ITについて“分かったフリ”では、もう生きていけない。TBS敏腕プロデューサーが自らプログラミングを学んだ理由とは

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若者のテレビ離れや視聴率の低下が目立ち、大きな事業転換を迫られているテレビ業界。

テレビよりネットの時代と言われる今日、テレビはインターネットを武器にすることができるのでしょうか。

ウェブを使った参加型テレビ番組という新しい形を生み出した、株式会社TBSテレビの中島啓介様にテレビ×ITの可能性についてお話を伺いました。

【プロフィール】
中島啓介(なかじま・けいすけ)
株式会社TBSテレビ 次世代ビジネス企画室 兼 制作局
2009年 慶応義塾大学総合政策学部卒業後、株式会社TBSテレビ入社。
バラエティ番組の制作を経て2012年に次世代ビジネス企画室へ異動。
代表作品「リアル脱出ゲームTV」「マッチング・ラブ」ほか。
2014年国際エミー賞最終ノミネート、ABU賞エンターテインメント部門奨励賞、など受賞。
第三期TECH::CAMPに参加し本格的にプログラミングを学ぶ。

■広告主、テレビ局双方のIT進出への危機感が高まっている

──中島さんは「リアル脱出ゲームTV」や「マッチング・ラブ」など、視聴者が実際にスマートフォンを通して参加できる番組を多く作っていらっしゃいますが、テレビとITで何かやろうと考え始めた具体的なきっかけはありますか?

きっかけは、クライアントの広告会社から相談を持ちかけられたことです。

僕はSFC(慶応大学湘南藤沢キャンパス)に通っていたこともあって、元から同世代の中ではウェブの知識はある方だと思っているんですが、そのおかげかITについてよく分からない広告マンの声が直接僕のところに届いたんです。

「中島さん、大手メーカーの偉い人がITで新しいことやりたいって言ってるんですけど、ITで新しいこと、テレビでなんかできないですか?」って。

あとは、ちょうどその頃、クライアント側の問題意識に加えて、テレビ局全体としての危機感が高まっていたのも大きかったですね。

広告費の内、インターネット広告の占める割合が上がってきて、業界としての先行きが危ぶまれていたので、「自分たちも何かやらなきゃまずい。誰かウェブがわかるやつにやらせろ!」

という声が上層部から出始めました。それが2012年の夏頃でした。

そこで、ウェブを使った新しい番組として「リアル脱出TV」の企画書を書いてみました。そしたら、その企画書が通ったんです。

ただ当時は、何が刺さったというよりは、どうなるか分からないけどとりあえずやってみようという雰囲気でした。

■番組制作者として、ITを学ばないわけにはいかなかった

──実際にウェブと融合した新しい番組を作る過程で、ぶつかった壁などはありますか?

もともとインターネットは大好きだったので、ページ遷移とか、どのタイミングでどの動作をしたいっていう基本的な提案はできました。

ただ、具体的にどの動作が技術的な障壁になって、どれくらいの時間がかかるのかということが全く分からないから、正直エンジニアに無茶ぶりはしていました(笑)。

だから番組作りを通して、実際に自分で簡単なプロトタイプまで作って提案できたらいいなとすごく感じました。

プログラミングを勉強しようと思ったのは、番組制作者としてITリテラシーを高めたかったからです。

僕は今の部署(次世代ビジネス企画室)で番組制作以外の仕事にも携わっていますが、本当は、ディレクターとしてずっと番組の企画を考えて作り続けたいと思うくらい、番組を作ることが大好きなんです。

だから、もっとITの理解を深めることで、将来的に本業の番組制作にも活かしたいです。さすがにディレクターでコードまで書いた人はなかなかいないですからね(笑)。

TECH::CAMPでプログラミングを学んだ1ヶ月は仕事との両立で辛かったけど、結果的にウェブへの理解を深められたのは本当に良かったです。

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■「危機感はある。でもみんな”分かったフリ”」

──実際にプログラミングを学んでみて、周囲の反応はどうでしたか?

