あなたは、プログラミングが義務教育化されることをどう感じていますか?
日本ではまだ手探り状態の政策に賛否両論の声が飛び交っています。この記事では、プログラミングの義務教育化を実際に行っている海外のお話を含め、
メリット・デメリットがどこまで影響してくるのか徹底解析致します。出典:photo AC
この記事の目次
プログラミングが義務教育化される背景とは?
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中学校の技術における必修内容
平成24年度にプログラミングが「技術家庭科」に取り込まれ、完全実施となりました。
中学校で必修になったプログラミングの内容は、プログラムによる「計測」「制御」となっており、プログラミングの初歩的な説明である「プログラミングとは」や「定義や仕組み」について簡単に話すだけで、プログラミングを実施する時間は2年生、3年生それぞれ10時間ほどしか取れていません。
これだけではプログラミングの面白さは伝わらず、海外の義務教育化しているプログラミングの取り組み方と比べると、身に付く学習法とは言えないのが現状です。
政府の成長戦略に組み込まれる
「産業競争力の源泉となるハイレベルなIT人材の育成・確保」を目的とし、「ITを活用した21世紀型スキルの修得」と「人材のスキルレベルの明確化と活用」を行うとしています。
具体的には、中学校の「技術家庭科」に組み込み、「Saratch」などを用いたプログラミング概念の「早期教育」と「興味喚起」、プログラマー経験者を教師とした「遠隔教育」などが提案されています。
狙いとして、エンジニア不足である現代より人材が不足してしまう事を見込んでの「人材増加」や「質の向上」も目的として挙げられます。
文科省の必修化検討
2016年4月、文部科学省は「小学校において、プログラミングの授業の義務化を検討する」と発表しました。
「新・学習指導要領」では、必修科目の学習項目に入れる方針です。
また、中学では「アニメーションづくり」など、新しい内容を追加したい考えを表しています。
技術の進化が飛躍的に進んでいる現代では、コンピュータを制御する能力の育成が重要だと考えられています。
プログラミングが義務教育になるとどうなる?
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義務教育にする意味
ITを活用した21世紀型スキルの修得として、「デジタル教材の開発」「教員の指導力の向上」「双方向型の教育」「遠隔教育」など、新しい学びへの授業革新を推進していきます。
また、「コンピュータサイエンス専攻等理系学生が少なく、IT技術者数も足りない」ことから、その解決策としても義務教育課程などにおける「IT教育の推進」を提案しています。
何のためにプログラミングを学ぶのか
プログラミングを学ぶ事によって「論理的思考の向上」「創造力の育成」「分析力の向上」を身に付けることができます。
スキルを身に付ける事も大切ですが、「プログラミングを学ぶ」のではなく「プログラミングで学ぶ」ことを目的とし、自然にアルゴリズムを身に付けられるようにすることを目指して取り組んでいる小学校があります。
カリキュラムを作る上で重視しているのが、理数系の融合的な学びを指す言葉の「STEM」と、STEMに芸術の要素を加えた「STEAM」です。
プログラミングでできる事
プログラミング言語の種類にもよりますが、普段何気なく使用しているコンピュータのすべてにプログラムが組み込まれており、それら全てプログラミングによって機能しています。
「テレビ」「オーディオ」「ATM」だったり、スマートフォンにインストールされている「アプリ」「ゲーム」も全て、ITエンジニアとして活動されている方たちのおかげで私たちは使用することができているのです。
一般的には、コンピュータに対してある一定の指示を出し、決められた作業をさせることがプログラミングです。
「機械的な一定の処理」の繰り返しをし、あらかじめ決められた条件に基づいて「異なる処理」を行っており、これでソフトウェアを作ったり、ハードウェアに組み込んで一定の作業をさせていきます。
プログラミングが義務教育化されたときのメリット・デメリット
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メリット
子供のうちから「プログラミングの基礎」を作っておくことで、本格的にプログラミングを勉強しようとした時、頭に入りやすくなります。
