2018年11月11日「独身の日」のビッグセールで約3.5兆円の取引高を記録した中国ECサイト「アリババ」。その圧倒的な取引高を知り、アリババで商品を購入してみたいと考えた方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、アリババの使い方について紹介します。また、中国市場をリードする2大IT企業「アリババ」「テンセント」が世界から注目される理由についても詳しく解説。
この記事を読めば、アリババとテンセントがFacebookなどのアメリカ企業を脅かす存在となると言われている急速な成長の要因についても深く理解できるでしょう。
アリババを利用する際の基本知識
サプライヤーやバイヤーなど、アリババを利用する際の基本知識についてご説明します。
バイヤーとサプライヤー
まずは、下記のアリババのWebサイトにアクセスしてみましょう。
アリババのWebサイトをご覧いただくとわかりますが、バイヤーとサプライヤーいう言葉が度々登場します。まずは、このバイヤーとサプライヤーとは何か理解しましょう。
バイヤーは「Buyer」と表記され、購入者・買い手・仕入れ係などを意味します。
サプライヤーは「Supplier」と表記され、供給元・売り手・卸売業者などを意味します。
アリババは、企業と企業による取引の場所を提供するBtoB(Business to Business)のECサイトです。
アリババ自体が商品を販売しているわけではなく、商品を販売したい供給元の企業と商品を購入したい企業を結びつけるプラットフォームを提供しています。「インターネット上の国際展示会」をイメージするとわかりやすいのではないでしょうか。
ECサイト大手のAmazonは、企業と消費者を結びつけるBtoC(Business to Consumer)がメインです。
アリババとAmazonはビジネスのターゲットに大きな違いがあるということを理解すると、利用する際のギャップを埋めやすくなるでしょう。
アリババのECサイトとしての魅力について
EC市場において、アリババは世界トップクラスのシェアを誇ります。そのような高いシェアを誇るアリババの魅力とは何なのでしょうか。
サプライヤーとバイヤーのそれぞれの目線から、その魅力について紹介します。
サプライヤー(販売者)目線での魅力
サプライヤーとして利用する際のおもな魅力として、「販売経路の確保」「顧客の獲得」の2つがあげられます。
アリババは、中国で高いシェアを誇ります。中国の観光客によるインバウンド消費は高まりもあり、日本の商品の販売経路として開拓できる可能性は高いでしょう。
また、良質な商品を提供できれば、中国をはじめとする世界240カ国に向けた越境ECの顧客の獲得にも役立ちます。実際にAlibaba JAPANのWebサイトには、約7割の日本のサプライヤーが1年以内に取引先を獲得したとあります。
「専任アドバイザーによるアドバイス」「展示ツール・マーケティング分析ツールの提供」といった、手厚いサポートがアリババから受けられる点もサプライヤーにとってうれしいポイントです。
サプライヤーにとってのアリババの魅力について、より詳しく知りたい方は下記の公式Webサイトをご覧ください。
バイヤー(購入者)目線での魅力
バイヤー目線でのおもな魅力としては、「世界中から商品の購入が可能」「コストを抑えられる」「安全性が高い取引ができる」の3つがあげられます。
中国をはじめとする世界中から、欲しい商品の購入が可能。また、メーカーに直接オーダーすれば、コストも低く抑えられます。その際のコンタクトも、アリババ上から行えるためスムーズです。
また、アリババにはTrade Assuranceという無料の取引保証サービスがあります。対象のサプライヤーとの取引において、100%の返金保証が受けられるので安心です。
最低発注数がある点に注意
B2B(企業間取引)のECサイトなので、最低発注数がある点に注意してください。最低発注数はその商品をオーダーできる最低の数です。
大量にまとめて購入すれば、商品の単価は安くなります。反対に、オーダーする量が少なくなれば、商品の単価は高くなる点も覚えておきましょう。
