2018年6月、GoogleとUnityが戦略的な業務提携を結んだことを発表しました。
このことでコネクテッドゲーム開発が容易になるほか、夏にはオープンソースプロジェクトも発表する予定とのことです。
GoogleはGoogle Maps APIを全面的にUnityに対応させるなど、Unityとの関係性を深めています。
この狙いはなんなのでしょうか。
またGoogleとUnityの提携は、ゲームプログラマーや開発者、Unityエンジニアにはどのような影響があるのでしょうか。
GoogleとUnityの提携や、提携から見えるゲーム開発トレンドを解説します。
この記事の目次
Googleとは
Googleは1998年9月、アメリカ・カリフォルニア州で創業したIT企業。検索エンジン「Google」を中心に様々なサービスを提供しています。。Googleはインターネット検索の最大手であり、デファクトスタンダードです。
近年ではGoogle Homeに代表される音声認識・スマートスピーカー分野の事業や、VRプラットフォーム「Daydream」を展開。
また地図・ローカル検索サービス「Google Maps」も非常に有名。同サービスは開発言語にJavaScriptを採用。Ajaxと呼ばれる非同期通信の仕組みを全面的に導入したことで、当時非常に評価が低かった言語「JavaScript」の再評価の波を生みました。
Unityとは
Unityは2D・3Dのどちらのゲーム制作も可能なゲームエンジン。非常に汎用性が高い、ゲーム向けの統合開発環境です。
Unityはゲーム開発プラットフォームとして世界NO.1シェアを誇ります。
ある調査では、Unityを開発のメインのゲームエンジンに使用している企業は全体の29%。メインではなくともUnityも使用しているという層も含めると、全体の47%がUnityをゲームエンジンとして採用しているとのことです。
GoogleとUnityが戦略提携
Googleは2018年6月19日、Unityと「ゲーム開発を容易にするための戦略的業務提携」を結んだことを発表しました。
大きな提携内容は2つ。
1つはGoogle Cloudを使った、コネクテッドゲームの制作支援。
もう1つはGoogleとUnityの共同開発による、マルチプレイヤーゲームに関するオープンソースプロジェクト。こちらは2018年夏に詳細が発表される予定です。
コネクテッドゲーム開発を支援
Unityは元来から、ネットワーク接続を伴うマルチプレーヤーのオンラインゲーム開発に対応しているゲームエンジンです。しかし、実際の開発では外部のクラウドサービスとの複雑な連携設定などがマストで必要とされ、開発の難易度は高いものでした。
またゲームのプレーヤーの数が多くなってくると、サーバーがユーザー増加に耐えきれなくなるケースも。そうして、スケーリングの問題が発生してきます。
このような問題の解決を容易にし、開発者が簡単にマルチプレーヤーゲームの開発ができるようにするのが今回の提携の狙いの1つです。
UnityはGoogle Cloudを自社のインフラに全面導入済み
今回の提携にあたり、Unityは既に自社のインフラにGoogle Cloudを全面的に導入しています。
Unityのインフラを全面的に移行しても問題なく耐えていることが、Google Cloudの堅牢さの何よりの証明と言えるでしょう。またGoogleとUnityの関係性の良さを物語ってもいます。両社の提携は長期的なものになることが予想されます。
開発者はUnityから簡単にGoogle Cloudが利用可能に
Unityでオンラインゲームを開発する際は、外部サーバーとの連携が非常に面倒という問題がありました。しかし、GoogleとUnityの提携が実現したことでUnityの画面上から簡単にGoogle Cloudを呼び出せるようになりました。
オンラインゲームの開発の敷居が大きく下がりました。
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GoogleとUnityの提携で開発者が得られるメリット
GoogleとUnityの提携で、Unityエンジニアやゲーム開発者が得られるメリットを紹介します。
堅牢なグローバルネットワーク
まずは堅牢なグローバルネットワークです。
Unityを用いて開発されたリアルタイムのマルチプレーヤーゲームは、国内外から多くのユーザーがアクセス。プレイします。
今日のゲームにとってネットワークへの接続は前提条件であり、かつグローバル対応という面を考えると、24時間安定的に様々な国からのアクセスに耐え続ける必要があります。
Google Cloudはそうした厳しい条件にも耐える、クラウドサービスです。堅牢なグローバルネットワークを提供するだけでなく、低レイテンシも実現。アクションゲームやシューティングゲームではデータ読み込みの遅延や画面のフリーズは致命傷となりますが、そうした遅延を最小限に抑えます。