また、プログラミングを学ぶ事で「英語」も一緒に身に付きます。
また、現在すでにエンジニア不足、でIT業界では良い人材を探していますが、IT業界はこれからもっと伸びていく傾向にあります。
プログラミングの基礎を身に付けていれば、職に困ることも少なくなるでしょう。
デメリット
パソコンを使わない仕事の方が少ない位普及している現代ですが、直接就職に関わらない人からしたら、正直学ぶ意味があるのか疑問なところです。
また、プログラミング言語も随時更新されていて、常に最新の情報を学べる確信はありませんし、果たして誰がどうやって教えてくれるのかも不安なところです。
正解のないプログラミングをどうやって評価するのか気になるところです。
プログラミングの義務教育について 海外編
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アメリカ
IT先進国であるアメリカではエンジニア不足な為、国全体で最も盛んにプログラミング教育が行われています。
2014年に、公立の「中学・高校」の20校でソフトウェア・エンジニアリングの授業の試験プログラムが始まり、今では「知識経済でニューヨークが優位に立つための包括的な戦略の一部」と断言しています。
また、「Code.org」というNPO団体が、米国のすべての学校にプログラミングの授業を導入する活動をしており、ビル・ゲイツ氏やマーク・ザッカーバーク氏など、多くの著名人に指示されています。
イギリス
5歳からプログラミングを学ぶというカリキュラムが組まれ、Excel・wordの学習時間が「プログラミングの仕方」「プログラムの作り方」「コンピュータの動作原理の理解」へと変更されました。
プログラミングの学習は、5歳から16歳までの全児童に政府の新方針で義務化されたのです。
イスラエル
イスラエルは、プログラミング教育に力を入れており、「軍事関連」「ベンチャービジネス」などに様々な分野でスキルが上昇し、「企業」「大学」「研究機関」などで大きな利益を上げています。
小さな国にも関わらず、コンピュータ分野で非常に強力な国となっており、「NASDAQ」への上場数は米国に次ぐ2位です。
多くの成功したスタートアップ企業が、最大数千億円の規模でM&Aの対象となっています。
最低でも3年間で「90時間」、高度なコースでは「270時間」「450時間」に設定されていて、日本で例えた数学や国語の学習時間に匹敵しています。
それだけプログラミングは重要視されているのです。
また、世界中の企業が、イスラエルの技術を求め競い合って買収し、「セキュリティ」「軍事分野」「CG」「ネットビジネス」など、多くの分野で活躍しています。
韓国
2014年に、国家経済成長のため「ソフトウェア中心社会を作る」と発表し、2015年から中学校、2017年から小学校の義務教育化を決定しました。
韓国政府は、子供たちがソフトウェアを理解して扱える能力を養うことで、全産業で既存産業とソフトウェアを融合した新しいビジネスが生まれることを期待しています。
ソフトウェア教育に対しての「新しいビジネスを開拓」することに視点を変え、「医学」「建築」「ウェアラブル端末」などの分野でソフトウェアと融合したビジネスで「世界初・世界最高」に挑戦していく事を、未来創造科学部は期待しています。
その他の国
その他、プログラミングが教育が取り入れられている国として、オーストラリアで8歳から13歳、ニュージーランドは高校でコンピュータサイエンスを学ぶ新カリキュラムが導入され、フィンランドでは7歳から16歳のプログラミング教育が必修化しています。
また、早い時期から基幹産業として「IT」を位置付けていたシンガポールは、必修化はされていませんが、いくつかの中学校で採用されており、高校では選択科目として導入されています。
子供のうちからプログラミングを学ぼう
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遊び感覚で身に付けよう
ゲームをしながらプログラミングを学ぶ事ができる学習サイトも増えてきていますし、ゲーム感覚でプログラミングを体験する「ソフト」や、安価で丈夫な「小型端末」など、様々なツールが開発されており、プログラミングに子供のころから親しんでもらおうという取り組みが注目されています。
国は、子供へのIT教育を推進し、民間企業が「プログラミング塾」を開く動きも確認されています。
プログラミングで身に付くスキル
まず一つ目は、「論理的思考力の向上」です。