最低発注数が1つの商品であれば、割高ですが1つだけでもオーダー可能。もちろん、最低発注数以上の注文であれば、個人でも商品をオーダーできます。
アリババの使い方を解説
アリババをバイヤーとして利用する際の使い方を詳しく解説します。アリババで商品を購入したいと考えている方は、参考にしてみてください。
サインイン
アリババで商品を購入するためには、サインインが必要です。アリババの会員登録を行うか、GoogleやFacebookのアカウントでもサインイン可能です。
会員登録を行う場合には、無料で参加をクリック。
Aibaba.comで日本語を選択すると、登録画面は日本語で表示されます。ただし、入力に使用できるのは英数字のみですので、注意してください。
会員登録を行わなくても商品の閲覧はできますので、どのような商品が購入できるのかはじめに確認しても良いでしょう。
商品の検索方法
アリババのトップ画面の検索ウィンドウに探したい商品を入力します。商品の検索は日本語でも可能で、Amazonと同じ様にサジェストも表示されるので便利です。
サプライヤータイプなどのフィルターが表示されるのは、BtoB-ECサイトのアリババならではと言えるでしょう。個人で購入したい場合には、最小注文を1でフィルターをかける使い方がおすすめ。
どのくらいコストが抑えられるのかを判断するために、関連キーワードで表示されたワイヤレスヘッドホンを見てみましょう。
Bluetooth対応のワイヤレスヘッドホンが、最低発注数120個で格安の9.12ドルで購入できます。10000個以上だと7.35ドルとさらに低価格。この価格でヘッドホンに入れるロゴやパッケージもカスタマイズできます。
オリジナルのノベルティグッズを低コストで作りたい場合にもアリババはおすすめ。商品の仕入れをはじめ、必要な部品の購入・グッズ制作・個人購入などシーンに合わせて幅広い利用方法が考えられます。
支払い方法と送料
支払い方法・送料・取引保証の有無も、商品の詳細画面から確認可能。
商品の詳細画面では、商品の仕様・検証済み情報。会社のプロフィールといった取り引きで気になる情報が細かく確認できます。その情報を踏まえて、注文をはじめる前に不明点などがある場合には問い合わせを行いましょう。
「注文をスタート」をクリックすると、サプライヤーとの取り引きがスタートします。発注数・希望価格・カスタマイズの詳細を入力。サプライヤーと交渉・条件の確認・支払い・出荷という流れになります。
表示されている価格はあくまでもメーカーの希望ですので、購入する際の目安と捉えると良いでしょう。注文する際に発注数を考慮して価格交渉を行います。
つまり、最低発注数が多くても、交渉次第で少ない発注数で購入できる可能性があるということです。どうしてもほしい商品がある場合には、割高になることを覚悟で交渉してみても良いでしょう。
サンプルの請求
大量の注文を行う前に商品の確認を行いたい場合には、サンプルの請求を行いましょう。サンプルには表示されている価格よりも安くオーダーできる有料サンプルと、無料サンプルがあります。
商品によってはサンプルオーダーの受け付けを行っていないケースもありますので、気になる場合にはメーカーに問い合わせましょう。
キャンセル
海外から商品を購入する際に、問題が発生した場合にキャンセルができるのか気になる方は多いでしょう。アリババでは上記の3つの場合にのみ、オーダーのキャンセルが可能。
ただし、アリババはBtoB-ECですので、企業と企業が取り引きを行っていることを忘れないでください。お互いの信頼関係を維持するために、キャンセルする場合にはサプライヤーにまず連絡することをおすすめします。
アリババグループとは
アリババの母体となるアリババグループの特徴や、「独身の日」の実績について以下で解説していきます。
アリババグループの中国ECサイト「アリババ」
ECサイト「アリババ」を擁するアリババグループは、1999年に設立されたEC・インターネット・AI・テクノロジーを提供する中国系多国籍IT企業です。
DIGITAL JOURNALによると、アリババグループの時価総額は5,270億ドルとあります。これは、世界のトップ10にランクインする規模です。
アリババグループは世界中の物流のネットワークの拡大を図っています。これにより、アリババはEC市場において、世界規模でさらに売上を拡大していくでしょう。