ゲームサーバの高速なスケーリング
ゲームサーバの高速なスケーリングも実現。ユーザー数が増えて、ゲームサーバの規模を拡大したい時に、迅速にサーバを補強できます。必要な時に即時にサーバをスケーリングできることで、サービス全体が落ちたり、ストップするリスクを未然に防げます。
GoogleとUnityの提携から読み解く、ゲーム開発のトレンド
GoogleとUnityの提携は、今日のゲームのトレンドを踏まえたものです。提携から読み解く、ゲーム開発トレンドを解説します。
コネクテッドゲーム
コネクテッドゲームとは、動的な変化を伴う1人用ゲームや、リアルタイムのマルチプレーヤーゲームを指します。いずれもインターネット接続を伴うのが特徴。
コネクテッドゲームは「生き物」と形容されることもあり、日々ネットワーク接続を通じてアップデートを続けます。コンテンツのアップデートを伴い、デイリーのチャレンジ企画やリワード(報酬)を提供。常にユーザーに最新の体験を提供することに努め、ユーザーがあるタイトルを繰り返しプレイするように仕向けます。
このように単に完成したゲームを提供するのではなく、積極的なアップデートやネットワーク接続を通じて、常にゲームの姿を変化させ続けるのがコネクテッドゲームです。
リアルワールドゲーム
リアルワールドゲームとは現実世界の位置情報や建造物、道路などの情報を活用したゲームです。代表例は米・ナイアンティックの「ポケモンGO」。
単なる位置情報を活用したスタンプラリーのようなゲームから、ポケモンGOのようにAR(拡張現実)を活用したものまでリアルワールドゲームの幅は広いです。
従来のゲームとは異なり、現実世界との関係性や「実際の移動」が重視されており、O2O(Online to Offline)や地方創生など様々な面から注目されるゲーム形式でもあります。
VRゲーム
VRとは「仮想現実」の意味。コンピュータによって作り出された人工的な環境を、現実のもののように知覚させる技術の総称です。VRはまさに自分がその環境の中に入り込み、実際に存在しているかのような高い没入感が魅力です。
2012年のOculus Riftの登場以来、VRは一気に普及が進み、近年ではスマートフォンと安価なヘッドセットで楽しめるVRコンテンツや、Oculus Goに代表される端末一台で気軽に楽しめるスタンドアロンVRが人気を集めています。
VR空間でゲームの登場人物のように振る舞い、実際にアクションなどが楽しめるVRゲームは、ゲームの一大トレンドになっています。
Google Maps APIとUnityは統合済み。位置情報ゲーム作成が容易に
GoogleとUnityの連携は、今回の戦略的提携の発表前から着実に進んでもいました。
2018年3月14日には、GoogleがGoogle Maps APIとUnityの統合を発表。Google Mapsのリアルタイムデータを提供し、Unity上でGoogle Mapsの建造物や道路、公園などのデータをUnityのオブジェクトとして扱えるようにしています。
Google Mapsのデータに、Unityのテクスチャやスタイルを適用することで、開発者はすぐに建造物や公園などの高品質なオブジェクトを自身のゲームで使用できます。
Google Mapsのデータが更新されれば、更新情報がゲームにも適用されるため、常にデータを最新に保てるのもポイント。ポケモンGoのようなリアルワールドゲームを、Google Mapsのインフラ上で動作させることができます。
UnityはGoogle Daydreamとコラボレーション。VR開発に対応
Unityは、GoogleのVRプラットフォーム「Daydream」ともコラボレーション。Daydream向けのVRコンテンツ開発に全面的に対応しています。
DaydreamはAndroid向けのVRプラットフォームであり、Android上で動作するVRアプリを開発することが可能です。
Lenovoが開発したスタンドアロンVRヘッドセット「Mirage Solo」は、Daydreamに対応したデバイス。UnityはDaydreamに全面対応しているため、開発したVRアプリケーションをMirage Soloで動作させることもできます。
まとめ
GoogleとUnityの戦略提携と、提携から読み解くゲーム開発のトレンドを紹介しました。
Google CloudにUnityが標準対応することで、Unityでのコネクテッドゲーム開発がしやすくなります。またGoogle Maps APIがUnityに統合されていることからマルチプレーヤー対応のリアルワールドゲーム開発などにも挑戦できる環境が整ってきていると言えるでしょう。
GoogleとUnityは共同開発のオープンソースプロジェクトも推し進めています。2018年夏に発表になるという詳細を、引き続き待ちましょう!
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