コンピュータは、エラーになると動作は停止してしまうため、的確に必要な事だけを書く能力が必要になります。
二つ目は「創造性の育成」です。
プログラミングは、何もない状態から自分の理想のプログラムを作成していきます。
構成から実現までの一連のプロセスを経験することになるので、創造力は欠かせません。
三つめは「分析力の向上」です。
プログラミングを行うと、8割はエラーという壁にぶつかってしまいます。
そのたびに自分で分析して修正を行う必要がありますし、「後から機能を追加したい場合」や「他人が作成したプログラムと組み合わせたい場合」なども、プログラムの説明書を読んで、理解しなければなりません。
勿論、プログラミング力も身に付きますから「手に職をつける」事ができますし、プログラミングをする仕事ではなくても、現代のオフィスワーカーはパソコンを使用することが当たり前になっているので、様々な場面で活用することができます。
また、吸収が早い子供のうちにコンピュータに慣れておくことで学習のスピードも速いですし、柔軟な考え方で取り組むことができるのです。
子供が学べるプログラミング学習サイト
Scratch
出典:Scratch公式サイト
Scratchは「MITメディアラボ」が開発した、小中学生向けに作成された新しいプログラミングの学習環境となっており、視覚的に楽しみながらわかりやすくプログラミングが出来るようになっています。
日本語対応サイトなので、英語のできない方でも安心して始められます。
これはすばらしいです。でも、スクラッチキャットの声がアナゴさんに脳内変換されるようになってしまいました。
iPhoneでも十分な速度で動きますが(むしろカーソルキーが反応しすぎるくらい)、書かれてる通り、ダウンロードして動かさないと分からないですね。
出典:Scratch公式サイト
Lightbot
Lightbotは2008年にFlashゲームとして登場したもので、実際にプログラミングを書くことはありませんが、プログラミングの概念をゲームをするだけで学ぶ事ができます。
iOSやAndroidにも対応しているため、スマートフォンやタブレットで子供と一緒にプレイすることができます。
おもしろい
普通のパズルとは違って、最短の手数ではないのが楽しい。ロボの動きに無駄が生じるので、正解なのか不安。もう少しボリュームがあったらいいのにな。
出典:Google Play
Kodu
出典:Kodu公式サイト
Koduは、Microsoftが提供するゲームデザインツールで、プログラミング言語を使わずにゲームを作成するので、子供もすぐに体験することができます。
個人的には、比較的年齢層の低いユーザに向けてこのツールを入り口にしてもらって、このあとはXNA環境や他の言語なりに進出してもらう、あるいは将来のゲーム技術者を育てる・・・というような姿勢を感じました。
Hour of Code
Hour of Codeはたった1時間でコードの初歩を学ぶ事ができます。
最初は「Angry Birds」を例に「前へ進め」「右へ曲がれ」など簡単な命令を組み合わせてクリアしていく簡単なゲームから始まります。
日本語も対応しているので、英語が苦手な方でもすぐに始められます。
1時間のワークショップが終わり、最後はAppleロゴの入った修了証書が一人ひとりに渡されました。
参加者の男の子は「1時間でレベル13まで行けた。難しかったけど楽しかった」と満足げでした。
Alice
出典:Alice公式サイト
Aliceは「3Dムービー」や「ゲーム」を簡単に作成できる「3Dプログラミング構築環境」です。
学生向けに作られており、元々は「オブジェクト指向」や「イベントドリブン型」のプログラミングを学べるように作られましたが、視覚的な操作ができるので、プログラミング初心者でも簡単に始めることができます。
3Dムービーやゲームを簡単に作ることができるサイト。視覚的な操作でわかりやすいのが特徴。とはいえ、こちらも英語版のみ。そこがネックになってしまうかも。
まとめ
日本ではまだ完全に取り入れているわけではありませんが、少しづつ義務教育化が始まっています。
プログラミングを学んで損をすることはありませんし、むしろ、プログラミング以外でも身に付くスキルがあるのです。
子供のうちから学び、しっかり基礎を作ることでIT業界だけではなく、国をも動かす可能性が眠っているのです。
プログラミングに興味があるなら、今からでも学ぶべきです。
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