「独身の日」ビッグセールで3.5兆円の売上を記録
アリババは、毎年11月11日の中国の「独身の日」にビッグセールを開催しています。産経新聞によると、10周年を迎えた2018年のセールでは、取引額が2135億元(約3.5兆円)を記録したとあります。
これは、前年比から約27%増加しており、アリババが市場拡大を続けていることを裏付けています。
中国国内以外の越境ECの分野における取引額の1位は日本です。日本にとっても、アリババは影響の大きなEC市場と言えるでしょう。
アリババのビジネスモデルについて
アリババグループは、世界最大級の流通総額を誇るEC企業です。そこから派生したBtoC・CtoCのECプラットフォーム・クラウドコンピューティング・フィンテック・物流など、幅広い分野が連携してビジネスを展開していることが特徴。
そのような優れたビジネスモデルを支えている要素として、拠点とする中国の市場の巨大さがまずあげられます。人民日報社によると、中国のインターネットユーザーは8億人を突破したとあります。
また、アリババグループはCotCのECサイト「タオバオ(淘宝网)」、BtoCのECサイト「Tモール(天猫商城)」、モバイルペイメントアプリを提供する「アリペイ(ALIPAY)」など幅広いビジネスを展開。アリババグループは関連する複数のビジネスを展開することで、シナジーも生み出しています。
アリババグループのミッションは、「あらゆるビジネスの可能性を広げる力になる」。アリババグループのビジネスはミッションの実現を目指し、事業を連携させることで着実に成長を続けています。
アリババグループの事業である、タオバオ・Tモール・アリペイについては以下で紹介します。
タオバオ(淘宝网)
タオバオはビッグデータを活用により、それぞれにあったショッピングが楽しめるCtoC-ECサイトです。
Tモール(天猫商城)
アリババグループの中核をなすBtoC-ECサイトが「Tモール」です。Tモールの2017年の累計流通額は84兆円に到達。毎月6.7億人以上のアクティブユーザーが利用しています。
Tモールでの越境ECでは、日本が売上1位を記録。越境ECに挑戦したい企業にとって、見逃せないECサイトと言えるでしょう。
アリペイ(ALIPAY)
モバイル決済が浸透した中国において、高いシェアを誇るアプリ「アリペイ」です。PR Timesによると、アリペイのアクティブユーザーは7億人以上とあります。
増加している中国人をターゲットしたインバウンド消費を促す目的で、アリペイを導入する日本の店舗も増加傾向。マツモトキヨシHDが運営する日本全国の店舗にも、2018年10月30日から決済が可能になりました。
Alipay(アリペイ) | サービス | アリババ株式会社
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中国市場の成長の背景
アリババをはじめ、世界でも大きな市場される中国市場の成長にはどのような背景があるのでしょうか。
IT先進国として発展を続ける中国
中国はIT先進国として、確実に発展を続けています。B2CのEC市場規模はアメリカを上回り、ITエンジニアの数もアメリカに匹敵するほどです。
経済産業省の資料によると、2017年度の中国のBtoC-EC市場規模は11,153億ドル。これは、アメリカの4,549億ドルを大きく上回っています。
また、Google・Amazon・Facebook・Appleといった大手IT企業の存在により、ITといえばアメリカのイメージが強い方も多いのではないでしょうか。
しかし、中国は優秀なエンジニアやデータ・サイエンティストになり得る学力を持つSTEM教育を受けた大卒者をアメリカよりも多く排出しています。また、ITエンジニアの数も急速に増加しており、その数はアメリカに次ぐほどです。
中国市場の成長を支える上で、IT市場の急速な拡大と優秀なエンジニアの増加は大きな役割を担っています。
中国のIT業界をリードするアリババとテンセント
そのような成長を続ける中国のIT業界をリードする2大企業が「アリババ」と「テンセント」です。アリババとテンセントは、ECとコミュニケーションをベースにして、AIの分野での躍進が予想されています。