すごく反響が大きかったですね。社内だけじゃなくて、実際に他の会社の友人からも連絡が来たくらいです。

テレビ業界に限らず、若い人たちはどんな業界の人でも危機感は持っていると感じました。ただ、危機感はあっても実際にやってみる時間がなくて「分かったフリ」をしているのが現状。

僕が働いていて思うのは、どの業界でも、プログラマー以外はITに関して本質的には何も分かってないということです。

一般的なメーカーの宣伝部の人たちも、きっとよくわからないまま広告会社に相談していることがあるだろうし、相談を受けた広告会社の方も実はよくわかっていないことがある。

そうやってみんな「なんとなく」で企画を考えて、最終的に成果報告を受ける側の企業も、出て来た数字を見てなんとなく納得してしまっている、といったような状況がずっと続いていると思います。

ただ、これからどんどんITに理解のある世代が社会に出てきた時、「分かったフリ」では生きていけません。

ただ今のビジネスモデルに乗っかって同じように評価されることを望むのではなくて、自分たちから動いていかないと、うまくいったところに抜かれ、いずれ死んでいきます。

そうならないために、実際にプログラマーとして働かない人でもプログラミングを学ぶことは必須だと、実際に学んでみて改めてそう思いました。

■視聴率を気にして廃れていくか、赤字を覚悟で再起を図るか

──これからテレビ業界が生き残るために何が必要だとお考えですか。

「視聴率に代わる新しい価値を提供する仕組み作り」、これに尽きると思います。今のテレビ業界は視聴率が評価されるビジネス構造です。

そのため、視聴率に反映されやすい40代50代以上の方々をターゲットとした番組づくりをすれば、基本的には広告費は下がらないはずです。

でも、そういった無難な番組作りをしているから、若者がテレビを見なくなる。

今の大手企業の経営者たちがテレビCMを出したいと思うのは、実際に自分たちが子どもの頃からテレビの影響力を目にしてきたからです。

しかし、テレビの力を知らずに育った今の若者達が会社の決済権を握る時代が来た時、今のビジネス構造がそのまま成立しているとは考えにくい。そこに対する危機感が強くあります。

だからこそ、僕は視聴率に代わる新しい価値を提供できる仕組みを定着させたい。

例えば、僕が企画した「マッチング・ラブ」という番組では、番組に連動する専用アプリを用意しました。

番組の視聴者に、アプリ内でスポンサーに付随した質問に答えてもらうことで、何十万人という視聴者の情報を一度に集めることができました。

視聴率以外にも、工夫次第で新しい価値をスポンサーに提供することはできるのです。

テレビ離れが進んでいるとはいえ、テレビよりも拡散力のあるメディアはまだありません。

以前、大手ポータルサイトの広告とテレビ番組での広告露出の成果を比較したところ、テレビ露出の方がネットの4倍の費用対効果がありました。

そういう意味でも、現状ではまだテレビに優位性が残っていると言えます。

僕の作る番組は若者向けで、そこまで視聴率が上がるわけではありません。それに、番組の制作費に加えてWEBサービス、アプリの制作費もかかるので、普通の番組よりも余計に制作費がかかります。

テレビの経営状況が悪くなってきている今、会社の利益率が下がっても、一時的な赤字を覚悟で再起の道を探すのか、今の利益率にこだわり既存のビジネス構造にしがみつくのか。

テレビ業界全体として断固たる決意を持って、ビジネスモデルを根底から変える舵を切れるかどうか。そこに20年後のテレビ業界の行く末はかかっているかもしれません。

残念ながら今の僕はまだ経営を動かす立場にはいないですが、これからもプロデューサーとしてテレビとITを融合した大ヒット番組を作って「テレビ×IT」というシステムを、激変しているテレビのビジネス構造の中に定着させていけたらな、と思っています。

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