメラマンはあくまで演者の補助役だと感じるようになったんです。
カメラマン自身がゼロからコンテンツを生み出すわけではないということに、次第に違和感を覚えるようになりました。番組制作の仕事に疑問を感じるようになった時期が、明確なキャリアの転換期でしたね。
「自分自身でコンテンツを作りたい」と考え出したとき、興味を抱いた対象が、ものづくりのスペシャリストであるプログラマーの存在だったんです。
プログラマーになれば、コンテンツを作る側の人間になることが出来るのではないかと思い、プログラミングを身につけようと決めました。
――TECH::EXPERTの受講以前、プログラミングを独習した経験はありましたか?
一切無いです。
受講が始まるまでは、プログラミング言語のRubyの存在も知らなかったですし、JavaScriptとJavaの違いすら分かっていなかったです。
――TECH::EXPERTの受講を決めた理由は何でしたか?
4つの理由があります。
1つ目は、本気でプログラミングを学ぶというTECH::EXPERTのスタンスが非常に好きだったこと。
2つ目は、プログラミング学習だけでなく、就職支援まで一括で提供していること。
3つ目は、転職が決まらなかった場合に、学費がキャッシュバックされる制度があること。
そして、4つ目は自宅から教室が近かったということです(笑)。
※テックキャンプの最新の受講プランは公式サイトをご確認ください。
TECH::NOTEに掲載されている、TECH::EXPERTの受講を経て、転職に成功した方々のインタビューにも一通り目を通しました。
インタビュイーの方々の、本気でプログラミングに打ち込む姿勢に強く刺激を受けました。
プログラミングを学ぶことは、全く苦じゃなかった
――受講期間中は、1日何時間勉強していましたか?
10時間くらいです。他の受講生の方も、同じくらい勉強しています。
――モチベーションが下がってしまう瞬間や、辛いときはありませんでしたか?
プログラミング学習は、僕にとっては全く苦じゃなかったんです。
もちろん、エラーが発生した時には詰まり、どれだけ考えても解決策が出てこないときには苦しいと感じましたが、そういう瞬間も含めて、プログラミングを学ぶことはとにかく楽しかったです。
――エラーや問題が発生した際には、どのように対処されましたか?
僕の場合、エラーの原因について1時間は自分自身で考え、修正を行うようにしていました。
それでも問題が解決しなかったら、メンターに質問をする。
この2つの手順で、エラーが解決しなかったことは一度も無かったです。カリキュラムも、メンターのサポートもどちらも質が高いものでした。
TECH::EXPERTは「いま、自分は何をするべきなのか」をクリアにしていく
――受講期間中、受講後のキャリアプランについて相談をする機会はありましたか?
キャリアアドバイザーの方とは、頻繁にキャリアプランに関する話をする機会がありました。
ほかの受講生とは、休憩時間などに「どこどこの面接を受けた」というような世間話をすることがありましたね。
――キャリアアドバイザーの方とは、キャリアプランに関して具体的にどのような相談をされたのでしょう?
僕は就職活動自体が初めての経験だったので、面接の練習をしっかりと行いました。
キャリアアドバイザーの方との面談は「エンジニアになるための就職面談」ではなく、「自分は将来、どのような人になりたいのか」「自分は将来、何をしたいのか」という大きな目標を定め、目標から遡るようにして「いま、自分は何をするべきなのか」をクリアにしていくというものでした。
自分の夢をクリアにしても、一回の転職で、その夢をいきなり実現できるわけではないです。
徐々に実力をつけ、段々と夢に近づいていき、どこかのタイミングで夢を叶えるという順序が必要です。
夢を叶えるまでに、自分が身につけておくべき必要なスキルセットは何か。そのスキルセットを身につけるために、自分がいま行くべき企業は何処なのか。
受講期間中はキャリアアドバイザーの方と、そうした具体的な相談を続けていました。
寺田倉庫は、その人の幸せや未来と向き合う会社
――TECH::EXPERTの受講後、入社する企業はどのような軸で選びましたか?
「その企業が見ている未来」と「働くことで得られるやりがい」を重視し、企業選びを進めました。
寺田倉庫は、採用面接の際に「その人の在り様」をしっかりと見てくれる会社であり、その人の幸せや未来と向き合い、夢に向かって努力をする人を応援するという社風を持った企業です。
そのため、例えば採用面接の際には「あなたの夢は何?」「あなたは将来、何をしたい?」といった質問が重視されます。
一般的な企業にとっての面接は、その人がその企業で活躍できるかどうかを見極める場ですよね。だからこそ一般的な面接の際には、面接官はまず「どうして、弊社の求人に応募されたのですか?」「何故、あなたは弊社のエンジニア職を志望されるのですか?」といった質問を行うことが多いと思います。
面接の進め方の違いに顕著な、寺田倉庫の「人を会社の道具として見ない」社風に強く惹かれました。
事業が魅力的であることはもちろんなのですが、それと同じか、それ以上に寺田倉庫という会社自体が素晴らしいと感じました。
――技術的な試験はありましたか?
無かったです。「何故、エンジニアになりたいのですか?」という問いもありましたが、圧倒的に多かったのは「あなたは何者ですか?」という意味合いの質問です。
面接官の方は「採用面接はお見合いに似ている。だからこそ、エンジニアとしてではなく、あなたが個人として何者なのかを知りたい」と仰っていました。
――寺田倉庫の事業に対し、具体的に興味を持ったポイントはどのようなものでしたか?
寺田倉庫はずっと倉庫業を手掛けてきた古い会社です。倉庫業を足掛かりに物流を手掛けるようになり、近年では物流のノウハウをIT化させています。
モノが何処かから、何処かへと流れる。もしくはモノが保存される。
こうした行為がある限り、寺田倉庫の事業は無くならないと感じますし、物流には今後も様々なビジネスチャンスがあると思います。
エンジニアという職業を選んだなら、あなたには楽しいことがたくさん待っている
――エンジニア転職に成功した最大の要因は何だったと思いますか?
「プログラミングが楽しい」と、思い続けていたことだと思います。
「エンジニアになったら食っていけるだろう」というような邪な気持ちを持っていたのではなく、本当にコードを書くことが楽しく、ポジティブに学習を進めることができました。
そうした前向きさや「勉強好き」な一面が、面接の際に相手に伝わり、結果として転職に成功することが出来たのではないかと思います。
――TECH::EXPERTの受講を検討している方に、アドバイスをお願いします。
プログラミングはやってみて「つまらない」と感じたら、やめてもいいものだと僕自身は思っているんです。
「プログラミングやりたくないなあ……」と感じながら、無理してコードを書くくらいなら、プログラミングをやめてその時間を他のことに使った方が有意義です。プログラミングが合わないのに、無理をして続ける必要はありません。
その上で「エンジニアという職業を選んだなら、あなたにはこれから楽しいことがたくさん待っているよ」ということを伝えたいです。
エンジニアとしての知識を使って、これからどんどん面白い世界を作っていきましょう。
絶対、もっともっと楽しい世界が作れると思ってるので。
――保田さん、ありがとうございました!
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