中国では、スマートフォンを使ったモバイルペイメントが主流。そのようなスマホ決済を普及させたのは、アリババの「アリペイ」とテンセントの「WeChatペイ」です。現在はアリペイが主流になりつつあります。
しかし、WeChatペイのベースとなる無料インスタントメッセンジャーアプリ「WeChat」は中国で圧倒的なシェアを獲得。生活の基盤となっているアプリです。
AIを活用するためには、幅広いデータの収集が必要不可欠。
中国で大きなシェアが獲得できれば、それだけ豊富なデータの蓄積が可能になります。また、中国政府が個人情報の保護よりもAIの進歩を優先すれば、データの収集効率はさらに高まるでしょう。
個人情報の取扱いという問題のある日本・アメリカ・ヨーロッパといった国よりも、スピーディーに研究が進むことも十分に考えられます。
そのような技術の進歩をリードしているのが、アリババとテンセントなのです。
実際に、上記のBrand Finaceの画像では、2つの企業はFacebookに迫る位置につけています。中国国内だけでなく、世界的に見ても2つの企業の存在感は増していることがよくわかるでしょう。
日本でも身近な存在となった中国の製品・サービス
アリババやテンセントは、世界的に注目されていますが日本ではまだ知らない方も多いでしょう。しかし、中国のIT分野での存在感はその製品やサービスから十分に感じられます。
10代・20代を中心に人気を集めるTikTokで知られるBytedance。日本でのスマホのシェアを伸ばしているHuaweiやPCやMotorolaのスマホで知られるLenovoなど、日本でも馴染みのある中国のIT企業は増えています。
このように、製品やサービスが身近になっていることからも、中国がIT先進国として確実に成長を続けていることが実感できないでしょうか。
中国IT企業に興味を持ったらアリババを使ってみよう
中国市場に興味を持った方は、実際にそのサービスを体験することが大切。サービスを利用すれば、その魅力を肌で体感できます。
中国市場に興味を持ったらまずはアリババを利用してみよう
中国市場に興味を持ったら、リーディングカンパニーであるアリババの利用がおすすめです。ぜひ、今回紹介した使い方を参考にしてみてください。
実際に利用すれば、Amazonとは異なるECサービスであることがよくわかるでしょう。
よりアリババについて理解したいならITの知識が必要
さらに深くアリババのビジネスについて理解したいのであれば、ITやビジネスに関する幅広い知識が必要不可欠です。
ECに対するビジネスの知識はもちろん、それを支えるクラウドプラットフォームなどの構造を理解できるITの知識も身に着けましょう。
また、プログラミングといったエンジニアとしてのスキルを身につければ、中国のIT企業への転職も選択肢になります。
アリババとテンセントのどちらも日本法人があるので、どのような知識やスキルが必要になるのか参考にしてください。
アリババ株式会社
アリババは新卒イベントを開催予定です。現在は、Web上からは応募できませんが、2020年度卒業予定の学生の募集を行なうようです。
現在、学生でアリババに興味がある方は、中国語・英語・ITスキルを身に着けておくと選考を有利に進められるでしょう。
Tencent Japan
2018年11月現在の採用情報を見ると、ゲーム事業に力を入れていることがわかります。
コミュニケーションだけでなく、エンターテインメントの分野にもテンセントは意欲的です。
まとめ
世界をリードするIT企業で働きたいと考えている場合には、アメリカだけが選択肢ではありません。ITの分野において、中国企業も着実に存在感を増しています。
アメリカや中国に限らず、いつかは海外で働きたいと考えている場合には、まずはITエンジニアとしてのスキルを身に着けることをおすすめします。世界で求められるプログラミングの高いスキルがあれば、転職もスムーズに行えるでしょう。
まずは、この記事を参考にアリババの使い方を理解して、そのサービスを肌で体感してみてはいかがでしょうか。
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